第7話 『ピスカの森』





ピスカ山はこの国立公園から行くには
『ピスカの森』というところを通るのが一番の近道。

しかし、道通りに行くのであれば
遠回りである『海岸通り』という道が存在する。

しかしそこを通ると普通の人は1週間以上はかかる。
ラウドも別に『海岸通り』を通ろうと思ったが、
1週間しかないと聞いたので
近道でもあるピスカの森を選択することにした。


『どーでもいいんだが、あんたは誰?』

ラウドは密かについてきた覆面に
やっと気づいたようだ。

『七秘宝を探すという無謀な奴に興味があってな』

と言うその覆面は全身黒ずくめの
いかにも怪しい風貌である。

『ふーん。
でもさ、その覆面は見せられない理由でもあんのか?』

ラウドは相変わらず
誰にでも同じ口調である。

『貴様らに話すつもりも見せるつもりもない』

ディルはほとんど構わない感じだったが
クレーブは気になっていたようで

『あなた、もしかして常連さん?』

そう言われると
少し黙った覆面だったが

『常連はいないんじゃなかったのか?
ローズン・クレーブ』

と返す。
これには逆にクレーブが
驚きで黙ってしまう。

『何故私の名を知っている』

『さぁな』

と妙な雰囲気になってしまった。

が、
ラウドは簡単に壊してくれる。

『さっさと来ないと
道案内してやんないぜ』

この時は
ラウドが先頭を切って道案内をしていた。
とりあえずこの二人も
ラウドについて行く形になった。


そこの周りは林になっている。
以前ラウドが
ギルバードに連れていかれた林である。

とはいえその林の入り口は何ヶ所かあり
今回は海岸側の入り口である。
ギルバードに連れていかれた時は
麓の入り口だった。

というか実は山の入り口はその麓である。
だから今回は
過去の逆のルートを進むという事である。


『クレーブ。
そういえばさっき言っていたことだが・・・』

とディルが思い出したように話始めた。
クレーブは分かっていたかのように続ける。

『アクセスポイントのこと?』

それにはディルは大して驚かず続ける。

『ああ。
変わらないというのはどういう事なんだ?』

と、先ほどあえて聞かなかった質問をしてみる。
どうやらディルにも
何か考えているとこがあるようだ。
だがそれに動じることもなくクレーブも続ける。

『まぁ、簡単に言うと
七秘宝の子供みたいな石かしらね』

『?
そのポイントに
七秘宝に似たものが存在しているのか?』

クレーブが七秘宝に詳しいことは
ディルは分かっている。
だが、それを正直にしゃべるほど
クレーブが単純でもないことも分かる。
しかし、今回は
もう一人その七秘宝を知っていそうな人がいる。
ディルはそれで
クレーブがその男に話を振ると思っていた。
その予想はが的中し、クレーブは

『まぁ・・・七秘宝とは違うけどね。ねぇ』

と覆面に意見を求めるように話した。
しかし覆面は
それを聞き流すかのように何も話さず
ラウドについて行った。

『フフ。まぁいいわ。
見つけたらわかるわよ』

と言うとクレーブも追いかけるように
ラウドの方に向かった。
ディルは
そんなに甘くはないか、と思いつつも
何か悩むような感じでついていった。


しばらくいくと川が見えた。

『ここから先は
マルグマの生息地帯だから気をつけろよ』

とラウドが3人に注意を促す。

『マルグマ?』

クレーブと覆面は理解していたようだが
ディルは全くなんのことか解っていないという感じで
ラウドに聞き返す。

『通称"ピスカの人食い熊"よ』

とクレーブが簡単に説明をした。

そういっているうちに
4人は川を渡り始めた。
特に変わった様子もなく
とりあえずは今日は川辺で休むことにした。


休んでいる間
ラウドはディルに色々質問をした。

『ディルはハンターをしているって言ってたけどよ
やっぱセイメイセキを探す為にやってんのか?』

『ああ。そうだな』

『そのセイメイセキってなんなんだよ』

『噂では生命を動かす力を持つ石だといわれている』

『生命って、もしかして不老長寿になろうとかしてんのか?』

『なるかよ』

ディルは一応会話に答えはするが
なにかその答えは簡素なものであった。

そんな感じをラウドもわかったのか

『とりあえず寝るかぁ』

というとその後すぐラウドは眠りに入った。

先ほど危険遅滞と自分で言っていたのに
すぐ寝てしまったラウドの行動に
ディルは少し不思議を感じたが
あと何日かは歩かないといけないと思い
とりあえず仮眠を取ることにした。

