e^xに関する公式の発見 その3



2003/3/23              <有用な作用素の発見>

 ある作用素を発見しました。それを用いた定理を中心に述べます。
その前にまず、「その1」での公式1を書いておきます。
[公式1]
 f(x)は、マクローリン展開したとき収束半径がrであればその半径内のxにおいて、

 f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・){f′(x)−f(x)}

が成り立つ。
 上の重積分の∫はすべて0〜xの定積分である。


 「その2」では、(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)を求める方法として、微分方程式を解く手法を紹介しました。
(∫^2、∫^3・・は∫∫、∫∫∫、・・の略式の記法で、すべての∫は0〜xの定積分です。)

 さらに(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)を簡単に求めるまた別の手法発見しました。
ある作用素を作用させるだけで求めることができることがわかったのです。まず定理としてそれを述べます。

見出した作用素は e^x∫e^(-x)です。(この表現ではdxは省略されていることに注意ください。∫は0〜xの定積分です)。
この作用素を関数G(x)に作用させると e^x∫e^(-x)G(x)dxとなりますが不思議なことに(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)は
e^x∫e^(-x)G(x)dxに等しくなるのです。
 すなわち、次の定理が成り立ちます。
定理3
  G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて、次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。


[証明]
 公式1の f(x)=f(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・){f′(x)−f(x)} --------@
を用いて証明する。
 いまg(x)=f(x)・e^(-x) ---------A
とおけば、
   g′(x)=f′(x)・e^(-x)−f(x)・e^(-x)={f′(x)−f(x)}・e^(-x)  -----B
Bより、
   e^x・g′(x)=f′(x)−f(x)   -----C
またAより、f(x)=e^x・g(x) ----------D
Dより、f(0)= e^0・g(0)= g(0)  -----E
@、C、D、Eより、e^x・g(x)=g(0)・e^x+(∫+∫∫+∫∫∫+・・)e^x・g′(x)  -------F
さて、G(x)=e^x・g′(x) -------G
とおくと、
   g′(x)=G(x)・e^(-x)

よって g(x)−g(0)=∫g′(x)dx=∫G(x)・e^(-x)dx ---------H
(∫の積分範囲は、0〜x)
となる。
Fを変形して、
  e^x・(g(x)−g(0))=(∫+∫∫+∫∫∫+・・)e^x・g′(x) ---------I

 さて、いま我々は、(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)を求める問題に直面しているとする。
ここで、G(x)=e^x・g′(x) とおくと、
   g′(x)=e^(-x)・G(x)
であるから、
  g(x)−g(0)=∫g′(x)dx=∫e^(-x)・G(x)dx  -------J
(∫の積分範囲は、0〜x)
となる。
I、Jを利用して、
(∫+∫∫+∫∫∫+・・)G(x)=(∫+∫∫+∫∫∫+・・)e^x・g′(x)
                 =e^x・(g(x)−g(0))
                 =e^x∫e^(-x)・G(x)dx

 よって、(∫+∫∫+∫∫∫+・・)G(x)を求める問題は、e^x∫e^(-x)G(x)dxを求める問題に還元されることがわかった。
証明終わり。
-----------------------------------------------------------------------------------

定理3はじつに強力な定理です。
(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)を直接計算していたらたいへんですが、それがG(x)に作用素 e^x∫e^(-x)を作用させる
だけで求まるというのですから、なんと不思議なことでしょう!

 「その2」の<(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)g(x)は、微分方程式を解くことで求まる>では、例えば、
(∫+∫^2+∫^3+・・・)e^x、(∫+∫^2+∫^3+・・・)x、(∫+∫^2+∫^3+・・・)x^2・e^(-x)、
(∫+∫^2+∫^3+・・・)(x^2−3x+5)、(∫+∫^2+∫^3+・・・)(cosx+sinx)などを微分方程式の手法を用いて求めました
が、もちろん定理3を用いても求めることもできます。
 答えだけ書いておきます。
 (∫+∫^2+∫^3+・・・)e^x=x・e^x
 (∫+∫^2+∫^3+・・・)x=-x−1+e^x
 (∫+∫^2+∫^3+・・・)x^2・e^(-x)=e^(-x)・(-x^2/2−x/2−1/4)+e^x/4
 (∫+∫^2+∫^3+・・・)(x^2−3x+5)=-x^2+x−4+4e^x
 (∫+∫^2+∫^3+・・・)(cosx+sinx)=e^x−cosx

 当然のことながら、定理3を用いても結果は完全に上と一致します。
難しい計算ではないので、みなさんも求めてみてください。

 まったく違う手法を用いても結果が同じになるのは、当たり前と言えば当たり前ですが、ここらあたりが数学の面白い
ところと言えるでしょう。




追加2003/3/25          <類似の公式>

 上と類似の思考から次の定理も容易に導くことができます。(証明は上記証明と類似の方法でできますので略します)
定理4
  G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて、次が成り立つ。

     e^(-x)∫e^xG(x)dx(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。


 定理4は定理3となんと対称的なことでしょう!

