ベトナム料理の食材,料理,並びに果物,そして料理店等
最近ベトナム・ホーチミン市(旧サイゴン市)に行く機会があり,ベトナムの料理や果物を食してきたので,それを略述します。
ここに記載した事柄は,私のベトナムでの体験ですが,詳細及び名称等は昭文社刊マップルマガジン2006まっぷるベトナム(Vietnam.ホーチミン,ハノイ,アンコールワット)の本を参照させていただきました。
第一 ベトナム料理の食材
1 ハーブ
ホーチミン市のタンソンニヤット空港に降り立ち,空港の建物内に入るとベトナム料理の独特の匂いがしてきます。
その匂いの元がニョクマム(魚醤)とハーブです。
ベトナム料理に使用するハーブには以下の種類があります。
その他にもいろんな種類のハーブがあるのだと思います。
- (1) コリアンダー(カメムシの匂いのような独特な香りがする。色々な料理に使用します。好き嫌いがある。)
- (2) バジル(ほのかな甘みと渋みがあり,ベトナム料理で代表格の生春巻き(ゴーイクオン)や麺類に使用される。)
- (3) ミント(すっきりした爽快な香りです。生春巻きなどライスペーパーを使う料理に入っている。)
- (4) シソ(日本のアオジソとアカジソの中間のような色合いで,生で食べることが多い。)
- (5) ディル(主に北部ベトナムで魚のスープなどに入れられる。ぴりっとした香りです。)
- (6) ドクダミ(日本にも沢山生えています。ベトナム人でも苦手な人がいるほど強烈な匂いがします。生春巻きなどに入ります。)
- (7) タデ(タデ食う虫も好き好きのタデである。日本で焼いた鮎を食べるときに出てくるタデ酢のタデであり,独特の香りがあり苦い。解毒作用があるという。ホビロンを買うとタデの葉もくれるらしい。ホーチミン市内の露店でホビロンを売っていたが,私は鳥インフルエンザが怖くてホビロンには挑戦しませんでした。ちなみにホビロンには強精作用があるらしいです。)
沢山のハーブを重ねてエビや魚の切り身に巻いて食べる
2 調味料
- (1) ニョクマム(イワシやアジなどの小魚を発酵させて造った魚醤です。ニョクは水,マムは魚を意味する。同じような魚醤がタイにもあり,タイではナムプラーという。タイのナムプラーも魚の水の意味である。
日本では秋田県のショッツル,石川県の能登のイシリ,などが魚醤である。) - (2) ニョクトゥン(大豆やピーナッツが原料のベトナム醤油)
- (3) チリソース(トウガラシの辛さが特徴の赤い液体の調味料。フォー(ベトナムの米麺)のトッピングなどに使われる。)
- (4) スイートチリソース(トウガラシが入った辛いがとろみのある甘いたれで,ニンニク入りもある。)
- (5) 海老塩(海老の粉末と唐辛子と塩その他で作ったオレンジ色の顆粒状の調味料です。ほとんどの料理に合います。これはとても重宝します。ベトナムのスーパーマーケット等で買えます。)
- 以上の調味料を使った色々な種類の調味料があります。
ベトナムでは,料理に応じて色々な種類の調味料が小皿に入れられて出てきますから,どの調味料でどの料理を食べるのかをレストランの人に確認したほうがよいと思います。
(1) ニンニクとトウガラシ入りのニョクマム
(2) ニンニクとトマト入りのニョクマム,
(3) ピーナッツ入りの甘い豆ダレ
(4) チリ(唐辛子)入りのニョクマム
(5) 塩とコショウとライム(これは蒸し海老などによくついてきます。)
(6) ショウガとトウガラシ入りのニョクマム
(7) 匂いがきつい塩辛いニョクマム
(8) トウガラシ入りの醤油
(9) その他
3 果 物
ベトナムには沢山の熱帯果実いわゆるトロピカルフルーツがあります。
