2003/1/19開設
e^xに関する公式の発見 その1

 e^xに関する新しい公式をいくつも発見しました。まず、次のものから示していきます。

[公式1]
 f(x)は、マクローリン展開で無限級数展開したとき収束半径がrであればその半径内のx
において、
 f(x)+(∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}=f(0)・e^x

が成り立つ。
 上の重積分の∫はすべて0〜xの定積分である。


 公式1を用いると、次のような興味ある公式を導くことができます。証明は次を参照ください。
 公式1の証明

いまf(x)=cosxとすると、f′(x)=−sinxより、公式1を用いて、つぎの公式2-1が導かれます(cosxのベキ級数の
収束半径は∞)。

 ∫+∫∫+∫∫∫+・・・を”無限演算子”と名付け、∫+∫∫+∫∫∫+・・・=Λとおくと、

[公式2-1]
  cosx+Λ(cosx+sinx)=e^x


あるいは、cosx+sinx=√2sin(x+π/4)より、次のようにも表現できます。
[公式2-2]
  cosx+√2Λsin(x+π/4)=e^x

 公式2-1や2-2は、なにやらオイラーの公式を連想させます。
オイラーの公式は、cosx+i・sinx=e^ix ですが、e^ix=(e^x)^iより、
  e^x=(cosx+i・sinx)^(1/i)

と変形できますから、cosxとsinxを複素数iを通じてe^xと結びつけているのがオイラーの公式であるということが
できます。一方、公式2-1や2-2は、演算子Λを通じてe^xとcosx、sinxは関連していると見ることができます。

すなわち、
  (cosx+i・sinx)^(1/i)=cosx+√2Λsin(x+π/4)
あるいは、
  (cosx+i・sinx)^(1/i)=cosx+Λ(cosx+sinx)

が成立しているわけです。

 実数世界での演算子Λ=∫+∫∫+∫∫∫+・・・は複素平面の世界と関連し、数学の奥底で結びついているの
かもしれません。

----------------------------------------------

さて、これらの公式にはどんな応用があるのでしょうか。
私が気付いた応用を示します。まだまだいろいろな応用があると考えられます。

[応用1]
 cosx=1−x^2/2!+x^4/4!−x^6/6!+x^8/8!−x^10/10!−・・・
 sinx=x/1!−x^3/3!+x^5/5!−x^7/7!+x^9/9!−・・・

であるから、
  cosx+sinx=1+x/1!−x^2/2!−x^3/3!+x^4/4!+x^5/5!−x^6/6!−x^7/7!+x^8/8!+
となります。
これから、Λ(cosx+sinx)=(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(cosx+sinx)を手計算していくと、
 Λ(cosx+sinx)
   =x+x^2・2/2!+x^3・1/3!+x^5・1/5!+x^6・2/6!+x^7・1/7!
      +x^9・1/9!+x^10・2/10!+x^11・1/11!+x^13・1/13!+x^14・2/14!+・・・------@

となることがわかります。(途中、x^4、x^8、x^12・・・の項が飛んでいることに注意ください。)

 また、@式を利用すれば、e^x=cosx+Λ{cosx+sinx}の式の正しさを検証することができることに気付くでしょう。
実際に正しいことが検証できるのですが、みなさんも、ぜひ手計算で確認してみてください。

ここで、公式2-1は
 e^x=cosx+Λ{cosx+sinx}

ですから、x=π/2とすると、
 e^(π/2)=cos(π/2)+[Λ{cosx+sinx}のx=π/2での値]=[Λ{cosx+sinx}のx=π/2での値]

となります。さて、右辺は、@式でのx=π/2での値ですから、結局、
展開式1−1

 e^(π/2)=π/2+(π/2)^2・2/2!+(π/2)^3・1/3!+(π/2)^5・1/5!+(π/2)^6・2/6! +(π/2)^7・1/7!
     +(π/2)^9・1/9!+(π/2)^10・2/10!+(π/2)^11・1/11!+(π/2)^13・1/13!+(π/2)^14・2/14!+・・・

となります(π^4、π^8、π^12・・・の項が飛んでいることにご注意ください)。

 このようにe^(π/2)の正しい展開式が得られるのです。これが正しいものであることは、次で説明しています。




更新2003/2/1              <公式1の検証>
(追加2003/1/21)

