個人企業の会社の代表者が交通事故で死亡した場合,会社の代表者個人の損害賠償請求の外に,会社の損害(会社に固有の損害が生じた場合の会社の損害・いわゆる企業損害)を請求できるか?
2013(平成25)年12月23日
2024(令和6)年3月26日改訂
2024(令和6)年3月26日改訂
交通事故で会社の代表者が死亡した場合,会社の代表者個人に発生した死亡による慰謝料や逸失利益等の損害の賠償請求は,会社の代表者の相続人がその権利を行使します。
会社の代表者個人の損害の外に,その会社に固有の損害が生じた場合に,会社がその固有の損害を賠償請求できるかという問題があります。
最高裁判所(昭和43年11月15日判決)は,
交通事故による傷害事案ですが,実質上の個人企業で会社とは名ばかりで,会社の実権が代表者個人に集中して,その代表者に会社の機関として代替性がなく,経済的に代表者と会社とが一体性を有すると認められるような場合で,加害行為とその受傷による会社の利益の喪失との間に相当因果関係がある場合には,会社固有の損害賠償請求権を認めていますが,それ以外の場合は,会社からの固有損害の賠償請求権は否定しています。認められた場合でも,会社の損害のどの範囲が賠償請求の対象となるのかについても難しい問題が残っています。
仮に認められた場合でも,会社の損害のどの範囲が賠償請求の対象となるのかについても難しい問題が残っています。
なお、鹿児島地方裁判所鹿屋支部令和4年2月7日判決(交民55・1・126)は、
高次脳機能障害等(別表第1の1級1号)の代表取締役について、被害者本人に休業損害及び後遺障害逸失利益を認めるとともに、会社についても休業損害及び後遺障害逸失利益を肯定し、これを会社の解散の際に現物配当を受けた株主に認めました。