その2の微分方程式で求める手法にしても、また今回の作用素で(積分で)求める方法にしても、不思議というか面白
いと思いませんか?

また、定理3と定理4の式を足したり、引いたりすることから、次が成り立つこともわかります。

   ∫+∫^3+∫^5+・・・=1/2{e^x∫e^(-x) + e^(-x)∫e^x}

   ∫^2+∫^4+∫^6+・・・=1/2{e^x∫e^(-x) - e^(-x)∫e^x}

-------------------------------------------------------------

 (∫+∫∫+∫∫∫+・・・)G(x)などはどこまでも続いていく、無限次元的な重積分。ところが、微分方程式にしても
作用素にしても、まったく初歩的な有限次元の計算です。
 無限の式が有限の式で表現されていて興味深いことです。


------------------------------------------------------------
本質的には定理3や定理4と同じですが、次のように演算子だけの形でも表現できます。
例えば、定理3の式は、
     e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)  --------@
ですから、
いま(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)=Λとおくと、上式は、次のように表現される。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx=ΛG(x)  --------A

またAの両辺をe^xで割ると次のようになります。

     ∫e^(-x)G(x)dx=e^(-x)ΛG(x)  --------B

 AやBを見ると、結局、これは共通の関数G(x)に左から演算子がかかっているわけですから、演算子だけをとりだ
してつぎのように表すことができます。

公式8−1

     e^x∫e^(-x) =Λ

 上は作用素=作用素の形で表してある。∫・・dxのdxは略。
ここで、Λ=∫+∫^2+∫^3+・・・で、全ての∫は0〜xの定積分。

 これは、本質的には定理3と同じですが、神秘的な式と思います。

また、同様にして定理4の式 e^(-x)∫e^xG(x)dx=(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)に着目すれば、次の式が成り
立つことは自明でしょう。
公式8−2

     e^(-x)∫e^x =Λ±

 上は作用素=作用素の形で表してある。∫・・dxのdxは略。
ここで、Λ±=∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・で、全ての∫は0〜xの定積分。

 これも本質的には定理4と同じです。

ここで、その1で導いたcosx+Λ(cosx+sinx)=e^x ----@を上の定理3(公式8−1でも同じですが)を用いて、その
正しさを検証できます。部分積分を用いて計算していくと、

  Λ(cosx+sinx)=e^x∫e^(-x)(cosx+sinx)dx=・・・・=e^x−cosx

 となり(途中は省略しました)、@の正しさがわかります。もっとも具体的に(∫+∫^2+∫^3+・・・)(cosx+sinx)を直接的
に延々と計算していっても確めることはできますが、じつにしんどい計算になります。




追加2003/4/2      < ∫=e^(-x)Λ e^x の公式の発見 >

さらに、ある変形に気づきました。定理3と定理4を別の形に変形します。
定理3の式は、次のようですが、
   e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで、G(x)=e^x・F(x)とおくと、F(x)=e^(-x)・G(x)より、上式は、

  e^x∫F(x)dx=(∫+∫^2+∫^3+・・・)e^x・F(x)    -------C
とできます。よって、Cは、

   ∫F(x)dx=e^(-x)(∫+∫^2+∫^3+・・・)e^x・F(x)

この式をよく見てください。これは、とりもなおさず、
 
   ∫=e^(-x)(∫+∫^2+∫^3+・・・)e^x   -------D

ということなのです!不思議な式ではありませんか。もちろん、上は作用素=作用素の形です。

 同様に、定理4のe^(-x)∫e^xG(x)dx=(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)も同じように変形して、

   ∫=e^x(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)e^(-x)

となります。

 さらにこれらを応用して、n回重積分の不思議な表示を出すことができました。1=e^x・e^(-x)の関係を利用し
ます。いま(∫+∫^2+∫^3+・・・)=Λとおくと、Dは、

