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第22話 『雪の再会』
ビックウェーブ号に乗っていたラウド達は ついにディルの故郷であるノイズに到着した。 と その前にディルが妙な行動に出た。 いつものアタッシュケースから なにやら"顔"のような物を取り出す。 それは仮面のような感じであるが それを着けても見た目には全く普通の人と変わりがないほど 正確に出来ていた。 『お?誰だ?』 ラウドがわざとらしくその仮面をつけたディルに尋ねる。 仮面は少し表情が動いただけで、何も言わなかった。 しかし、ラウドは 『すげェな、そのお面。 表情までできるのかよ』 というとその仮面に手を触れて、反対の手で自分の肌を触る。 『ほとんど俺の肌と変わらないぞ。これ』 そして、その仮面をジロジロと覗く。 『正確には人の肌の材質を使っているからな。 ただし、効果は一週間程度しかもたないが』 仮面が言うと出口に向かう。 それと同時に 船がノイズのミディに到着したようである。 さらに急いだ足跡が部屋に近づく。 『ちょっと準備に手間取っちゃってさ ・・・って ・・・誰?』 その仮面を見てレナは一瞬戸惑うが すぐにわかる。 『変装してるの?ディル?』 先ほどのラウドと同じ行動をレナも行う。 『一応、知り合いも多いからな』 仮面が言うと出口を降りた。 それを見てすぐにレナも続く。 ラウドもそれを追いかけるように 急いで出口を降りていった。 外に出た3人だが レナはその仮面に興味があるのか その"素"を貰っているようである。 『女性のフェイスもあるんだねェ』 それは小さなビンのようなものに入っていて 見た目だけでは何かわからない。 しかしビンを開けると 今ディルがしているような仮面になるらしい。 レナにとっても別の顔というのは便利なので ちょうどいいアイテムを手に入れたようであり かなりご満悦のようである。 というか ディルが女装をしている所を想像しているようでもある。 一方でラウドはあまり変装には興味は無いようで 二人の行動を不思議そうに見ていた。 ノイズの一つ目の町「ミディ」は 最北にありながらも北地区でも有数の港町であり 港が閉鎖されるまでは 沢山の観光者や漁業関係者でにぎわっている。 しかし、港が閉鎖される12月以降も 「ミディ」に滞在する者は意外に多い。 それにはノイズ国の特徴でもある4つの地域性がある。 「ミディ」は港町であるが その他の山岳地帯の「コール」には そこでしか生息していない生物や七秘宝があり 商業地の「ティープ」も北地区有数の規模であり 「レス」にはかつての植民地時代の砦などの 歴史的建造物などが見ることができる歴史的な場所になっている。 そしてさらには 世界有数の医術師がいる「ログス」がいる場所でもある。 大体閉鎖されても残っている他国の人たちは それらの関係で残っている事が多い。 特に最近はログスと七秘宝関連が多いようでもある。 ノイズは この時期は国全土が雪景色である。 『寒いと思ったら、ここにも雪か』 ラウドは雪を足踏みしたり 雪を手に取ったりしてみる。 『雪なんて久々だなぁ』 レナも久しぶりに見る雪景色に少し見とれていた。 ディルは少々見渡しただけで何も言わず先を歩く。 『こういう町もいいよな・・・ 少し寒いけどよ』 ディルに問い掛けるようにラウドは言うが 本人はむこうを向いているようで反応は無い。 反応がないので地面から雪を適量とると それをボールにしてディルの後頭部にぶつけた。 『ん?』 別の事を考えていたため 一瞬何が起こったか分からなかったようで 少しして頭が冷たいことに気づく。 『ねェ。雪合戦しない?』 しかも、突然にレナまで雪玉を作って どちらかにぶつけようと構え出した。 『おい! 俺はここに遊びに来ているんじゃないぞ』 ディルが怒ってしまったので 、レナは雪玉をそのまま捨てた。 ディルが怒っている理由も レナにはよく分かっていたので少し反省した。 『何怒っているんだよ。ディルは。 ・・・なるほど。 