法律事務所のOA化パート8
このシリーズの8回目になります。(過去7回は山形県弁護士会報に投稿しています。)
パソコン通信のPC-VANが2001(平成13)年2月から使用できなくなり,インターネットに移行しました。(このパソコン通信には平成2年から加入していました。)
それにより,それまで日本国内のみならず海外からもパソコン通信していた道具・携帯型ワープロNECアルデータCA2000T(非常に便利に4年以上使用してきた愛着があるツールです。)がインターネット接続機能がなく通信不能となりました。
アルデータでの出張先からの起案の送信や事務所からの連絡メールの送受信ができなくなったことから,出張中に迅速かつ効率的に仕事を処理するために,数年前に購入していたモバイルギア(NEC・MC-R300)を引っぱり出しました。
このモバイルギア(NEC・MC-R300)は,PDAとしてはキーボードのキーの幅があり入力しやすく原稿起案等の比較的長い文章作成に適していること,そして,事務所以外のどの場所でも電池の駆動時間の心配なく作業できるように乾電池式で単3電池2本で駆動するようになっており,電池がなくなれば新しい単3電池2本を入れ替えて更に作業することが可能です(充電池式だとコンセントから電気をとって充電することが必要になり,近くにコンセントがなければお手上げとなる。)。
更にウインドウズCEなので電源をいれると瞬時に立ち上がり,電源を切る前の状態が復元されるので,モバイラーとしては非常に有り難い道具です。
しかし,駆動時間を長くするためにモノクロの非常に暗い画面で目にしんどいこと,そして,ウインドウズCEのポケットワードの日本語変換効率が悪いことから,もっと明るい画面で,かつ,日本語変換効率がよいワープロソフト一太郎の日本語変換ソフトATOCの最新版が使用できるものを探しました。
電気店をいろいろ回り,シャープのソラリスやザウルス,日立のペルソナ,ヒューレッドパッカードのジョルナダ,パーム等を試しましたが,それぞれ一長一短あり(カラー液晶画面は見やすいが駆動時間が比較的短いのでほとんど毎日充電しなければならないことになり面倒であること,液晶画面が大きいと見やすいが大きすぎて常時携帯する鞄に入りきらないこと,パームは小さくて駆動時間も長くモバイル機器としては良いが,キーボード入力ができず(別売りのキーボードがあるが小さすぎてブラインドタッチは難しい。),比較的長い文章を作成することが多い私には不適であること,ウインドウズ98,2000,MEは立ち上がりに数分かかり細切れ時間での使用に耐えず,ウインドウズCEの瞬時に立ち上がる軽快さにはかなわないこと等があり,その選択は結局は何を主目的として使用するかによって選ぶしかありません。
私は,手提げ鞄に入れて携帯できること,長文入力がやりやすいこと,電源が確保できない場所でも安心して作業できるように乾電池で駆動すること,瞬時に立ち上がり電源を切る前の状態を復元すること(前の文章入力中の画面が電源をいれると立ち上がること)を目安として選択した結果,やはりモノクロの画面で多少画面が明るくなったモバイルギアMC/R330を39,800円で2001(平成13)年3月に購入しました。
それにパナソニックのカードモデム(デジタル携帯通信カードTO-CAD9600)を装着してデジタル携帯電話に接続してインターネットに繋げるようにしました。
しかし,このデジタル携帯通信カードが寿命なのか使用不能になり,別のカード-株式会社アイ・オー・データ機器社のデジタルセルラーPCDC-96Pを購入しました。
以前に購入していたモバイルギア(NEC・MC-R300)にはアナログモデムカードNEC(JX-MC1)を装着して音響カプラーを接続し,どんな種類の電話機でもその受話器から音響カプラーを通してインターネットに国内のみならず海外からもアクセスできるように設定しようとしました。
ところが,数年前から使用していた音響カプラーがこれまた寿命のようで別の音響カプラー「テレカプラー?プラス」を購入しました。それで電話があるところであれば国内の携帯電話が使えないところでも海外のどこででもモバイルギア(NECMC-R300)を使用してインターネットでメールの送受信ができるようになりました。
この通信設定が電池切れとかで消滅した場合に備えて,株式会社メルコ製のコンパクトフラッシュカードRCF-c(32MB)を購入し,MG運用アシストを使って通信システムをコンパクトフラッシュカードに記憶させ,海外で使用する場合の万が一に備えました。
これで,平成11年1月に購入し使用しているシャープのメビウスのノートパソコン(PC-PJ1-M3・OSはウィンドウズ98)にデジタル携帯電話アダプターを装着してのデジタル携帯電話でのインターネット接続,モバイルギアMC/R330にカードモデム(デジタルセルラーPCカードPCDC-96P)を装着してのデジタル携帯電話でのインターネット接続,そして,J-PHONEのSHARP製のデジタル携帯電話SH-03を直接使用してのインターネット接続が可能となり,合計3つの道具でのEメール送受信が可能となりました。
因みに,J-PHONEのメールはロングメールで3000文字の送受信が可能であり非常に実用的です。