  ∫=e^(-x)Λe^x

です。よって、
  ∫∫=e^(-x)Λe^x・e^(-x)Λe^x=e^(-x)ΛΛe^x=e^(-x)Λ^2 e^x
  ∫∫∫=e^(-x)Λe^x・e^(-x)Λe^x・e^(-x)Λe^x=e^(-x)ΛΛΛe^x=e^(-x)Λ^3 e^x
   ・
   ・
と続けることにより、一般的にn回重積分は次のように表すことができます。(ΛΛΛをΛ^3などと表しました)

  ∫・・(n回重積分)・・∫=e^(-x)Λ^n e^x

これら一連の結果を公式としてまとめておきます。

公式8−3

     ∫=e^(-x)Λ e^x

     ∫=e^xΛ± e^(-x)

     ∫・・(n回重積分)・・∫=e^(-x)Λ^n e^x

 上は作用素=作用素の形で表してある。∫・・dxのdxは略。
なおΛ=∫+∫^2+∫^3+・・・、Λ± =∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・で、全ての∫は0〜xの定積分。





2003/3/31追加        <無限演算子Λの級数的公式>

 また別の公式を発見しました。
上で、e^x∫e^(-x)G(x)dx=(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)を導きましたが、これを利用してある変形を加えると、次の公式
が成り立ちます。
公式9−1
 Λ=(∫+∫^2+∫^3+・・・)とし、ΛΛ=Λ^2、ΛΛΛ=Λ^3・・・とすると、次の公式が成り立つ。
 (ここで∫^2=∫∫、∫^3=∫∫∫・・であり、全ての∫は0〜xの定積分である)

  ΛG(x)=e^(-x)(Λ+Λ^2+Λ^3+・・・)e^xG(x)

  e^x∫e^(-x)G(x)dx=e^(-x)(Λ+Λ^2+Λ^3+・・・)e^xG(x)

 
 あるいは、関数G(x)にかかる作用素だけを取り出して表現すれば、次のようになります。
公式9−2

   Λ=e^(-x)(Λ+Λ^2+Λ^3+・・・)e^x

   e^x∫e^(-x)=e^(-x)(Λ+Λ^2+Λ^3+・・・)e^x

 上は作用素=作用素の形で表してある。∫・・dxのdxは略。


[証明]
  公式8−1のe^x∫e^(-x)=Λと、1=e^(-x)・e^xを用いて証明します。

 Λ=∫+∫∫+∫∫∫+∫∫∫∫・・・
  =∫+∫e^(-x)・e^x∫+∫e^(-x)・e^x∫e^(-x)・e^x∫+・・・
  =e^(-x){e^x∫e^(-x)+e^x∫e^(-x)・e^x∫e^(-x)+e^x∫e^(-x)・e^x∫e^(-x)・e^x∫e^(-x)+・・・}e^x
  =e^(-x){Λ+ΛΛ+ΛΛΛ+・・・}e^x
  =e^(-x){Λ+Λ^2+Λ^3+・・・}e^x

 よって、公式9−1、9−2の第一式が証明された。(これは公式8−3の第三式を利用しても簡単に証明できる)
また、e^x∫e^(-x)=Λであるから、結局上式は、
  Λ=e^x∫e^(-x)=e^(-x){Λ+Λ^2+Λ^3+・・・}e^x
となる。よって、公式9−1、9−2の第二式が証明された。
証明終わり。

 さらに、別の形のものを出すことができました。次です。
公式9−3
 Λ±=(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)とし、Λ±Λ±±^2、Λ±Λ±Λ±±^3・・・とすると、
 (ここで∫^2=∫∫、∫^3=∫∫∫・・であり、全ての∫は0〜xの定積分である)

   ∫G(x)dx={Λ± + Λ±^2 + Λ±^3 +・・・}G(x)

   ∫=Λ± + Λ±^2 + Λ±^3 +・・・
 

 註:第2式においては、∫dxのdxは略している。

[証明]
 公式8−2のe^(-x)∫e^x =Λ±を用い、上の証明と類似の方法を使います。

e^x∫e^(-x)
   =Λ
   =∫+∫∫+∫∫∫+∫∫∫∫・・・
   =∫+∫e^x・e^(-x)∫+∫e^x・e^(-x)∫e^x・e^(-x)∫+・・・
   =e^x{e^(-x)∫e^x+e^(-x)∫e^x・e^(-x)∫e^x+e^(-x)∫e^x・e^(-x)∫e^x・e^(-x)∫e^x+・・・}e^(-x)
   =e^x{Λ± + Λ±Λ± + Λ±Λ±Λ± + ・・・}e^(-x)
   =e^x{Λ± + Λ±^2 + Λ±^3 +・・・}e^(-x)

