ぽっかりと口をあけた遺跡の入り口を通りぬけ、たどりついた石造りの建物の中はしんと静まりかえっていました。
丸いドームを乗せた三つの塔、それらをつなぐ、うねるような建物。そして屋波のぶつかり合った所には天を指すような三角柱に囲まれて大ホールがあり、その空間には六つのか細い柱で差し上げられた鉄さび色の球体がまるで無重力のようにふわりと浮かんでいました。
環状に配された建築の中心には微塵の舞い立つ土けたとても大きな中庭があるばかりで、何もない月の表面のようにこれまたひっそりと影を落としているだけなのです。
 くらがりに息づく封印された昔の記憶・・・静けさの中にあってやけに騒がしいのはそんな幻想でした。

旅の業商猫 

伝言の森

空耳と空想い

絵画回廊

水晶森の住人

NEXT

BACK



・・・遺跡・・・