 公式2-1  e^x=cosx+Λ(cosx+sinx) が正しいかいろいろと検証してみましょう。
  上の@式をもう一度書いておきましょう。
  Λ(cosx+sinx)
=x+x^2・2/2!+x^3・1/3!+x^5・1/5!+x^6・2/6!+x^7・1/7!
   +x^9・1/9!+x^10・2/10!+x^11・1/11!+x^13・1/13!+x^14・2/14!+・・・------@

 公式2-1で、x=πとおくと、@式を利用して、
展開式1−2
 e^π=-1+π+(π)^2・2/2!+(π)^3・1/3!+(π)^5・1/5!+(π)^6・2/6! +(π)^7・1/7!
     +(π)^9・1/9!+(π)^10・2/10!+(π)^11・1/11!+(π)^13・1/13!+(π)^14・2/14!+・・・ --------A

となります(途中、π^4、π^8、π^12・・・の項が飛んでいることに注意ください)。

 当初、この式の正しさを検算的に確認するのは難しいのではないか?と思っていましたが、Yさんの指摘がヒントに
なり、簡単に確認できることに気付きました。cosxのマクローリン展開
 cosx=1−x^2/2!+x^4/4!−x^6/6!+x^8/8!−x^10/10!−・・・
で、x=πとすれば、
  -1=1−π^2/2!+π^4/4!−π^6/6!+π^8/8!−π^10/10!−・・・
となります。これを、Aに代入すれば、そのAの正しさはすぐにわかりますね。
また、同様の方法で、展開式1−1の検証もできることはすぐわかるでしょう(それは略)。

つまり、展開式1−1、1−2などはマクローリン展開の方からも導けるわけで、新発見でもなんでもないわけですが、
逆に見れば、これは公式2-1(2-2)の正しさの具体的な検証になっているとも言えます。




追加2003/1/21    <公式の変形、そして無限演算子Λと複素平面との関係>

 公式2-2と類似の別の式をここでは導きます。
公式1は f(x)+Λ{f(x)−f′(x)}=f(0)・e^x ですから、いまf(x)=sinxとおいてみましょう。
ちなみに、sinxもcosxと同様、そのベキ級数の収束半径は∞です)

すると、f(0)=0ですから、
   0=sinx+Λ(sinx−cosx)   -------C

 また、f(x)=cosxとしたときの式は、これまで見てきたように、
   e^x=cosx+Λ(cosx+sinx)  --------D

C+Dより、
  e^x=cosx+sinx+2Λsinx 
    =√2cos(x−π/4)+2Λsinx  --------E

となります。(CやEの正しさも手計算で確めることができます)

 さて、Eとオイラーの公式との関連を調べてみましょう。
 オイラーの公式は、e^ix=cosx+i・sinxより、
  e^x=(cosx+i・sinx)^(1/i)   -----------F
と変形できますから、EとFを比べて、

  (cosx+i・sinx)^(1/i)=√2cos(x−π/4)+2Λsinx 

となります。

 さらに、もう少し考察をしましょう。
D−Cを見てみましょう。
  e^x=cosx−sinx+2Λcosx
    =−√2sin(x−π/4)+2Λcosx --------G

となります。sinとcosの関係が逆になっており、これまでとは少し趣が違います。
これはオイラーの公式とは連関しているのでしょうか。
つぎのようにオイラーの公式を変形すれば、その関係が見えてきそうです。
  オイラーの公式は、e^ix=cosx+i・sinxですから、xを”x−π/2”で置き換えると、

  e^{i(x-π/2)}=cos(x-π/2)+i・sin(x-π/2)
が成り立ちます。
 これを変形すると、
  e^ix・e^(-iπ/2)=sinx−i・cosx 

両辺にe^(iπ/2)をかけて、
   e^ix=e^(iπ/2)(sinx−i・cosx) 
よって、e^ix=(e^x)^iより
   e^x=e^(π/2)(sinx−i・cosx)^(i/1) ----------H

GとHを比較して、結局、
  e^(π/2)(sinx−i・cosx)^(i/1) =−√2sin(x−π/4)+2Λcosx
が成り立ちます。
 これなどを見ても、実平面での無限演算子Λ=∫+∫∫+∫∫∫+・・・は、複素平面と繋がりをもっているような
気がしてきます。

 本ページの冒頭の公式2-2と合わせると、次が成り立ちます。(1/i =-i を用いて上式を若干書き替えました。)
複素世界と演算子Λとの関係

 ● (cosx+i・sinx)^(-i)=cosx+√2Λsin(x+π/4)

