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第9話 『ディル』
ディルはそこに二人を弔った。 ガンプに無常にも殺された無念さを感じながら。 先ほどまで悔しがっていたラウドも ディルの行動に感心を持ち 共にクレーブと覆面を弔った。 『なぁ。あの二人って仲間だったのか?』 ラウドが感傷に浸っているディルに問うが 答えは無い。 『やっぱ、だてにスキルなしで ここの七秘宝を見つけた奴じゃないな。あいつ』 怒りとある意味の尊敬の意を含めたラウドの言葉に ディルは少し反応したが 弔った二人の墓のとこに立ち、 下を見たまま動かなくなった。 『なぁ。ディルはその二人の知り合いなんか?』 とても他人の死とは思えないディルの悲しみ方に ラウドは疑問を持つ。 日も暮れて、風の音だけが響いている。 『そんなんじゃない』 その中で静かに答える。 『他人の死なのに、そこまで悲しめるものなのか? い、いや、確かに俺だって悲しいし、悔しいけどよ』 ラウドの口調も静かになっていく。 『確かに全くの他人だ。 だが、俺はもう誰も死ぬところなんか見たくないんだ。 まして、殺されるとこなんてな・・・』 そう言うとしゃがみ込んでしまった。 気の弱い男だとラウドは感じた。 今日は何も言うまいとラウドは先に寝ることにした。 −俺は、あいつを助けれなかった。 そして、また人が殺された。 いつになったら俺は人を救えるんだ− ディルは心の中の中では 何かの葛藤が起きていた。 次の日 ディルはどうやらそのまま寝ていたらしい その様子をラウドが見つけて声をかける。 『よく眠れたか?』 『ああ。とにかく今は先へ行こう。 ここにあるかもしれない生命石を探す』 どうやら、気持ちは良くなっているようだとラウドは感じて 先に行くことを了解する。 『ディル。心配するな。もう誰も死なないから』 『?』 何を根拠の無いことを言っているんだ? ディルはそう言おうとしたが ラウドが何かまだ言いたそうだったので 疑問を持ったままにした。 『根拠は無いけどな。 だが、俺は"聖剣"になる男だからな!』 そういうと自信満々に右腕で胸を叩く。 普通ならラウドのその行動は 恥かしいほうに入ると思っているディルだが それが逆に何かを感じ取ることになった。 『全然根拠はないな。ハハッ』 そしてディルは笑った。 『?』 この笑いには今度は逆に ラウドが疑問になってしまった。 そんな中ディルの話は続く。 『そういうことにしておくよ あまりにも"現実"過ぎるからな』 とラウドをからかう様に言い返した。 ラウドは純粋に"そう言った"のではあるが。 ディルはガンプとの戦いにおいて 現実には無理だという意味をこめて わざと"そう言った"のである。 しかし結果的に ディルが元気になった様なので よしなのかもしれない。 と、ラウドはそう勝手に思った。 『よし行くぜ。山の麓に』 そういうとまた山に向かって歩き出した。 ピスカ山の麓では 最初に受付をした国立公園のような 受付会場が作られていた。 だが、今度は参加人数が少なくなっている為 小規模になっている。 その場所は以前ラウドが 『10を数えた場所』 そのものであった。 ここには最初2000人いた参加者が すでに200人近くまでに減っていた。 全てがガンプの仕業ではないが ピスカの森はただの森でないことを物語ってもいた。 そこにラウドとディルは到着するはずである。 まだラウドとディルはピスカの森の中である。 ラウドが道案内をしディルが連れていかれる形のままである。 現在ディルは生命石を探す為にハンターをしている。 しかし元はハンターでなく、 ハンターとして活動し始めたのは ここ二年ほどである。 では、なぜディルは生命石を求めるのか。 それはまだわからない。 ただ、ディルは人が殺されるのを かなり嫌っている。 それ以上に人の生死を深く感じる性格なのかもしれない。 そして、ディルはやや強引に ラウドと行動をともにしてはいるが 彼自身あまりラウドをあてにしていないとこもある。 だから今は、ラウドを道案内として いてもらいたいと考えている。 しかしそれでもガンプという人殺しを 許せないという共通点が生まれたことにより 少しではあるが共に行動しても良いと感じていたように思えた。 その後も何度かマルグマに遭遇するも ラウドは軽く倒していった。 他にも、ガンプにやられたと思われる 人の死体にも何度か遭遇していた。 それを見付ける度にディルは弔っていた。 ラウドは仕方なく付き合ってはいたが、 いい加減うんざりしていた。 というのも、ラウドはディルと違い 戦う以上死んでしまうのは仕方ない。 強い者が生き残る。 という考えの持ち主だったからだ。 しかし、ラウドにとってディルは 生まれてはじめてかもしれない仲間である。 少なくともラウドはそう感じていた。 だから変に気を使っているとこもあった。 ラウドはティノやサガ以外の人とは あまり関わったことがなかった事もある。 そういうことでディルの行動を変だと思っていたが、 なにも文句は言わなかった。 それは真っ直ぐな性格のラウドにしては 微妙な心持ちの変化でもあった。 そんなこともありながら 二人はピスカ山の麓に到着した。 ピスカ山にあるらしい 七秘宝を見つけるために。 |