- (1) ジャックフルーツ(ベトナム名・ミット・mit)(一抱えもある巨大なジャックフルーツがある。果実の表皮にドリアンよりも細かいとげがある。ナイフで切ると芯の周りにユリの根のように厚い花びらが固まったような果肉が固まりになって沢山ついている。見かけはドリアンに似ている。
果肉はすごく甘いし,強い酸味もあり,甘酸っぱい独特の香りがある。しかし,香りはドリアンほど強烈ではない。ちなみにホーチミン市内やタンソンニヤット空港の土産物店で比較的大きな袋にジャック フルーツの果肉を花びら状にばらばらにして乾燥したドライド・ジャックフルーツを売っています。これはとても美味しいです。土産物としてとても喜ばれます。大きな袋に「Mit」と印刷してあります。)
ジャックフルーツ「リヤカーで引き売りしている」- (2) ドリアン(ベトナム名・サウリエン・sau rieng)(強固な刺だらけの果物で果物の王様と言われています。果肉はとても強烈な匂いがするが,ねっとりしたジェラート状の香ばしくて強く甘い,強いてたとえれば栗のように香ばしく強烈に甘いジェラートを食べているようなものです。とても素晴らしい熱帯果実です。
慣れるとやみつきになる美味しさです。
私はドリアンが大好きでフィリピンでもタイでもベトナムでも食べましたが,ベトナム・ホーチミン市で食べたドリアンがすごく美味しくて,かつ,匂いもそれほど強烈ではありませんでした。
値段も,ベトナムではドリアン1個が1000円以下で食べられます。タイやフィリピンでは桁一つ高かったように思います。ベトナムはドリアンがすごく安いです。果物屋さんの店先で,食べるドリアンを選ぶと,そのドリアンを果物屋さんの従業員が鉈のような刃巾が広く刃先が巾広くて刃先も幅広い刃になっている独特な刃物を器用に使って割ってくれます。使い捨ての薄いプラスチック製の手袋を果物屋さんが用意していてくれるので,その手袋でドリアンの果肉を掴んで果物屋さんの店先で立ち食いします。ホテルにドリアンは持ち込めませんので。
是非一度チャレンジしてみてください。美味しいですよ。)
ドリアン- (3) マンゴー(ベトナム名・ソアイ・xoai)(タイやフィリピンでもとれますが,ベトナムのマンゴーも美味しいです。最近は沖縄県産や宮崎県産の果皮が赤いアップルマンゴーがあり,それも美味しいですが,ベトナムのマンゴーは,ほとんどが果皮が緑色の一般的なマンゴーです。これも美味しいです。)
- (4) ベトナム柿(ベトナム名・サブチェー・xa-bu che)(日本の柿の味に似ています。甘くて私は好きです。ホテルの朝食のバイキングによく出てきていましたので,必ず食べていました。)
- (5) ドラゴンフルーツ(ベトナム名・タインロン・thanh long)(果皮が強烈な赤とピンクの中間の原色で,果肉は白くゴマシオ状に黒い点が果肉に沢山あります。淡泊な味でそれほど甘くないです。さっぱりした味です。これもホテルの朝食のバイキングに沢山ならんでいました。)
- (6) ロンガン(ベトナム名・ニャン・nhan)(竜眼で白いゼリー状の果肉はジューシーで甘い。中国の楊貴妃が好きだったとされているライチに似ている。)
第二 料 理
1 象の耳の魚のフライ(ベトナム名・カータイトゥオン・ca tai tuqng)(メコンデルタ名物の魚のフライで,この魚の大きなヒレが象の耳に似ていることからこの名前がある。野菜やライスペーパーに巻いて食べる。ホーチミン市からメコンデルタのミトーにメコン川クルーズに行くが,ミトー近くのレストランで食べられる。)
ドリアン
2 風船餅(ライスボール)(餅を油の中で揚げていくが,段々膨れてきて中空のサッカーボール大になる。少し甘い味がつけてあり,サッカーボール大の真ん丸い餅を調理ハサミで小片に切り分けて食べる。中華鍋で油で餅を揚げながら餅をサッカーボール大まで膨らませるデモンストレーションは見ていて面白い。なかなか美味しい味である。)