 ● (cosx+i・sinx)^(-i)=√2cos(x−π/4)+2Λsinx 

 ● e^(π/2)(sinx−i・cosx)^(-i) =−√2sin(x−π/4)+2Λcosx


上式の左辺はすべてe^xですので、念のため上3式を下記のようにも書いておきます。


 ● e^x=cosx+√2Λsin(x+π/4)

 ● e^x=√2cos(x−π/4)+2Λsinx 

 ● e^x=−√2sin(x−π/4)+2Λcosx





追加2003/1/23     <公式1とマクローリン展開式の類似>

 公式1を眺めていて、面白いことに気付きました。まず公式1をもう一度書いておきます。
[公式1]
 f(x)は、マクローリン展開で無限級数展開したとき収束半径がrであればその半径内のx
において、
 f(x)+(∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}=f(0)・e^x  ------オ

が成り立つ。
 上の重積分の∫はすべて0〜xの定積分である。


 (∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}=∫{f(x)−f′(x)}+∫∫{f(x)−f′(x)}+∫∫∫{f(x)−f′(x)}+・・
ですから、 オを書きなおすと、

   f(x)=f(0)・e^x+∫{f′(x)−f(x)}+∫∫{f′(x)−f(x)}+∫∫∫{f′(x)−f(x)}+・・・  -------カ

となります。

 さて、カをじっと眺めていて、なにかに似ていると気付くことはないでしょうか。
f(x)のマクローリン展開に似ているような気がするのです。 f(x)のマクローリン展開を書くと、

   f(x)=f(0)+f′(0)x/1!+f´´(0)x^2/2!+f´´′(0)x^3/3!+・・・  -------キ

となります。

 キとカは、対称的ななにかが感じられます。
キは、多重回の微分が一つの特徴ですが、一方、カは多重回の積分がその特徴となっています。
そして、いずれも、その多重回の演算は無限に続いていっている。また、どちらも、f(0)が登場している。
この対応は、じつにふしぎです。
宇宙の奥底で、積分世界と微分世界がリンクしている気がします。
ぼんやりそんなことを思ってみるだけで、はっきりしたことは、私には、まったくわかりません・・・




追加2003/1/24          <演算子Λの性質 その1>

 公式1をもう一度書いておきます。ここでは、無限演算子Λ=∫+∫∫+∫∫∫+・・・の性質を探ってみましょう。
[公式1]
 f(x)は、マクローリン展開で無限級数展開したとき収束半径がrであればその半径内のx
において、
 f(x)+(∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}=f(0)・e^x ------オ

が成り立つ。
 上の重積分の∫はすべて0〜xの定積分である。


 公式1の証明でも示したように、オの式の証明の核心は、下の一連の式を上から下まで
足し合わせることにありました。
    f(x)−∫f′(x)=f(0) 
   ∫f(x)−∫∫f′(x)=f(0)x 
  ∫∫f(x)−∫∫∫f′(x)=f(0)x^2/2! 
    ・
    ・
これを上から下まで足し合わせれば、オが成り立つことがわかります。
さて、ここで、上の式を一回つづ両辺微分していっても、もちろん上は成り立っています。
すなわち、
    f′(x)−f′(x)=0
    f(x)−∫f′(x)=f(0) 
   ∫f(x)−∫∫f′(x)=f(0)x 
  ∫∫f(x)−∫∫∫f′(x)=f(0)x^2/2! 
    ・
    ・
が成り立つことは容易にわかります。
 さて、すぐ上を、もう一回つづ両辺微分していっても、つぎが成り立つことはもちろんです。
    f′′(x)−(f′(x))′=0
    f′(x)−f′(x)=0
    f(x)−∫f′(x)=f(0) 
   ∫f(x)−∫∫f′(x)=f(0)x 
  ∫∫f(x)−∫∫∫f′(x)=f(0)x^2/2! 
    ・
    ・
 同様に、何回これを繰り返しても、成り立っていきます。

いま、例えば、すぐ上の一連の式を上から下まで足し合わせれば、

 f′′(x)+(D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}=f(0)・e^x 

となることも、容易にわかるでしょう。Dは一回微分の意味です。1は”なにも演算しない”の意味。
上の考察から、これを一般化すれば、つぎのようになります。
定理1

 公式1を両辺n回微分すると、次式が成り立つ。

 D^n・f(x)+(D^(n-1)+D^(n-2)+・・+D^2+D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f(x)−Df(x)}
  =f(0)・e^x 