よって、e^x∫e^(-x)=e^x{Λ±±^2+Λ±^3+・・・}e^(-x)
が成り立つ。
 これは、すなわち、
   ∫=Λ± + Λ±^2 + Λ±^3 +・・・

ということである。よって、公式9−3が証明された。
証明終わり。

 これらは面白い公式です。演算子の世界にこんな関係があるなんて夢にも思いませんでした。
教科書等では見たことがないので、はじめての結果と思いますが、その意味するところは深いと思われます。
ただ、私の力では、この結果が現代数学とどのようにかかわるのか、さっぱりわからないというほかありません。

 数学を専門にやられている方の意見を聞かせてもらえればうれしいのですが・・・・・




2003/4/4追加        <演算子の自己崩壊現象>

 不思議な現象を見出しました。

      ∫=e^(-x)Λ e^x   ----@

先に導いた上式@を利用して、その現象を見ていきます。
@は、
 ∫=e^(-x)Λ e^x 
   =e^(-x)(∫+∫^2+∫^3+・・・) e^x 
   =e^(-x)(∫+∫∫+∫∫∫+・・・) e^x   -------A

ということです。
ここで、@より∫=e^(-x)Λ e^x であるから、これをAの(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)に代入して、

  A=e^(-x){e^(-x)Λ e^x+e^(-x)Λ e^x・e^(-x)Λ e^x+e^(-x)Λ e^x・e^(-x)Λ e^x・e^(-x)Λ e^x+・・・} e^x
   =e^(-x){e^(-x)Λ e^x+e^(-x)ΛΛ e^x+e^(-x)Λ Λ Λ e^x+・・・} e^x
   =e^(-x){e^(-x)Λ e^x+e^(-x)Λ^2 e^x+e^(-x)Λ^3 e^x+・・・} e^x
   =e^(-2x){Λ+Λ^2+Λ^3+・・・} e^2x  --------B

となります。
 @は特異的な形をしているので、その形を利用して、このように自己増殖的に無限の複雑さを増大させていくことが
できるのです。
 この現象を、演算子の自己崩壊現象と名付けました。”崩壊”という言葉は、直感的に浮かんだだけで、とくに日常的
な”崩壊”とは関係ありません。

 この自己崩壊はとどまるところを知りません。Bをさらに続けていくことができます。

 B=e^(-2x){Λ+Λ^2+Λ^3+・・・} e^2x
  =e^(-2x){(∫+∫^2+∫^3+・・・)+(∫+∫^2+∫^3+・・・)^2+(∫+∫^2+∫^3+・・・)^3+・・・} e^2x

  =e^(-2x){(∫+∫^2+∫^3+・・・)+(∫+∫^2+∫^3+・・・)(∫+∫^2+∫^3+・・・)
         +(∫+∫^2+∫^3+・・・)(∫+∫^2+∫^3+・・・)(∫+∫^2+∫^3+・・・)+・・・} e^2x
  =e^(-2x){(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)+(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)
         +(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)(∫+∫∫+∫∫∫+・・・)+・・・} e^2x ------C

ここで、@より∫=e^(-x)Λ e^x であるから、これをCに代入すると、AからBへの場合と同様にして、

C=e^(-2x){(e^(-x)Λ e^x+e^(-x)Λ^2 e^x+e^(-x)Λ^3 e^x+・・・)
 +(e^(-x)Λ e^x+e^(-x)Λ^2 e^x+e^(-x)Λ^3 e^x+・・)(e^(-x)Λ e^x+e^(-x)Λ^2 e^x+e^(-x)Λ^3 e^x+・・)+・・} e^2x
 =e^(-2x){(e^(-x)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・) e^x
   +e^(-x)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・) e^x・e^(-x)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・) e^x+・・・} e^2x

 =e^(-2x){(e^(-x)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・) e^x
   +e^(-x)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・) e^x+・・・} e^2x
 =e^(-2x){(e^(-x)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・) e^x+e^(-x)(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・)^2・e^x+・・・} e^2x
 =e^(-3x){(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・)+(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・)^2+(Λ +Λ^2+Λ^3+・・・)^3+・・・} e^3x -----D

