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8月
ピスカの国立公園にて
ピスカトレジャーイベントは開催される。
開催地は国立公園といっても
実際の会場となるのはピスカ山である。
最初の受付会場として国立公園を会場としている。
その国立公園は港からピスカ山に向かってすぐにある。
国立公園からピスカ山までは
海岸通という一般的な道を通ると
歩いて普通は3週間はかかる。
海岸通はピスカの森を避けて
海岸側に道が出来ているのである。
だがラウドの場合はその道を通らずに
ピスカの森というところをまっすぐ進む。
かつて、ピスカの森にも通り道がついていた。
だがここ数十年で、ピスカの森に少数ではあるが
マルグマが住みつくようになった。
だから今は、普通の人はピスカの森に入ろうとはしない。
もともとマルグマはピスカ山に生息していた動物であった。
そのマルグマがピスカの森に住み着く原因となったのは
過去のピスカトレジャーイベントで
ピスカ山を守っていたバリゲードの一部が壊れたことがあるようだ。
一般的にはそこからマルグマが
ピスカの森に移住してきたものと考えられていて、
マルグマのある時期の大量発生との関連性が高いとされている。
バリゲードであるが
高さが20m以上はある鉄網が山全体周辺に張られている。
これは人がピスカ山に勝手に入れないようにする役目と
マルグマがピスカ山から出てこれないようにする役目がある。
ところがラウドはその鉄網を乗り越えてピスカ山に入ることもあった。
それはピスカ山のマルグマ"も"退治という勝手な名目もあったが、
何よりも強くなるためであった。
そしてラウドは
8月までの3ヶ月
再びピスカ山にこもってマルグマ退治をしていた。
そして8月も近づき麓まで下りてきた時
ティノと再会する。
『本当に出るんだね。ラウ』
腕を組んだまま妙な表情をしている。
『ああ。ティノが出てみろっていったんじゃんか』
ティノの表情を見て、ラウドも少々妙な表情になった。
『それはそうだけど。
・・・でもね』
そういうと山のほうを見上げた。
『ティノまで反対するのか?』
なんだか腑に落ちないティノの言動に
ラウドは少々いらつきを覚える。
『反対はしないけどね、無茶するんじゃないよ』
それには首を横に振る。
ただ、心配しているような感じであった。
『ああ。大丈夫だぜ』
きっかけはティノなのに
「何でいまさら」という気持ちがラウドにはあった。
だがティノは
本気でイベントに参加するとは思っていなかったのかもしれない。
サガの話では、スキルがないとこのイベントは危険だ
というなような感じだったから
なおさらそういうふうにラウドはとらえた。
そう思うと
きっかけを与えたことで心配になってしまったのかもなァと勝手に解釈した。
そう考えるとすっきりしたラウドは
そのまま国立公園に向かおうとした。
『ひとついい?』
向かおうとしていたラウドを
ティノが呼び止める。
『なんで聖剣とか言うのになりたいわけ?』
『?・・・前に言わなかったっけ?』
ラウドは少々首をかしげる。
『ええ。確か、ドクさんを見返すために
聖剣になるって言ってたよね・・・
強い男になるためとも言ってたね』
ティノのはラウドを見ずにうつむいている。
『そうだぜ!