腹が減ってるんだな? 雪合戦はこの次にしてメシにしようぜ』 雪玉を食べるようなジェスチャーをして ラウドもその雪玉をそのまま下に落とす。 ちょうど到着が昼頃だった事もあり ディルらもそれに同意した。 食事の場所は ディルが先頭になって探すことになった。 食堂に入ると一番奥の席に3人は移動する。 『なぁ、その仮面つけててメシ食えるのか?』 と当然の疑問をラウドが投げかけたが それには仮面の口が 普通の口の様に"バッ"と開いて解決した。 『その仕組みってどうなってるんだよ』 とまた覗き込むように見るが 周りの変な視線を受ける前に ディルはラウドを静止した。 『俺に構わずに食事していろ』 変ではないものの 妙な視線をレナは感じていた。 -確かディルは ノイズにくる事は辛い事があるようなことを言ってたけど この視線は別な気がするなぁ- 実は自分に目が向けられている事に気づいていた。 ディルもそれには気づいていたが 何も言わずに食事を続ける。 ディルにはレナにも変装をさせなければいけない理由はあった。 しかし、それはレナ自身にはとても不自然な事なため 逆に何もいえない状態でミディにやってきてしまっていた。 その中 一人の男がこっちに向かってくる。 ちょうどラウドとディルには背中側だったので 確認できるのはレナだけである。 その男はレナが気づく前にすばやくレナの隣に座った。 さらにすぐさまレナのほうを向き 『君はここら辺の女の子じゃないよね。 いや、解るよ。雰囲気というか、オーラが全然違うからね。 なんだったら、ここら辺の案内役をしてあげてもいいよ。 俺はここら辺に詳しいから』 一方的にレナの方を向いたまま話す。 ラウドは食べるのに夢中でまだ気づいていないが レナは急に現れた人物に目を丸くした。 その中で仮面だけはため息を一つした。 『相変わらず女性を見ると"ナンパ”してるんだな』 そのナンパ男の方を向き表情を緩ます。 その男は髪は長髪の完全な金髪で いわゆるバンド系のビジュアル系?というような風貌。 いまどき?というような厚めのスタジャンと 厚めのジーンズをラフに着こなしていて ところどころにシルバーアクセサリーを身につけている。 そしてなぜか黄色のサングラスをしている。 それが微妙に似合っていなかったりもする。 『ん?俺の知り合いか? それともファンか?』 そう言われるとその仮面は少し笑う。 『顔はわからないだろうが・・・』 と言うと額にしている朱色のバンダナを指差す。 そのナンパ男は一瞬止まったが すぐに我に戻った。 『・・・マジでディルか? 確かにその服装とこの色のバンダナはディルの物だよな。 でもよ、ディルはもう帰ってこないんじゃなかったのか?』 『だから、変装までしてここにいる。 それにお前がナンパしている女性をよく見てみろ』 そういわれてナンパ男はレナの方は再び向いた。 そしてすぐにディルのほうに向きかえった 『まさか本当に連れて来たのかよ』 この時ようやくラウドがナンパ男の存在に気づいた。 それでその男を見るなり不思議そうな顔をする。 不思議そうな顔をしているのはレナも同様であった。 『似てはいるけどな別人だ。 ただ双子らしい』 ディルの一言でラウド以外が納得した。 ナンパ男は再度レナの方を向く。 『君もクレセアのことを知ってるの?』 そういわれて一瞬ナンパ男は戸惑った顔をしたが すぐに戻り 『ああ。男と女の深い関係といっておくよ』 とジェスチャーを交えて言ったが すぐにディルの拳がその男に炸裂した。 『冗談だって。 俺はディルの幼馴染だからクレセアの事も知ってるよ 幼馴染っていっても結構年齢はなれてるけどね』 ディルの方から再びレナの方を向いて ナンパ男は話を続ける。 『紹介が遅れたけど、俺の名前はシェル。 この国じゃ知らない人がいないぐらいの有名人さ』 自分で言うほど胡散臭いことは無いよね。 そんな感じでレナはシェルを見た。 それが解っているのか解らないが シェルは再びディルのほうを向く。 『話はかわるけどさ、 ディルがそこまでしてここにきた理由は やっぱり、この子の関係なのか?』 