  オの両辺を例えば3回微分すれば、

   D^3・f(x)+(D^2+D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}=f(0)・e^x 

となることは上の定理よりすぐにわかりますね。D^2は2回微分、D^3は3回微分です。

 ここで、演算子Λの形式的な性質を導いておきましょう。
定理1より、すぐわかることですが、(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f(x)−f′(x)}は、これをn回微分すれば、
(D^(n-1)+D^(n-2)+・・+D^2+D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}になります。

すなわち、つぎのようになります。
  D^n(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f(x)−f′(x)}
        (D^(n-1)+D^(n-2)+・・+D^2+D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}


さらに、Λの一般的な性質をしらべましょう。
いま
    F(x)=(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)f(x)
とおくとします。すべての積分範囲は0〜xです。
上は、
   F(x)=∫f(x)+∫∫f(x)+∫∫∫f(x)+・・・
と同じです。
 上式の両辺を微分すると、
   F′(x)=f(x)+∫f(x)+∫∫f(x)+・・・
となることは容易にわかります。すなわち、これは、
   F′(x)=(1+∫+∫∫+・・・)f(x)
ということです。

さらに、同様にして、上式を微分すると、
  F′′(x)=f′(x)+f(x)+∫f(x)+∫∫f(x)+・・・
       =(D+1+∫+∫∫+・・・)
となることもすぐにわかります。
これを繰りかえしていくと、F(x)をn回微分したものは、

  F^(n)(x)=(D^(n-1)+D^(n-2)+・・+D^2+D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・)f(x)

となることがわかります。
規則的な性質が見つかりましたので、次のように定理としてまとめておきます。

定理1−2

 関数F(x)=(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)f(x)において、

  F^(n)(x)=(D^(n-1)+D^(n-2)+・・+D^2+D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・)f(x)

 が成り立つ。D^nはn回微分、F^(n)(x)はF(x)がn回微分されたもの。





追加2003/1/24          <演算子Λの性質 その2>

 公式1のf(x)+(∫+∫∫+∫∫∫+・・){f(x)−f′(x)}=f(0)・e^x を、f(x)=・・の形に書きかえれば、つぎのようになり、

   f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)}  -------カ

となることは容易にわかります。
 私は、この表現の方が好きなので、一つ上と本質的にはまったく同じことですが、次々と微分していった式を導いておき
ます。いきなり、書き下していきます(カの式も含む)。

   f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}

   Df(x)=f(0)・e^x+(1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}

   D^2・f(x)=f(0)・e^x+(D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}

   D^3・f(x)=f(0)・e^x+(D^2+D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}
     ・
     ・
 これらが成り立つのは、明らかでしょう。詳しくは、一つ上のその1を見てください。



2003/2/5追加   公式1 f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)} のある性質

 公式1 f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)}  ・・・・・・・@

は、両辺を何回微分しても形が変わらないという性質をもっています。

 @の両辺を1回微分してみましょう。上の定理1を用いて、

 f′(x)=f(0)・e^x+(1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)}
     =f(0)・e^x+1{f′(x)−f(x)}+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)}

上は結局、
  f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)} 
と同じであることがわかります。
 これをさらに微分してもまた元に戻りますから、結局、@は何回微分してもその形を変えないという性質をもっているの
です。
このことは、上の「演算子Λの性質 その2」で導いたつぎの式とも矛盾しません。(Dは1回微分、D^2は2回微分。)
   D^2・f(x)=f(0)・e^x+(D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}

これも、変形しますと、
   D^2・f(x)=f(0)・e^x+(D+1+∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}
        =f(0)・e^x+D{Df(x)−f(x)}+1{Df(x)−f(x)}+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}
        =f(0)・e^x+D^2f(x)−Df(x)+Df(x)−f(x)+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){Df(x)−f(x)}

となり、すぐわかるように、これは、f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)} と同じだからです。




追加2003/2/9          <他のいくつかの公式の導出>

 別の単純な式をいくつか見つけましたので、書いておきます。

 公式1 f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){f′(x)−f(x)}  -----@
において、
 f(x)=e^x・sinxとおくと、f(0)=0より、
  e^x・sinx=(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(e^x・sinx+e^x・cosx−e^x・sinx)
        =(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(e^x・cosx)

