花びしは明治,大正,昭和の三代にわたって続いた多度津町の老舗旅館であった.
 それは,港町としての多度津町の発展とともに一つの時代を築くものであったが,時代の変化に取り残されるように,多度津町が陸上および海上交通の要衝としての重要性を徐々に低下させるにつれて,花びしも旅館としての利用客の減少と後継者の問題から,ついに,昭和45年に廃業のやむなきにいたり,その建物も処分されてしまった.現在は,かって,ここに花びしがあったことを示す石碑が残るのみとなってしまった.
   
 かって,花びしがあったところには,現在,さぬき信用金庫多度津支店が建っている.左手駐車場奥に,上の石碑があるのだが,駐車場ができる前には門柱も残されていたと記憶するが,現在は石碑のみとなっている.