あんな腑抜けな親父にだけはなりたくないしな』
そういうと拳と拳をぶつけた。
しかし、ティノの方はまだうつむいたままだったので
言葉を付け足した。
『もうひとつあるとすれば、ギルバードを見つけるためかな』
それを聞いたティノは顔をあげて怖くした。
『こんなこと言いたくないけど・・・』
と言うと少しの間があいた。
ラウドは何を言いたいのか
わからない顔をしている。
それを確認したようにティノは話しを続ける。
『このままだといつか・・・
ラウはギルバードに殺されるよ』
『はぁ?!』
ラウドは耳を疑った。
ティノにはギルバードの話しをしてはいたが、
直接は会ってはいないはずである。
そしてさらに殺されると言った。
ラウドが困惑しているのを無視するように
ティノは続ける。
『ラウは知らないのよ。ドクさんとギルバードのことを』
『なんだと・・・』
ラウドの困惑はドクという言葉で
少しずつ怒りに変り始めていた。
『あの二人と、港のマスターのサガさん
そして、あと1人ぐらいいたらしいけど、
それが昔のドクさんらの仲間
そして少し有名なハンターだったのよ』
『ハンター・・・?』
ラウドの困惑と怒りは更に深まっていく。
しかしティノはそれに構わず続ける。
『誰かと同じで聖剣になる為の七秘宝を探すために
仲間を集めてハンターとして旅していたそうよ』
そういうとラウドに向かって作り笑顔をした。
そのラウドはまだ困惑の顔である。
『なんで知ったんだ?そんなこと』
そう思うのも当然よね。
というような表情をティノはする。
そしてまた作り笑顔をすると
『ラウはまだ生まれてなかったからね。
と言っても私も小さい頃に聞いた話だけどね
いい噂もあったけど、良くない噂のほうが多かったわ』
ラウドが知らない過去を少し自慢げに話したのだった。
少なくともラウドにはそう感じた。
だが、ラウドにとってはドクの過去などには興味はなかった。
残るギルバードのことに問題が戻る。
『ふーん。でなんで俺が殺されるんだ?』
そのことに戻ると再びティノは顔を下げた。
少し考えた様子でまた顔を上げる。
『今は言えない・・・。
いつか話せると思う』
『いつかっていつだよ』
そう言うラウドを無視するように、
ティノは港とは少し別の方角へ向かって歩き出した。
『お、おい。待てよ』
ティノは自分で切り出したはずなのに
何故か話を途中で止めてしまった。
それは今は言えないという。
困惑しているラウドは余計に頭の中が混乱していた。
ティノは海岸通とはまた別の道のほうに進んだ。
その道にはとある集落と、光の祭壇と呼ばれる
なんかの記念碑のような物しかない。
ちなみに光の祭壇は
ドクの私有地とピスカ山と並ぶ3大観光名所でもある。
ラウドはそっち方面には特に用もないし
これ以上追求してもティノは話さないと感じたのと
イベントまでに時間もなかったため、それ以上はティノを追わずに
仕方なくピスカの森を通って国立公園に向かった。
数日後
一方で話を途中にしたティノは
光の祭壇と呼ばれるところの近くで
ある人物に会う約束をしていた。
その祭壇は
近年作られたと思われる建物の中に存在している。
光の祭壇と呼ばれるのは
かつては祭壇しかなかったからで
今はその祭壇を守るように
近代的建築物の中に祭壇が存在する。
その光の祭壇の近くには
黒髪が長く背の高い男性が
近くにあった岩のような物に腰をかけて待っていた。
ティノは会うなり突然に質問をした。
『あの子は何物なんですか?』
その男はティノを睨むように見つめた。
『お前は任務を遂行すればそれでいい
そのまま、なりきればいいんだ』
と言うと表情が和らぎ
タバコを取り出し吹かした。
そして妙に気落ちしているティノを見て立ち上がると
肩をたたく。
『わかりました。マクレンさん』
と言ったものの、ティノ表情は晴れなかった。
マクレンと呼ばれた男は
首を左右に大きく一回ずつ動かすと
タバコを止めた。
『あとは私が追跡する
お前はこのままここに残れ
準備が出来しだい知らせを入れる』
そして小さなカードのような物をティノに渡すと
マクレンという男は港の方に歩いていった。
ティノはそのカードを見て上着のポケットに入れると
マクレンの跡を追うように港のほうに向かっていった。
ラウドは謎を抱えたまま国立公園についた。
しかしラウドはすでに開き直っていた。
『とりあえず、1人は辛そうだな。
仲間でも作るか』
と、仲間を作ることを決意する。
というよりは、ティノの話でわかった事が
ギルバードらがハンターの仲間を作って
旅をしていたということだっただけである。
8月
ピスカ国立公園で
ピスカトレジャーイベントが行われる。
この会場には世界から約2000人以上のハンター
もしくは七秘宝を求める者達で溢れていた。
あのガンプも隠れてこの会場に来ていた。
こうして、ここからラウドの長い旅は始まる。
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