 とシンプルな形になります。

 また公式1で、f(x)=e^x・cosxとおくと、f(0)=1より、
  e^x・cosx=e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(e^x・cosx−e^x・sinx−e^x・cosx)
        =e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(−e^x・sinx)
 となります。
 項を左辺に移すと、これまたつぎのきれいな形になります。

  e^x・cosx+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(e^x・sinx)=e^x

 まとめておきます。
公式3
    e^x・sinx=Λ(e^x・cosx)

    e^x・cosx+Λ(e^x・sinx)=e^x

 Λ=∫+∫∫+∫∫∫+・・・であり、∫の積分範囲はすべて0〜xである。


ちなみに、e^x・sinxもe^x・cosxもともに収束半径は∞です。つまり、任意の実数xに対して、上の公式が成り立つのです。

 あとで、また気付いたことですが、上の結果はつぎの一般的な場合の特別な例になっているということです。
いま、f(x)とg(x)が、f(x)=e^x・g(x)という関係で結びついているとき、f(0)=g(0)より、@の公式1に代入すると、

  e^x・g(x)=g(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){e^x・g(x)+e^x・g′(x)−e^x・g(x)}
        =g(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・){e^x・g′(x)}

となります。つまり、∫+∫∫+∫∫∫+・・・=Λとすれば、
     e^x・g(x)=g(0)・e^x+Λ(e^x・g′(x))  --------A

という簡潔な形になるのです。
公式3では、g(x)がsinxやcosxの場合を考えていたわけです。

-----------------------------------------
 すこし他の例も見てみましょう。
最近、Aさんに、「サインやコサインの後ろに”h”がついているのはどんな関数か?」と聞かれたことがあります。
これはつまり双曲線関数、sinhx=(e^x−e^-x)/2やcoshx=(e^x+e^-x)/2のことですが、これに公式1を適用して
みたくなりました。

 簡単ですので、途中は省き、結果だけ書きます。つぎのような恐ろしく単純な形になってしまいました。

公式4
    sinhx=Λ(e^-x)

    coshx=e^x−Λ(e^-x)


以上。

------------------------------------------------------------
追加2003/2/11 さらに対称的な式を導くことができました。

 まずAを少し変形してみましょう。Aより、
  e^x(g(x)−g(0))=Λ(e^x・g′(x))  ---------B

 さて、いまg(x)をマクローリン展開すると、
  g(x)=g(0)+g´(0)x/1!+g´´(0)x^2/2!+g´´´(0)x^3/3!+・・・
より、g(x)−g(0)=g´(0)x/1!+g´´(0)x^2/2!+g´´´(0)x^3/3!+・・・

よって、これをBに代入すると、
 e^x{g´(0)x/1!+g´´(0)x^2/2!+g´´´(0)x^3/3!+・・・}=Λ(e^x・g′(x)) 

左辺の{}を外すと、
  e^x・g´(0)x/1!+e^x・g´´(0)x^2/2!+e^x・g´´´(0)x^3/3!+・・・=Λ(e^x・g′(x)) -------B

また、Bの右辺は、
  右辺=Λ(e^x・g′(x))
     =(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(e^x・g′(x))
     =∫e^x・g′(x)+∫∫e^x・g′(x)+∫∫∫e^x・g′(x)+・・・

と変形できるので、結局Bは、つぎのように表現できる。

 e^x・g´(0)・x+e^x・g´´(0)x^2/2!+e^x・g´´´(0)・x^3/3!+・・・
                  =∫e^x・g´(x)+∫∫e^x・g´(x)+∫∫∫e^x・g´(x)+・・・ ---C

 対称的で美しい式です。左辺と右辺を比べてください。うーん、と唸ってしまいます。
ちなみに、D式は、関数g(x)・e^xのベキ級数展開の収束半径をrとしたとき、その半径内のxに対して、
成り立つものであることは導出過程から容易にわかるでしょう。

 このCは、f(x)の公式1への適用、すなわち、f(x)つまりg(x)・e^xがマクローリン展開で無限級数表現できることが
ポイントになっていましたので、結局、g(x)はほとんどどんな一般的な関数をもってきてもOKということです。

 



e^xに関する公式の発見 その2

e^xに関する公式の発見 その3


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