2020(令和2)年4月1日施行の改正民法により、特別養子縁組の養子候補者の上限年齢の引上げ等や特別養子縁組の成立手続の見直しがなされました。
2020(令和2)年10月28日
特別養子制度は、もっぱら養子となる子の利益を図る制度です。
特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって形成されます。(改正民法817条の2)
特別養子縁組は、審判による特別養子縁組の成立により、養子と養子の実父母その他の親族との法律上の親族関係は、婚姻障害(民法734条、735条)を除き終了します。(改正民法817条の9)
従って、養子と養子の実父母その他の親族との間には、親子、親族としての法律上の権利、義務が消滅し、相互に扶養、相続する関係も消滅します。
そして、2020(令和2)年4月1日施行の民法改正により、以下の点が変更になりました。
- 第一 特別養子縁組の養子候補者の上限年齢の引上げ等
- 一 審判申立時における上限年齢
- 1 改正前は、養子候補者の上限年齢は、原則として特別養子縁組の成立の審判の申立ての時に6歳未満であることが要件でしたが、
- 2 改正後は、原則として特別養子縁組の成立の審判の申立ての時に15歳未満であることとなりました。(改正民法817条の5第1項前段)
- 例外として
- ①15歳に達する前から養親候補者が引き続き養育している場合で、かつ、
- ②やむを得ない事由により15歳までに申立てできなかった場合
は15歳以上でも審判の申立てが可能となりました。
(改正民法817条の5第2項) - 二 審判確定時における上限年齢
審判確定時に18歳に達している者は、特別養子縁組ができません。
(改正民法817条の5第1項後段) - 三 養子候補者の同意
養子候補者が審判時に15歳に達している場合、その者の同意が必要になります。
(改正民法817条の5第3項) - 第二 特別養子縁組の成立の手続の見直し
(家事事件手続法及び児童福祉法の改正)
- 改正後の手続
- 一 二段階手続の導入(新家事事件手続法164条、164条の2関係)
特別養子縁組を以下の二段階の審判で成立させることになりました。 - ① 実親による養育状況及び実親の同意の有無等を判断する審判(特別養子適格の確認の審判)
- ② 養親子のマッチングを判断する審判(特別養子縁組の成立の審判)
養親候補者は、①の審判における裁判所の判断が確定した後に試験養育ができることになります。 - 二 同意の撤回制限(新家事事件手続法164条の2第5項関係)
実親が上記一の①の手続の裁判所の期日等でした同意は、2週間経過後は撤回ができなくなります。 - 三 児童相談所長の関与(新児童福祉法33条の6の2、33条の6の3)
児童相談所長が上記一の①の手続の申立人または参加人として主張・立証をすることができることになりました。