7.4 ランニングスペクトル解析

7.4 ランニングスペクトル解析
7.4.1 はじめに
 スペクトルの時間的変動を見るために,解析範囲を順次移動させながらスペクトルを計算し,一つの図としてスペクトラムを表示したものをランニングスペクトラムといいます.

7.4.2 使い方
 スペクトル解析条件を設定した後,メニューバー-「Spectrum」-「Running」をクリックし,表示される「Running Spectrum」ウインドウで,データ開始点「Init」とスキップ間隔「Skip」を指定して,
「Run」ボタンをクリックします.

 

 先頭位置→
スペクトラム→
 陰線処理→ 
    実行→
 停止→ 

閉じる→ 
    

                                            ↑
                                      Skipを任意に設定するボックス

また,一度スペクトラムを計算すると,ランニングスペクトラムのスピードボタンが有効になります.
このボタンをクリックすれば,ランニングスペクトラムを表示します.
         
          ↑    ↑
  二次元スペクトラム  ランニングスペクトラム ON/OFF

・「Multi Plot」がチェックされているとき,経過時間にそってスペクトルを表示します
・「Multi Plot」の場合,時間軸および振幅の拡大は,メニューバーのWaveをクリックして,「Time Scale」および「Amp Scale」で指定できます.
・「Multi Plot」のチェックをはずすと,各時刻でのスペクトラムを表示し,最後に平均スペクトラムを表示します.このとき,平均回数を「max」dで指定することができます.
・「Stop」で停止し,「Run」で再開します.
・開始点「Init」は,Positionスライダーで設定することもできます.
・解析データが不足すれば,自動的に0を付加して最後まで解析します.

・簡単な陰線処理を行なっていますが,細かなスペクトル図形では,見えにくくなります.このときは,「Hidden Line」のチェックをはずしてください.
・解析部分の移動時間は「Skip Time」に表示されます.これは,データウインドウの1回当たりの移動量を示します.
 Skip Time = Skip * Step * DT
ここで,Skipは「Skip Type」が「Radio Btn」のときは「Running Spectrum」ウインドウの「Skip」で選択した値をとり,「Edit Box」のときは,エディットボックスに設定した任意の数値を表します.
    
 Stepは,メインウインドウの「Step」で指定した値であり,DTは解析データのサンプリング時間です.

7.4.3 使用例

 0.2μsでサンプリング(1msあたり5000回)した32,000個のデータ(6.4msに相当)に対して,stepを10に設定して,2μsごとのデータ1024点のFFT解析を0.1msごとに行って,ランニングスペクトラムを描いたものです.2.048msのウインドウを0.1msずつ移動して,そのスペクトルを重ねて描いたものと考えることができます.

 これは,stepを1にして8192点のFFTを行っても類似の結果を得ることができます.このときのウインドウの時間幅は1.6384msになります.

 スペクトルの分解能はウインドウの幅によって決まりますから,上の方が若干よくなっています.

千葉大学の李成海さんのデータを利用させていただきました.