協議離婚より調停離婚がよい

2008(平成20)年1月15日

 もしあなたが,配偶者(だいたいは夫)から,子供の養育費や離婚に伴う慰謝料や財産分与(夫婦が結婚してからつくった財産を,通常は半分ずつ分けること)を受けることができるならば,協議離婚よりも調停離婚のほうをお勧めします。

 協議離婚とは,夫婦が離婚について話し合った上で合意し,離婚届出を市町村役場に提出して行う離婚です。離婚届出書には夫婦両方の署名押印のほかに,証人2人の署名押印が必要です。

 夫婦が離婚について話し合い,子供の養育費や離婚に伴う慰謝料そして財産分与を支払うことを配偶者(だいたいは夫)が約束したとします。

 そして,その約束を念書などの文書として作成して配偶者が署名押印してこちらに渡してくれたとします。

 しかし,そのように念書などの文書を作成しても,離婚してしまうと養育費や慰謝料また財産分与を支払わなくなる配偶者が多いのです。

 配偶者が約束した養育費や慰謝料や財産分与を支払わなくなった場合は,そのような念書があったとしても,養育費や財産分与は家庭裁判所に対して養育費請求,財産分与請求の調停を起さなければ強制的に受領することができません。

 それらの調停を申立てても,第1回目の調停は申立てた日の1月後くらいに指定されて,相手方が争えばほぼ1カ月毎の調停期日に出なければなりません。

 また,離婚後に慰謝料を請求するような場合については,簡易裁判所や地方裁判所に訴訟を起こさなければならなくなります。

 結論は,離婚の話し合いが整い配偶者が養育費や慰謝料や財産分与を支払う約束をしたなら,すぐには市町村役場に離婚届出をしないで,家庭裁判所に離婚請求の調停を申立てるのがよいです。

 その調停の席上で養育費や慰謝料や財産分与を支払う約束を配偶者がすると,その約束は家庭裁判所がつくる調停調書に記載されます。

 そして,その配偶者が支払う旨を約束した調停調書は,裁判の確定判決と同じ効力がありますので,別れた配偶者が養育費や慰謝料や財産分与を支払わなくなったら,その調停調書に基づいて,別れた配偶者の給料や預貯金や不動産などの財産を差し押さえて,養育費や慰謝料や財産分与として現金を強制的に支払ってもらうことができるのです。

 離婚の調停申立についての家庭裁判所の費用は,「養育費が子供1人だけで月5万円,慰謝料が500万円,財産分与が500万円の約束」があったとして,約2000円位です。

 離婚の調停申立をした約1カ月後に調停期日が指定されますので,その調停期日に夫婦が揃って家庭裁判所に行って,合意した内容を調停調書に書いてもらうだけなので,手続は簡単です。調停が成立した日に離婚の効果が発生します。

 ただし,その調停から10日以内に市町村役場に調停調書を提出して離婚の届出(報告)をする必要があります。

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