GH TTDC

７期
（1954～56年度）

雨でリーグ戦を中断
甲子園ボウル出場トーナメント開催

２年秋は足立に２度苦杯、３年秋に雪辱果たす

１９５７年卒メンバー（◎は主将）
RE/DE	剣持　昤
RH/LB	多田鴻太郎
RT/DL	山下　富雄
FB/DB	柳内　雅雄
LT/DL	佐々木克彦
LG/DL	◎三木　侃
HB	豊田亀次郎
M	平山　和彦

　1954年の四月、三年生八人、二年生二人の全部で十人しかいなかったタッチフットボール班に、およそフットボールのプレイヤーに相応しくない新入生が一人入った。えらく運動神経が鈍いくせに、三年生に誘われるままのこのこ付いてきてしまった奴がいたのだ。

１年生に長身俊足のＲＥ

　やっと頭数を揃えたチームは、一週間後には聖学院と対戦して、新人がおろおろしている内に勝ってしまった。その後、フットボールに興味を持った一年生が次々に参加してきたが、その中の一人が剣持である。他の選手より頭一つ高い長身で、100メートルを11秒そこそこで走る俊足の剣持は、馬場さんと交替でRＥを務めた。

88番をつけた剣持がするするとダウンフィールドに出て振り返る瞬間、その頭上数十センチに投げられるスポットパスは、ディフェンスが飛び上がっても防ぎようがなく、我がチームのトライフォーポイント（ポイントアフタータッチダウン）の決め手であった。三年のときに健康委員長に選出された彼は、新宿高との運動部の定期戦をまとめあげ、六月には第一回戦を実現させたが、向こうにはタッチフットボール部がなく、残念ながら我々とは無縁の行事だった。現役で東大に進んだ剣持は建築を学び、早々と自分の事務所を開き、将来を嘱望される我らの星だったが、オーストラリア出張中に惜しくも事故で夭折した。

３年生が卒業すると戦力ダウン

1955年、大勢いた主力の三年生が卒業して、新しい三年生三人と半人前の我々二年生が主体のチームとなる非常に苦しい年が始まった。春の憲法大会は、初戦の慶応に20－０で完敗し、一試合だけで終わりとなった。戸山での試合だったのに、応援はこの年卒業の先輩数人のほかは、細見さんお一人だけだったのは、あまり期待されていなったのだろう。このゲームに出場した二年生は、剣持(ＲＥ、ＤＥ)、多田（ＲＨ、ＬＢ）、山下(ＲＴ、ＤＬ)、柳内(ＦＢ、ＤＢ)、佐々木(ＬＴ、ＤＬ)、三木（ＬＧ、ＤＬ）とマネージャーの平山で、豊田が加わったのはもう少し後だった。

足立の新品ジャージとパンツにびっくり

　秋には足立学園高校が新たに連盟に加入し、加盟校が９校になった。足立は、当時の強豪麻布からの転校生が部を作ったと聞いたが、我々よりずっと体格の良い連中が、二チーム近い人数いることに圧倒された。そして、さらに大きな驚きは、新チームだから当然のことだが、全員が新品のジャージとパンツに身を包んでいたことだった。こちらは生徒会から配分される乏しい予算の中から、よれよれになった試合用パンツを一回に一、二着ずつ買い換えていた状況で、全員が揃って新しいユニフォームを着ることは、4年後輩の川上たちが甲子園に行くときまで実現できなかった。西川さんに叱咤激励されても、位負けしてしまった我々は32－０の大差で苦杯を飲んだ。

　この年の秋は、雨で試合消化の遅れたリーグ戦を一時中断して、甲子園ボウル出場校を決めるトーナメントを行うという、異例の年だった。このトーナメントでまたもや足立学園と対戦、２タッチダウンを上げたものの、14－32のスコアで勝利には届かなかった。甲子園には聖学院が出場して善戦したと聞いている。リーグ戦の残りは麻布に12－０で敗れたが、西高には26－０で快勝した。

西川コーチが最新知識を伝授

　この当時は戸山のグラウンドでゲームをすることが多く、キックオフ前とハーフタイムに教室の黒板を使って、西川さんからその日初めて使う新しいプレーやディフェンスフォーメーションの指導を受けるのが常だった。その後、神田の古本屋で山積みになっている、米兵の読み古しのスポーツ・イラストレーテッド誌に、あの西川さんのプレーを見つけたのは驚きだった。西川さんは本場の資料で研究しておられたのだろう。

　1956年、三年生になった我々はようやくフットボールが少し分かってきて、春の憲法大会は準優勝した。また、秋のリーグ戦では足立学園を40－０で下し、前年の雪辱を果すことができた。57年正月のライスボウルには山下がセンターとして出場した。（1957年卒、三木　侃）

試合記録
1954年
５月２日	戸山13－12聖学院	（春季大会）
５月10日	戸山６－21慶応	（春季大会）
５月16日	戸山６－０日大一高	（春季大会）＝関東３位
９月19日	戸山25－０日大一高	（秋季リーグ戦）
10月３日	戸山15－０西	（秋季リーグ戦）
10月９日	戸山50－０九段	（秋季リーグ戦）
10月24日	戸山６－０早稲田	（秋季リーグ戦）
10月31日	戸山（不戦勝）慶応	（秋季リーグ戦）
11月７日	戸山19－25麻布	（秋季リーグ戦）
11月13日	戸山０－12聖学院	（秋季リーグ戦）＝聖学院、早稲田とともに２位
1955年
４月23日	戸山０－20慶応	（春季大会）
９月25日	戸山０－32足立	（秋季大会）
10月23日	戸山14－32足立	（甲子園ボウル出場校決定トーナメント）
11月３日	戸山０－12麻布	（秋季大会）
11月６日	戸山26－０西	（秋季大会）＝関東７位
1956年
５月３日	戸山15－13日大一高	（春季大会）
５月６日	戸山25－０足立	（春季大会）
５月13日	戸山７－44聖学院	（春季大会）＝関東準優勝
６月９日	戸山25－０西	（練習試合）
９月９日	戸山40－０足立	（秋季リーグ戦）
９月16日	戸山０－20聖学院	（秋季リーグ戦）
９月23日	戸山０－14麻布	（秋季リーグ戦）
９月30日	戸山７－26日大一高	（秋季リーグ戦）
10月28日	戸山13－13慶応	（秋季リーグ戦）
11月10日	戸山19－８西	（秋季リーグ戦）＝２勝３敗１分、４位
不明	３年　31－６　1･2年	戸山ボウル）

雨でリーグ戦を中断 甲子園ボウル出場トーナメント開催

１年生に長身俊足のＲＥ

３年生が卒業すると戦力ダウン

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甲子園ボウル出場トーナメント開催