扶養について
2022(令和4)年3月26日改訂
1 「扶養」の定義
扶養とは、自分の資産・労力で経済的に生活できない者に経済的援助を与える制度です。
扶養には、生活保護法等による公的扶助(社会保障制度)と家族間で行われる私的扶助(親族扶養)があります。
2 「親族扶養の優先」
公的扶助には、補充性(補足性)の原則ないし親族扶養優先の原則があり、親族扶養が公的扶助に優先するとされています。(生活保護法4条)
3 「親族扶養の扶養義務者」
親族扶養に関して民法は、第1に「直系血族及び兄弟姉妹」について「当然に扶養義務が生ずる」と規定し、第2に「3親等内の親族間」においては「特別の事情があるとき」に家庭裁判所が審判により扶養義務を負わせることが出来ると規定しています。(民法877条)
※ 直系血族及び兄弟姉妹以外の親族に扶養義務を負わせる(設定)場合は、別表第1(旧甲類)で審判でしかできません。(家事事件手続法182条~186条)
4 「扶養の順序」
扶養義務者が複数いるときには、全扶養義務者と被扶養者との協議で順序を定め、協議が決まらないとき、または協議することができないときは家庭裁判所の審判で定めます。
5 「扶養の程度・方法」
扶養の程度・方法についても、全扶養義務者と被扶養者の協議で定め、協議が決まらないとき、または協議ができないときは、家庭裁判所の審判で決めます。
家庭裁判所は、「被扶養者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して」扶養の程度・方法を定めます。
6 「過去の扶養料の求償」
一部の扶養義務者がなした扶養の内、他の扶養義務者に対し立替した扶養料として求償請求を出来るかが問題となります。
被扶養者の遺産分割において寄与分として清算すればよいとの考え方もありますが、被扶養者に積極的な財産の遺産がなかった場合求償できないとすることは衡平でなく、求償請求を認めるのが妥当と考えます。