風船餅
3 フランスパンのサンドイッチ(ベトナム名・バインミー・banh mi)
(ベトナムはフランスの植民地だった関係でフランス料理の影響があり,皮がパリパリで中がふわふわの美味しいフランスパンを食べられるが,そのフランスパンに切れ込みを入れてハムや野菜をはさんで出される屋台料理の代表格の有名な料理です。
色んな市場の屋台等で売っていますが,私は機会がなくて見ただけで食べなかった。この次の機会には是非食べてみたいです。)
4 ベトナム米麺(ベトナム名・フォー・pho)(ベトナムの米で作った麺の日本で言えばラーメンです。牛肉入りはフォーボー,鶏肉入りはフォーガーと言います。どちらもさっぱりした味で,ベトナムでは朝食に食べるようです。私はホテルの朝食のバイキングで毎朝フォーを食べていました。前述の色んな種類のハーブをトッピングします。好みでトウガラシをかけて辛くしても美味しいです。)
5 海老のココナッツジュース煮(ベトナム名・トムスーハップヌクズア・tom su hap nuoc dua)
海老をココナッツジュースに浸し,煮込んだ料理です。新鮮な海老はほんのり甘いココナッツジュースで煮ると格段に身が柔らかくなる。これには,先程の調味料の内,塩とコショウとライムにつけて食べるとより風味が増す。
ココナッツの実に沢山の煮た(又は蒸した)海老をデコレートして出すので,盛り付けが豪華で美しいし楽しい。味もグッドです。私は,海老のココナッツジュース蒸しを後記の料理店のゴック・スオンで堪能しました。)
エビのココナッツジュース蒸し
6 生春巻(ベトナム名・ゴーイクオン・goi cuon)
ベトナム料理のなかで最も知名度の高い料理で,海老や豚肉,ビーフン,ハーブなどをライスペーパーで巻き,ニョクマムにつけて食べる。さっぱりして美味しい。
7 ベトナム風お好み焼き(ベトナム名・バインセオ・banh xeo)
米粉生地のお好み焼きです。海老,豚肉,モヤシなどの具がたっぷり入っている。そのままでも,カラシ菜に包んでニョクマムをつけても美味しい。
8 アサリの酒蒸し(ベトナム名・ゲウタイカム・ngheu tay cam)
ハマグリとアサリの中間のような貝の酒蒸しです。塩味が利いていてスープも抜群に美味しい。
後記の海鮮レストラン,ホン・ハイでいただきました。
アサリの酒蒸し
9 空心菜のニンニク炒め(ベトナム名・ザウムオンサオトーイ・rau muong xao toi)
空心菜をニンニクで炒めたもの。味付けは,ニンニク,ニョクマム,塩,コショウといたってシンプルだが,安くて美味しい。庶民的な定番メニューの一つである。
10 ナマズの冬瓜包み蒸し煮(ベトナム名・不明)
後記の焼肉料理店ルーンソンクアンで出た素晴らしい料理です。
冬瓜のなかに,多分なまずが入れてあり,それを蒸して煮た料理です。冬瓜の表面に包丁で切れ込みを入れて,冬瓜を魚に見せてあります。冬瓜の中に入っているナマズも美味しいが,ナマズを包んでいる冬瓜がナマズの旨みを吸収してとても美味しいです。
ナマズの冬瓜包み蒸し煮
11 チャーハン(ベトナム名・コムチェンタップカム・com chien thap cam)
ベトナムのチャーハンは,ベトナムの米料理のなかで最もポピュラーです。ベトナムの長粒米は粘り気がなくパサパサしていてチャーハンにぴったりで美味しいです。具は色々ですが,この名前のチャーハンは,海老のすり身が入ったチャーハンの名前です。
12 大きいワタリガニのような蟹の中華炒め
後記の海鮮レストラン,ホン・ハイで食べた料理です。
大きなワタリガニのような蟹で巨大なハサミをもった茶色がかったずんぐりした丸い形の黒い蟹を包丁でぶつ切りにして,XO醤か豆板醤で甘辛く炒めた料理で大変美味です。