覆面だけはその日は眠らなかったようだ。


その後、数日間
ラウドの道案内で森の中を突き進んだ。
途中でマルグマに出会いはしたが、
ラウドらの敵ではなかった。

『あと1日ぐらいでつくだろうな』

とラウドは言うと
日が沈みかけたこの時に
今日の寝床を決めようとしていた。

『クレーブ?』

一方でディルが
動きの悪いクレーブに話しかけた。


『早くここから逃げて!』

と慌てたようにクレーブが言うと
奥から人影が見えた。

『あれ?
そういえば覆面はどこだ?』

とラウドが辺りを探すと
奥の人影が話をし始めた。

『いい加減気づいても良かったのにな』

と言うその声は
ラウドはどこかで聞いた気がした。

『お・・・覆面!』

しかし覆面は
今までの覆面はしていたが
着ているコートが全然違っていた。
そしてそのことに気づいていない
ラウドの為に少し説明をした。

『フフフ。
それはそこで寝ている人じゃないかな?』

と言いながら顔を後ろに向けると
覆面が歩いてきた奥のほうに
男が一人殺されていた。

『お前!』

それを見たディルの様子が急変した。

『何物だ。お前』

ラウドも苛立ちかかっている。

『イイから早く逃げなさい!
ボーヤ達じゃかなわないわ』

クレーブは怒鳴りながら叫んだ。
それを見た覆面は
少し笑うと

『そう怒鳴らないでもイイじゃないか?
ローズン・クレーブ』

また名前を呼ばれたことで
クレーブは完全に怒った。

『黙れ!人殺しが!』

そう言われた覆面は
なぜかその覆面を脱いだ。
というより
元々の覆面は先ほど殺された男であり
すでに隠す必要がなくなっていたからでもある。


!!!

一番驚いたのはラウドであった。
その男は前髪をたらした白髪頭。
そして若い声のわりには
年を重ねたような顔をしている。

『お前・・・ガンプ!』

クレーブは正体こそ見ていなかったが
自分が動けなかったことで
ガンプだと分かっていた。

『そうよ、イレイズナイトのガンプよ。
もうボーヤ達も逃げれないわ』

と声も震え気味になった。

『また会えたね。ラウド君。
とはいえ・・・
今はまだキミの相手はしないんだけどね』

と、ラウドのほうを向き
無気味に微笑む。

『ガンプだと』

本物のガンプを見ても
ディルはあんまりぱっとしていなかった。
というのもディルは
ガンプをよく知らないからだ。
しかし殺し犯したガンプを
良くは思ってはいない。


『2度目の参加は出来ないってルールを
守らない人が多くて困るんだよね』

とガンプが言うと
クレーブに向って歩き出した。
そこを二人が遮る

『人殺しをしたお前を許すわけにはいかない!』

とディルは懐に手を忍ばせると
ラウドは両手を広げて

『俺は"聖剣"になる!
ということで
お前とはいずれ戦わないといけない
それにクレーブはいい人だから
手は出させない!』

二人ともガンプの行き道をふさいだ。
ガンプは、ラウドの言うホーリーナイトという言葉に
ニヤリと一度笑う。

『フフフ。一つ質問してもイイかな?
クレーブはなんで動かないと思う?』

『知るかよ!』

と即答したラウドと何か考えこんだディル。
そしてディルは何かに気づいたようだ。

『ガンプは"動きが自由"なのよ!
ボーヤ達じゃ何も出来ずに死ぬだけよ!』

とクレーブが動かない足を
一生懸命動かすように叫んだ。
それを見たガンプは
さらに笑い

『僕は君達の相手はまだしないよ』

と言ったかと思うと
二人の視線から消えた。

『どこだ!』

と言い左を見るディルと
右を見るラウドが

『消えた?』

そう言った間にガンプは
二人の後ろにいたグレープのそばに
移動していた。
それに気づいた二人は後ろを振り返る。

『なんだと・・・』

とラウドか感じている間に
ディルは再び懐に手をやると
ガンプに向かって突進した。

『仕方ないな。少し遊んであげようか』

とガンプは言うと
向ってくるディルに向って歩き出した・・・。







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