レジメや報告書や随筆等の比較的短い文書は,モバイルギアMC/R330で出張先や裁判等の細切れの空き時間に書きためて,書き終えたらその文章をファイル添付のEメールで事務所に送信して,事務所のサーバーのハードデイスクに保存します。
出張先での訴状や準備書面等の長文の起案は,シャープのメビウスパソコン(PC-PJ1-M3)を使用して日弁連会館の15階の会員執務室(ここは起案をするには最高の場所です。)や東京地裁の弁護士控室等で行い,書き終えたらその文章をファイル添付のEメールで事務所に送信して,事務所のサーバーのハードデイスクに保存します。
シャープのメビウスパソコン(PC-PJ1-M3)は4ギガのハードデイスクをもっていますからテキストファイルデータを保存する容量としては十分ですが,ハードデイスクはいつ壊れるか分からないので,起案中のデータのバックアップをとるために何回も書き込みや消去ができるCD-RWの機器・RICOH製のMP7122SEを平成13年3月に購入しました。
これは,PCカード接続によりノートパソコンのカードスロットにPCカードを挿入して接続して使用できる機器です。
もう少し小さいものも考えたのですが,バックアップのための機器であればそれほど持ち歩かなくてもよいと思い比較的大きくて処理速度の速いタイプにしました。
これでこまめにバックアップをとっておけば万一シャープのメビウスノートパソコン(PC-PJ1-M3)のハードデイスクが壊れてもデータはバックアップCD-RWで復元できます。
モバイルコンピューテイングのためにいろいろの機器を購入していますが,ほとんど使わないでお蔵入りした機器も少なからずあります。そして,新しいモバイルノートパソコンとしてB5サイズのノートパソコンを平成13年3月頃から物色していました。
平成13年4月頃にカシオ計算機のカシオペアFIVA MPC-206が新発売され,それは電源スイッチをいれてから10秒で利用できるようになる「高速RAMレジューム」機能を採用し,また,CPUにトランスメタのクルーソープロセッサ「TM5600」を搭載して標準バッテリーで4,5時間,大容量バッテリーで最大9時間の長時間駆動を実現したとの記事があり,大変心動かされました。
しかし,その後実物を見ましたが,あまりに小さく両手でのキーボード入力は困難で,比較的長文入力の多い私には向かないので購入はしませんでした。
その後平成13年6月にIBMからモバイルノートパソコンでB5サイズのThinkPad-iSeries(2639-4AJ)S30が発売され,またまた心を動かされました。
これはトラックポイントがあり,タッチパッド方式と比較してカーソルの飛びがないこと,そして,指のホームポジションを移動しないで操作できること,ハードディスクが20GBで充分の容量であること,ディスプレーは10.4型XGATFT液晶で鮮明であること,更に,世界数十か国で使用できるモデムが内蔵されており,海外でのモバイルコンピューティングに最適です。また標準バッテリーの駆動時間も約6.5時間でモバイルコンピューターとしては充分な時間が確保されています。
更にすぐれている点は,ワイヤレスLAN(4AJ)が内蔵されており,国内外のホテルや空港などで始まったワイヤレスWebアクセスサービスに適合していることです。これが利用できれば海外に行ったときにたちはだかっている最大の難関であるパソコンへのホテルや空港等での電話回線の接続の困難を回避して,無線LANエリアにパソコンを持ち込みさえすれば自動的にインターネットに接続できます。
大変魅力的なパソコンなので平成13年7月31日にゲットしました。(OSはウィンドウズMEです。)
この無線LANサービスを提供している国内の場所は,IBM関係では,2001(平成13)年7月時点では京王プラザホテル(新宿),センチュリーハイアット東京(新宿),日本空港の成田空港サクララウンジです。
IBMiシリーズS30内蔵の無線LANによるワイヤレスWebアクセスサービスを利用しやすいように,現在契約しているBIGLOBEのプロバイダーの外にAOLにも加入しました。AOLは世界最大級のプロバイダーで世界中にアクセスポイントがあり世界中どこからでも同じID,パスワードでインターネットにアクセスできるようになっています。
一方BIGLOBEの海外でのアクセスポイントは少なく,アクセスポイントがないところではローミングサービスを利用できますがこれがうまく接続できませんでした。(多分私の技術力不足が原因と思います。)
一方,AOLはインターネットWeb上でのメールの送受信ができるようにしているので,IBMシリーズS30内蔵の無線LANでワイヤレスWebアクセスサービスを利用すれば,海外から割安の料金で事務所や友人とのEメールの送受信が可能となります。
3年前に3週間ヨーロッパに旅行したときは毎日ヨーロッパから東京まで国際電話をしてパソコン通信の東京のアクセスポイントに入り事務所とメールのやりとりをしましたが,そのときの通信料金は6万円弱かかりました。とりあえず平成13年9月に京王プラザホテルで無線LANを体験して,その後IBMS30を海外に持ち出して無線LANによるメールの送受信体験をしたいと思っています。
これで海外からのEメールの送受信環境があらかた整備されたことになります。あとは,いつ,どこに海外旅行に行くかを決めるだけですが,国内の仕事の処理が多くまだ予定は立っていません。