エネルギーの形態別の仕組み

・エネルギーの形態
  ・運動エネルギー
  ・位置エネルギー
    ・重力による位置エネルギー
    ・弾性エネルギー
    ・電気的な位置エネルギー
  ・熱エネルギー
  ・電磁波(光)エネルギー
  ・電磁気(電気、磁気)エネルギー
  ・化学エネルギー(イオン化エネルギー)
  ・原子核エネルギー
  ・静止(質量)エネルギー
  ・波エネルギー(音エネルギー)
  ・ダークエネルギー

・各形態のエネルギーの説明と仕組み

  ・運動エネルギー

    ・英語表記
      kinetic energy
    ・説明
      運動している物体が持つエネルギー。
      運動エネルギーは、位置エネルギーとあわせて
      力学的エネルギーともよばれ、その総和は常に一定。
      これを「力学的エネルギーの保存の法則」という。
    ・エネルギーを表す式
      (1/2)mv2  m:質量 v:速度
    ・エネルギーを保存する仕組み
      質量を持つ物質の運動として保存される。

  ・位置エネルギー

    ・英語表記
      potential energy
    ・説明
      物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられ
      るエネルギー。
      位置エネルギーが高い状態ほど、不安定で、動き出そ
      うとする性質を秘めている。

  ・重力による位置エネルギー

    ・英語表記
      geo-potential energy
    ・説明
      物が高い場所にあるときに蓄えているエネルギー。
      高い位置にある物は、重力によって落下し、他の物
      を動かす能力がある。
    ・エネルギーを表す式
      mgh  m:質量 g:重力加速度 h:高さ
    ・エネルギーを保存する仕組み
      一般的には、重力場に蓄えられているとされている。
      しかし、重力場にどのように蓄えられているかは不明。
      電磁場の電磁波や光子のようなものは検出されていない。
      私見では、物質内に閉じ込められた光のエネルギー
      として蓄えられている。
      「位置エネルギーは、どのように物質に蓄えられるのか」
      を参照。

  ・弾性エネルギー

    ・英語表記
      elastic energy
    ・説明
      バネやゴムなどの弾性のある物体が変形することよって
      蓄えられるエネルギー。
    ・エネルギーを表す式
      (1/2)kx2  k:ばね定数 x:基準位置からの距離
    ・エネルギーを保存する仕組み
      バネやゴムなどの物体内に蓄えられる。
      分子同士が結合しているのは、原子を構成している
      電子の力であるので、以下に説明する電気的な位置
      エネルギーであるといえる。

  ・電気的な位置エネルギー

    ・説明
      荷電粒子同士で引力や斥力が働くが、力を加えて、
      引き離したり、近づけたりするときに蓄えられる
      エネルギー
    ・エネルギーを表す式
      ((1/4)πε0)(qq'/r)
        q:電気量 r:移動距離 ε0:真空の誘電率
    ・エネルギーを保存する仕組み
      一般的には、電磁場に蓄えられるとされる。
      光子として荷電粒子間を行き来する。

  ・熱エネルギー

    ・英語表記
      heat energy, thermal energy
    ・説明
      ・物体の温度を上げることで増加するエネルギー
      ・熱は物を温めたりする能力がある。
    ・エネルギーを保存する仕組み
      ・原子、分子間力(究極にはクーロン力)に伴う原子
       の位置エネルギー、運動エネルギー。
      ・主に分子の運動エネルギーである。
      ・光によって熱が発生するのは、電磁波によって、
       原子内の電子が振動し、分子全体も振動するから。

  ・電磁波(光)エネルギー

    ・英語表記
      electromagnetic wave (light) energy
    ・説明
      電磁波(光)が持つエネルギー。
    ・エネルギーを表す式
      hν  h:プランク定数 ν:振動数
    ・エネルギーを保存する仕組み
      電磁場または光子の振動。

  ・電磁気(電気、磁気)エネルギー

    ・英語表記
      electromagnetic (electric, magnetic) energy
    ・説明
      ・電荷・電流・電磁波などがもつエネルギー。
      ・モーターを回したり電球を光らせる能力がある。
      ・他の様々なエネルギーに変換でき、また逆に他の
       エネルギーから電気エネルギーにも変換できる。
    ・エネルギーを保存する仕組み
      ・電流(電子の運動エネルギー)
      ・電流は電位差(荷電粒子の量の差)から生じる。
       (電子の位置エネルギー)

  ・化学エネルギー(イオン化エネルギー)

    ・英語表記
      chemical energy
    ・説明
      ・分子内の化学結合と対応した内部エネルギー。
      ・物質の化学反応(化学結合の組換え)によって、
       熱、電気、運動等が起こる。
      ・反応前の物質に化学エネルギーがあったとする。
    ・例
      ・水素やガソリンが燃える。
       酸素との化学反応で熱、光エネルギーが出る。
      ・電池。化学エネルギーを電気エネルギーに変換。
      ・太陽光で化学反応を行わせ、よりエネルギーの高い
       物質に変換して貯蔵する。
    ・エネルギーを保存する仕組み
      ・原子核電荷のクーロン力に伴う核外電子の
       位置エネルギー、運動エネルギー、スピンエネルギー。
      ・主に電気的な位置エネルギーである。
      ・原子内の電子の軌道が関係している。
       軌道が遠いほど、位置エネルギーが高い。
       遠い軌道から、近い軌道に移るとき、光や熱を出す。
      ・分子の結合の組み換えのときに、電子軌道の変化が
       起こり、エネルギーが出る。
      ・水素の燃焼では、H2とO2の合わせた結合エネル
       ギーがH2Oの結合エネルギーより高いから、その
       差でエネルギーが出る。