大きいワタリガニのような蟹とアサリ貝
13 ホビロン
アヒルの卵で孵化したものを茹でたものです。中身は雛の形になっています。ベトナムの珍味の一つです。
ホーチミン市内の路上や市場で売られています。ハーブのところで記載したように,ホビロンと一緒に毒消しのタデをくれるようです。
14 ソフトシェルクラブ(柔らかい殻の蟹)
脱皮したてか脱皮直前の殻が柔らかい中くらいの大きさの,丁度上海蟹のような大きさの蟹です。それを立田揚げ風の唐揚げにして食べます。
柔らかい蟹の旨みがたっぷりでビールが進みます。
第三 ドリンク&スイーツ
1 サトウキビジュース(ニョクミア)(ホーチミン市内の色々なところで露店で売っている。サトウキビの茎をドラムを回転させて圧搾する機械で何度か圧搾してサトウキビのジュースを絞り,それにシロップをかけてだしてくれる。とても甘くて美味しい。)
サトウキビジュース(右側の沢山の棒状のものがサトウキビの茎)
左側の金属製のものが圧搾機
2 ハスの実のぜんざい(チェーハッセン)(ハスの実のぜんざいです。温かいハスの実のぜんざいもあるが,私は氷入りの角張ったヒモ状の寒天入りのハスの実ぜんざいを食べた。自然な穏やかな甘みでなかなかの味だった。私は好きです。)
ハスの実のぜんざい
3 ビール
ホーチミン市は年中暑いので,ビールが美味しいです。
人気のビールは,333(バーバーバー・ベトナム語で3をバーといいます。)ビールやタイガービールなどがあります。
私は,ほとんどタイガービールを飲んでいました。
それほど癖がない味です。
第四 料理店
以下の料理店はいずれもホーチミン市内にあります。
いずれも美味しいし,値段も安いです。
1 フースアン(Phu Xuan)
ベトナム宮廷料理を堪能できる店す。オーナーの曾祖父がベトナムのグエン王朝の最後の皇帝に仕えた料理人で,その宮廷料理のレシピを忠実に再現しているとのことです。
盛り付けが繊細で味が素晴らしいです。感じは日本の懐石料理を食べているようです。
私の一押しの店です。
店内にはグエン王朝があったフエのアンティークが沢山飾られています。
皇帝が所有していたものもあるそうです。
2 ゴックスオン(Ngoc Suong)
海老のココナッツジュース蒸しが人気メニューの店です。
1階にはライブショーもあります。
海鮮素材の新鮮さを生かした料理で人気の店です。
海鮮レストラン「ホン・ハイ」
3 焼肉料理 ルーンソンクアン(Luong Son Quan)
ベトナム牛の焼肉料理が有名な店です。
ベトナム牛の焼肉は甘辛いタレで炭火が入った七輪の上に置いた金網にのせて焼きます。柔らかくて美味しいです。前述のナマズの冬瓜包み蒸し煮もこの店で食べました。
店の厨房近くには,ガラスケースに,猛毒のサソリが沢山入れられています。
サソリは唐揚げにして食べるそうです。サソリを食べると元気になるそうです。
私はまだ食べていません。
4 海鮮料理 ホン・ハイ(Quan Hai San Hong Hai )
ホーチミン市内の庶民的な海鮮料理店で地元の人達で非常に賑わっています。
値段はすごく安いが,とても美味しい魚貝類の料理が出ます。
ここでは,前述したアサリの酒蒸し,大きいワタリガニのような蟹の中華炒め,そして,プリプリの海老チリソースを食べました。
とても美味しかったです。
第五 御土産
ベトナムシルクやベトナム雑貨を買うならこの店です。
デザインがとても素敵なベトナムのグッズが勢揃いしています。
ベトナムシルクのブラウスやアオザイ,バッグ,ネクタイ等,日用品では水牛の角で作ったスプーンやフォーク,箸等が沢山あります。
この店の商品のデザインとセンスが良いのには感心しました。
その店の名前は,
エムエム(EM EM)です。
以上