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■第2章「雨の中」校異 |
■目安のため、19巻本『川端康成全集』第八巻から相当するページ数を表示しています。
■444ページ |
○(略) 朝刊を取って来るのは菊子の役目のやうだつた。<改行>しかし、たいてい信吾や修一を送り出してから(略)。
■445ページ |
○「相原があげられたのか、警察に…<ナシ>?
○(略) 濡れた新聞がべらつとさがつた。<改行>そのはしを菊子は掌にのせて持ち上げた。
○(略) 相原と心中したはずもないし、今朝の新聞に出るわけもない。<改行>信吾は厠の窓の吹き降りをながめながら、(略)。
■446ページ |
○房子といふ妻の名も出てゐなかつた。<改行>新聞の記事では、信吾の一家にかかはりがない。
○房子はいまだに相原の妻であるかのやうな考へにひつかかつて、わづらはされたり<,>迷つたりしてゐたのは、(略)。
○しかし、相原がかうなるまでに、信吾が助けるすべはなかつたのだらうか。<改行>また、房子が相原を破滅に追いやつたのか、(略)。
○相手を破滅や、<ナシ>不幸に追ひやるやうな性格もあれば、(略)。
■447ページ |
○「さう、怒つてゐた。房子も人を侮辱するにもほどがあると言つてね。<と言つた。>(略)」
○「修一を起こして来なさい。」と信吾は言つた。<改行>立つて行く菊子の後姿を、(略)」
○相原の母のところへ、ときどき金をとどけさせた、<。>
■449ページ |
○(略)離れてゐた二人が再び結ばれ、二人のいつさいが新しく出直すやうなことも、人間にはあり得るだらうと、信吾は<ナシ>じつと思ひつづけた。
○区役所で離婚届を受けつけたところをみると、戸籍は死亡になつてゐないのだらう。<改行>しかし、(略)。
○たとへ<たとひ>母親が新聞を見なかったにしろ、(略)。
○多分相原は助かつたのだと、信吾は想像した。<改行>しかし、(略)。
○修一は割り切つているが信吾にはこだわり<こだはり>が残つた。
○また信吾は離婚届を出す時に、相原の相手の女のことも頭に浮かんだ。<改行>一人の女が確かに死んだ。
■450ページ |
○信吾は<ナシ>老眼鏡までぬるぬるしめるような、いやな日がつづいた。<信吾は>右の胸がどんより重かつた。
○菊子はぱつと顔を染めて、信吾のうしろに、<ナシ>まはると、(略)。
■451ページ |
○(略)草をきれいにきざんで盛つてあるのに、信吾は感心して立ち止まった。<改行>ダリアやマアガレットの花びらも、(略)。
○「お祖父ちゃま。」<「おぢいちゃま。」>
■452ページ |
○「さつき、谷崎英子さん<谷崎さん>が来ました。
○「さう?それで・・・<ナシ>」
■454ページ |
○信吾は近くの洋食屋へ英子を誘つて、会社を出た。<改行>小柄の英子は寄り添って来て、(略)
○「なにもお役に立ちませんけれど・・・<ナシ>。」
○「私は尊敬してますわ。会社をやめてから、よけいになつかしくつて・・・<ナシ>。」
■455ページ |
○「(略)産んで悪いかどうか、あんたのおなかのなかの子供に聞けたら、聞いてごらんなさい<聞いてごらんなさい・・・>。(略)」
○「四月です。(略)お店の主人も事情を聞いて、産まない方がいいと忠告したつて噂<うはさ>ですわ。(略)」
■456ページ |
○善意に解釈すれば、子供を産むといふ絹子に、修一も苦しめられ、絹子から遠ざかつて、菊子に詫びてゐるのかもしれない。<改行>しかし、(略)。
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