  ・イオン化エネルギー

    ・英語表記
      ionization energy
    ・説明
      ・原子、イオンなどから電子を取り去ってイオン化
       するために要するエネルギー。
      ・化学エネルギーに含まれる。
    ・エネルギーを保存する仕組み
      ・化学エネルギーと同じ。
      ・原子内に戻って来れないほど、電子を原子核から
       遠くに離してしまうので、エネルギーがいる。
      ・原子内の電子を取り去るときに、要するエネルギー
       なので、電気的な位置エネルギーといえる。

  ・原子核エネルギー

    ・英語表記
      nuclear energy
    ・説明
      ・原子核が分裂、融合するときに発生するエネルギー。
    ・エネルギーを保存する仕組み
      ・原子核内の素粒子の位置エネルギー、運動エネルギー、
       スピンエネルギー
      ・原子核が安定している状態が、一番内部エネルギー
       が低い状態。
      ・安定度は、電磁気力の反発力と、核力の引力の間で
       決まる。
      ・エネルギーが高い状態から、低い状態になると、
       光、熱などのエネルギーを出す。
      ・鉄が一番安定している。
      ・鉄より核子が少ないとエネルギーが高い状態。
       原子核が結合するとエネルギーが出る。
      ・鉄より核子が多いとエネルギーが高い状態。
       原子核が分裂するとエネルギーが出る。

  ・静止(質量)エネルギー

    ・英語表記
      rest (mass) energy
    ・説明
      アインシュタインの特殊相対性理論によって示された、
      質量が存在することにより生じるエネルギー。
    ・エネルギーを表す式
      mc2  m:質量 c:光速度
    ・エネルギーを保存する仕組み
      ・一般的には、素粒子の中に何らかの形で蓄えられて
       いると考えられている。
      ・私見では、物質内に閉じ込められた光のエネルギー
       「位置エネルギーは、どのように物質に蓄えられるのか」
       を参照。

  ・波エネルギー(音エネルギー)

    ・英語表記
      wave energy (sound energy)
    ・説明
      物質の波。水面の波、音波など。
    ・エネルギーを保存する仕組み
      物質の振動。

  ・ダークエネルギー

    ・英語表記
      dark energy
    ・説明
      宇宙の膨張を加速していると考えられるエネルギー。
    ・エネルギーの正体
      真空の持つエネルギーといわれているが、詳細は不明。
      私見では、空間密度の変化と思われる。
      「光と重力」を参照。

・私見では、エネルギーの正体は、次の2つに集約できる。
  ・質量のある物質の運動エネルギー(物質の速度)
  ・光のエネルギー(光の振動数)

・形態間の変換の例

  ・運動 → 位置
    持ち上げ
  ・位置 → 運動
    落下
  ・位置 → 運動 → 電気
    水力発電

  ・化学 → 運動
    動物の運動、爆発

  ・運動 → 熱
    摩擦熱
  ・電気 → 運動 → 熱
    電気冷蔵庫
  ・熱 → 運動
    熱機関

  ・運動 → 光
    摩擦ルミネッセンス(こすったり、つぶしたりしたりする
    物理的な力による発光)
  ・光 → 運動
    放射圧

  ・運動 → 電気
    発電機、風力発電、潮力発電、ピエゾ電気(外部から圧力
    を加えたとき電位差が発生する現象)
  ・電気 → 運動
    電動機(モーター)

  ・運動 → 音
    楽器

  ・化学 → 熱
    燃焼
  ・化学 → 熱 → 電気
    火力発電
  ・熱 → 化学
    吸熱反応、水性ガス

  ・化学 → 光
    化学発光(蛍の光、燐火)
  ・光 → 化学
    光化学反応、光合成、写真

  ・化学 → 電気
    電池(乾電池、燃料電池)
  ・電気 → 化学
    電気分解、電気精錬

  ・化学 → 音
    爆発音

  ・熱 → 光
    熱放射
  ・光 → 熱
    赤外線の吸収、太陽熱温水器、電子レンジ

  ・熱 → 電気
    太陽熱発電、海洋温度差発電、地熱発電、
    ゼーベック効果(物体の温度差が電圧に直接変換される現象)
  ・電気 → 熱
    ジュール熱、電熱器、電磁調理器、電気ストーブ
    ペルティエ効果(異なる金属を接合し電圧をかけると、
    接合点で熱の吸収・放出が起こる現象)

  ・光 → 電気
    太陽電池
  ・電気 → 光
    電球、蛍光灯、発光ダイオード、電子レンジ
    マグネトロン(発振用真空管の一種でマイクロ波を発生する。
    レーダーや電子レンジに使われている)
    エレクトロルミネセンス(EL:主に半導体中において、
    電界を印加することによって発光する現象)

  ・電気 → 磁気
    電磁石、電磁ブレーキ
  ・磁気 → 電気
    電磁流体発電(MHD発電。ファラデーの電磁誘導の法則を
    用いて行う発電。パイプに垂直な方向に磁界をかけ、パイプ
    にプラズマなどの流体を流す)

  ・電気 → 音
    スピーカー
  ・音 → 電気
    マイクロフォン

  ・波 → 電気
    波力発電

  ・音 → 熱
    超音波加熱

  ・熱 → 原子核
    熱核反応の点火
  ・原子核 → 熱
    核分裂、核融合
  ・原子核 → 熱 → 電気
    原子力発電
  ・原子核 → 電気
    原子力電池

  ・原子核 → 光
    太陽、X線・γ線の放出
  ・光 → 原子核
    γ線核反応、核磁気共鳴

物理なんでも帳