シェルが言うと同時に ディルがシェルの顔に手を出して会話を止めた。 『ここじゃ、目立つから場所を変えたい』 少し小声でディルがそう言うとシェルは軽く笑って 『それじゃ、ミディの俺の家の別荘にでも行くか。 あ、ここの食事の会計はいいぜ。 俺がおごってあげるよ』 とシェルが言うと席を立つ。 それと同時にようやく食べる事を止めたラウドが反応する。 『おごりって、ディルはいいやつと知り合いなんだな』 ディルのほうを見てにやける。 だが 『ん?君は誰だ? 俺がおごるって言ったのはこの子の分だよ』 とシェルはレナの肩を軽く二、三回叩く。 『なんだよ〜それ』 文句を言うラウドにレナが返す。 『ラウドが一番食べてるんだから、自業自得でしょ。 それにしてもシェル君アリガトね』 わざわざシェルの事を君付けにして ラウドのほうを見て笑っている。 『心配するな。 シェルはああ言っても きちんとおごってくれる心の広い男だ』 ディルは落ち込んでいるラウドに言い聞かせながらも 目線はシェルの方を向いていた。 『な〜んか、いやな視線を感じるんだよな〜 ・・・。 分かりましたよ。みんな俺がおごりますよ』 半分やけになっているシェルだったが 別に怒るわけでもなく3人の食事代をおごった。 『10500ギグになります』 それを聞いたシェルは一瞬止まってしまった。 『1万超えてるの? って、あの熊みたいな男だな。 まあ・・・仕方ないか』 渋々自分の財布からお金を払う。 ちなみにまた余談だが 「ギグ」はノイズでのお金の単位であり 世界共通紙幣単位の「ダイア」とは ほとんど価値は変わらない。 そして4人はその店を出た。 『とりあえずついて来てくれよ』 シェルはそう言うと北の方に向かって歩いていく。 少し歩いていくと人が少なくなる。 そしてある広場のような所に着くと 少し大きな乗り物が止まっていた。 雪に接する部分などはスノーモービルのような形だが 運転席などはちょっと変わっていて屋根もついており 6人ぐらいは乗れそうな感じである。 『これに乗って10分程度のところにあるよ』 シェルはそう言うと そのモービルのような乗り物に乗り込んだ。 3人もそれに続く。 車内?は 2列3人乗りの飛行機にあるような座席になっており 先頭の中心の座席が運転席になっているようである。 ハンドルというより これも飛行機にあるような操縦器がついていた。 『これ、なんていう乗り物なんだ?』 それを見ながらラウドは尋ねる。 『正式名は忘れたけど、俺らはスノーバイクって呼んでる』 まんまなネーミングだね。 とレナは思いつつも座席に着く。 『ねェ?何で"モービル"にシートベルトがあるわけ?』 とてもスノーモービルのようなものとは思えない内装に レナは少し不安になっていた。 『時速が最高で300キロぐらいは出るからね。 バイクとは言うけど 「羽」さえつければ空も飛べるぐらいの動力があるらしいんだよ』 そう言うとシェルは運転席に座る。 『なぁシェル、別に人がいなければここでも構わないのだが』 一応ディルは座席に座っているが シートベルトはつけていない。 シェルも、それを聞いて運転席から外れる。 『こんなところで話っていうのもあれだけど、仕方ないか。 まずは俺の自己紹介を改めてするよ。 俺の名前はシェル。この国の有名人ね。 ついでに今日は俺のバンドのライブがあるから 時間があれば見ていってくれよ』 と突然自己紹介を始め出した。 『有名人?まぁ、別に俺には関係ないけどさ 俺も紹介しておくぜ。 俺はラウド。 ここにきた理由はここにある七秘宝を探しにきた』 ラウドもつられて自己紹介をする。 シェルは七秘宝という言葉がやや気にかかったようだが ラウドからレナの方を見た。 『じゃ、私もするね。 名前はレナ。3人と違って"南地区"からきたよ。 ディルとラウドとはピスカのトレジャーイベントで出合ったんだよ。 あとここに来た理由はディルからどうぞ』 とレナはディルに話をふった。 『ラウドもレナも、よく知らない人に簡単に自己紹介できるな。 