このように、無限の度合いが増大していきます。しかも、極めて美しい規則正しさで!
もちろん、まだまだこの先も自己崩壊を続けることができますが、この辺でおいときます。

 一番上の∫から始まってDまできていることにびっくりしますね。




2003/8/6追加        <無限重積分∫^∞を求める>

 量子論におけるファインマン経路積分は、無限重積分で構成されています。

 その事実を、保江邦夫(やすえくにお)先生の本(*)で知って以来、無限重積分というものが気になっていました。
 2重積分∫∫や3重積分∫∫∫ならば普通ですが、無限回の重積分というのは、なんとも不思議なものです。
 無限重積分をこれまでの記法にならって、∫^∞と記すことにします。
 つまり、∫^∞=∫∫∫∫∫∫∫∫∫・・・・・・・(無限個の∫)・・・・・・・(dx)^∞

 さて、私は上方で、つぎの式を導きました。
   e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)    -------A

  これは、G(x)という普通の関数の収束半径内のxで成り立つものです。全ての∫の積分範囲は0〜x。
例えば、∫^3は∫∫∫ dxdxdxのことです。

  これなどを利用して、なんとか、G(x)を無限回積分した値を求められないか?とばくぜんと考えていました。

 歩きながら、そのことをぼんやり考えていたら、A式を用いれば求めることができるのではないか・・と気付きました。
そして、∫^∞ G(x)dx を求めることができたのです。

 A式をもう少し詳しく書けば、
  e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+∫^4+∫^5+∫^6+∫^7+∫^8
                            +∫^9+∫^10+∫^11+∫^12+・・・)G(x

と延々と次数の高い重積分が続いていきますが、∫^∞とは、上式のずーっと右へいった究極の∫^∞のものであると
言えます。

 その∫^∞ G(x)だけを取り出したいわけですが、そんなことが可能でしょうか?

 かなり粗い論理かもしれませんが、A式を、Aの両辺を1回微分した次式Bで引けば、∫^∞G(x)だけが取り出せそ
うです(Aに比べてどこまでいっても一つ次数が低いと考えるのです)。

   (e^x∫e^(-x)G(x)dx)′=(1+∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)    -------B

A−Bを実行して、

 e^x∫e^(-x)G(x)dx −(e^x∫e^(-x)G(x)dx)′=−G(x) + ∫^∞ G(x)dx

よって、
∫^∞ G(x)dx =G(x) + e^x∫e^(-x)G(x)dx - (e^x∫e^(-x)G(x)dx)′
           =G(x) + e^x∫e^(-x)G(x)dx - e^x∫e^(-x)G(x)dx -e^x・e^(-x)G(x)
           =G(x) -G(x)
          =0

 と、なんと0になったのです!

  どんな関数をもってきても、その収束半径内のxで∫を実行するなら(∫の積分範囲は0〜x)、その無限重積分は
かならず0になるのです!

 G(x)として、e^xやx・e^xや、x^3-2^2+1やどんな関数を考えても、その無限重積分(全ての∫の積分範囲は0〜x)は
0になります。
 じつに面白い結果ですが、関数をベキ級数展開した状態で考え、且つ積分の性質を考えると、これは意外な結果では
なく、0になるのは当然ということもわかりました。
 e^xなどの無限重積分を一度具体的に計算してみてください。ちゃんと0になります。

 上での粗い論理は論理自体は正しくないのかもしれません。∫^∞G(x)dxがたまたま0であることで、危ない橋をなん
とかわたりきった感もありますが、ともあれ ∫^∞ G(x)dx = 0  が、わかったのは面白い。

 上の結果がわかったことは嬉しいのですが、同時に一つの疑問もわきました。
 上は、積分範囲0〜xのxをG(x)の収束半径内のxで考えましたが、収束半径外のxで考えるとどうなるのでしょう?
 0以外の有限のある値に収束するのでしょうか?それとも、どんな関数でも∞に発散するのでしょうか?

 問題が解ければまた別の問題が出てくるのでしょう。
 読者の方でこの疑問(問題)が解けた方がおられたら、ぜひ教えてください。


* 「Excelで学ぶ量子力学」(保江邦夫著、講談社ブルーバックス)  <--この本はじつに面白い!




e^xに関する公式の発見 その1

e^xに関する公式の発見 その2


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