日本人が外国籍の人と結婚して生まれた子供の国籍ー
「重国籍」と「日本国籍の選択」

2017(平成29)年10月13日

 世界各国では、それぞれにその国の国民となる要件、すなわち「国籍」を定める法律があります。

 国籍の決定に関しては、大きく分けて「血統主義」と「生地主義(出生地主義)」があります。

 「血統主義」は、親の国籍を基準として子の国籍を定める制度であり、その中には父がその国籍か否かによって決定する「父系血統主義」と、父母のどちらかがその国籍を有していることによって国籍を認める「父母両系血統主義」があります。

 「生地主義(出生地主義)」は、父母の国籍を問わず、その国で出生したものに国籍を付与する制度です。

 日本の国籍法は、「父母両系血統主義」を採用しています。
 すなわち、国籍法2条1号は、子の出生の時に父又は母が日本国民であるとき、子は日本国籍を取得すると定めています。

 従って、外国籍の人と結婚した日本人の子であれば、
当然に日本国籍を取得します。

 また、その子は、外国籍の人の子でもあるわけですから、その外国籍の法律により外国籍をも取得する場合があります。

 その子が出生により日本国籍だけでなく外国の国籍も取得した場合を「重国籍」といいます。

 日本の国籍法は、「重国籍」状態をできるだけないようにする「国籍唯一の原則」を採用しています。

 国籍法の「国籍唯一の原則」は、子の出生による「重国籍」の場合も適用になります。

 その子が「出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれた」場合は、戸籍法の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼって日本の国籍を失うと定めています。
(国籍法12条)

 そして、戸籍法104条1項・2項は、国籍法12条に規定する国籍の留保の意思の表示は、出生の届出をすることができる者が出生の届出とともに出生の日から3か月以内に日本の国籍を留保する旨を届け出ることと定めています。

 なお、「重国籍」の子が日本国内で出生した場合は、日本国籍留保の意思表示をする必要はありません。

 また、国籍法は、「重国籍」の状態を解消するために、国籍法14条に「国籍の選択」制度を定めています。
「国籍の選択」制度に関しては、
「外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することになった時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに」「外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによってする」と定めています。
(国籍法14条1項2項)

 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民が前記の二十二歳までに日本の国籍の選択をしないものに対して書面で国籍の選択をすべきことを催告することができ、催告を受けた者は、催告を受けた日から1月以内に日本の国籍の選択をしないと、その期間が経過した時に日本の国籍を失います。(国籍法15条1項ないし3項)

 また、「選択の宣言」をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならないと規定されています。(国籍法16条1項)

 

参考文献

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