大キレットと北穂高岳(登山)

2010(平成22)年7月30日

 槍ヶ岳と北穂高岳を結ぶ稜線の北穂高岳近くに「大キレット」と呼ばれるところがあります。今回はそこを通過しました。
 「大キレット」は,一般登山コースの中で最難関のコースの1つで,滑落事故が多く発生しているところです。相当程度の岩壁登攀(とうはん)技術と身体のバランス操作が求められるハードなコースです。
 今回の登山1日目は槍ヶ岳に登り,槍ヶ岳山荘に宿泊しました。
2日目は前日合流したS氏と一緒に,槍ヶ岳山荘を朝5時に出発して北穂高岳を目指しました。
 槍ヶ岳山荘から,飛騨乗越(ひだのっこし)を過ぎ,大喰岳(おおばみだけ・3101メートル)から中岳(3084メートル)を通り南岳(3032メートル)に登りました。ここに午前7時前に着きました。
 その南岳下にある南岳小屋のすぐ近くから「大キレット」(キレットは漢字で「切戸」と書き,稜線が深く切れ落ちている地形をいうそうです。「窓」とも呼ばれるそうです。)と呼ばれている岩場が連続する険しいルートが始まります。
 「大キレット」は,いきなり南岳側の岩場を200メートル程度一気に下ります。
 クサリやハシゴの連続する難所を下りると大キレットの底の稜線に着きました。
そこからやせた稜線を進んで急な岩場の斜面を必死に登りつめると長谷川ピーク(2841メートル)に着きました。
 そこから続く非常に痩せた稜線を両手足を使い3点確保でバランスをとりながら進んで行きました。
 「大キレット」は,そのほとんどの箇所が足元からスパッと切れ落ちた断崖で,高度感のある,下を見ると恐怖を覚える緊張する場所の連続でした。
 「大キレット」の唯一の休憩ポイントである「A沢のコル」で約10分間休憩しました。
 「A沢のコル」から今度は一気に登りになります。
 いままでより更に急峻な岩壁を登る箇所になりました。
 一旦登り切ると北穂高小屋が真上に見えるところに出ます。そこから一気に200メートルをロッククライミングで登りつめました。
 すなわち「大キレット」の北穂高岳側の終点の断崖の上に北穂高小屋があるのです。その断崖の真上にせり出して建っている北穂高小屋の広いテラスから見る「大キレット」や南岳,槍ヶ岳等の山々の景色は絶景です。
私は,最後の200メートルの断崖を登りつめて北穂高小屋に着いた時はへとへとでした。
 S氏は長年の岩登りの経験があるので涼しい顔で余裕でした。
 槍ヶ岳山荘から北穂高小屋まで5時間でした。
 北穂高小屋からすぐのところに北穂高岳(3106メートル)があります。
 北穂高岳からも,「大キレット」,そしてそれに続く南岳や槍ヶ岳が美しく見えました。
 今回の山行は4日間とも天気に恵まれて槍ヶ岳そして穂高岳を堪能することができました。
 「梅雨明け10日」とはよく言ったものです。

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    参考文献
    1 山と高原地図37・2009―昭文社
      槍ヶ岳・穂高岳 
      調査執筆/磯貝猛
    2 山と高原地図プラスー昭文社
      日本百名山を登る・下巻
    3 山と渓谷2010・7―山と渓谷社
      特集北アルプス憧れの岩稜ガイド
    4 アルプス登山ガイド-昭文社
      アルプス2009全面改訂版
    5 ヤマケイジョイサマーー山と渓谷社
      特集夏の北アルプスへ
    6 ヤマケイアルペンガイド7―山と渓谷社
      北アルプス槍・穂高連峰
      渡辺幸雄著

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