確かに俺の幼馴染だし 悪い者じゃないことは俺が保証しておくけどな。 俺は紹介する意味がないが、シェルとは幼馴染で レナをログスに連れて行くのが今回の目的だ』 『って、俺は第一印象からいい人って感じだからな。 ディルに心配されなくても レナもラウドも信用してるさ』 シェルの言葉に自分で言ったら苦労ないね。 とレナは思いつつも笑っていた。 ラウドも最終的におごりにしてもらって事で 悪い印象をもっていなかった。 『ま、自己紹介はこんなところだけどさ、 俺も明日になったら実家に戻るからよ レスには明日出発しないか? スノーバイクがあれば3時間もかからないしさ』 『明日戻るのか。 その方がログスに行くには助かるな』 『ん?ということは シェルはレスっていう所に家があるの?』 レナに言われてシェルとディルは顔を見合わせて少し笑う。 『別に隠しておくことじゃないから言っておくとさ 俺は、この国の王子なんだよ』 『は?』 何いってるんだ?という表情のラウド。 レナも少し驚いている。 『そうだよな。 国の王子がこんなところで遊んでいたら 誰でも信用は無いな』 ディルも少し笑っているように見える。 『しょうがないだろ。 、俺は頭も悪いしよ、第二後継者だしな』 少しシェルはいじけてしまったようである。 それにはディルが一応のフォローをする。 『このノイズの国王には2人の子供がいて シェルの上には今のところの正後継者のヴィルという兄がいるんだ。 だからといって、シェルはここで遊んでいるわけじゃない 社会勉強というものだよな?』 正直フォローになっているかは分からないが ラウドは納得したようである。 『ということは、シェルの実家はお城で ディルはそのシェルと幼馴染な訳ね』 レナは勝手に推測して納得していた。 『って、ちょっと待って。 確かログスはログレスという場所にあるんでしょ? ということはシェルの家の人に 許可をもらえないといけないわけ?』 『正確には違うんだよ。 俺の親父は一応国王ってなってるけどさ この国はもともと”ファラウェイ”という家系がこの土地を仕切っていたんだ。 でもその時代は政府によっての植民地状態だったから 実質は政府から派遣された”バーディス”という家系の者が この地域を仕切っていたんだ。 と、長くなったけど そのファラウェイの家系の人はまだこの国にいて 裏のノイズを仕切っているようなものなのさ。 ついでに言うと俺の母親は既にいなくて そのファラウェイの家系の人が俺の育ての母みたいなとこもあるんだよ。 つまりは、ファラウェイに許可を得ないとログレスにはいけないってことさ』 シェルの長い話にラウドはちょっと混乱をしていたが レナは分かったようである。 『つまりは城に行ってからってことだろ?』 ラウドは分からないものの 強引にまとめてしまった。 『だけどな。ディルにも言っておくが ディルがいなくなってからは ファラウェイは「コール」にいることが多い。 今のファラウェイは”塔”を作るのに専念しているようだからな。 ラウドが探している七秘宝もその塔にあるんだ』 『ということは、コールに先に行かないと ディルたちも目的を達成できないってことか?』 『いや、ファラウェイには夫がいるから 今はその夫がログレスへの許可を出しているさ』 ラウドとシェルの会話で ディルの表情が少し引き締まった。 そして座席を立った。 『シェルに協力してもらえると助かる。 出発は明日にして今日はお前のライブでも見にいくさ』 『OK! そう言うと思ってたよ。 場所はいつもの場所で時間は夜7時からな。 チケットも3人分おいておくから3人とも見に来てくれ ま、特にレナのために今日はやるからさ』 というと左人差し指と中指をこめかみにつけて それをレナの方に指差すように腕を振り下ろす。 『よく考えたら、これから"リハ"があるから 俺は先に行ってるよ』 決めポーズ?も決めて シェルは先にスノーバイクを降りて町に戻っていった。 『ずいぶん勘違いした変わった王子様だね。 でも面白い人だからいいか』 レナはそう言いながら チケットを手にとって笑っていた。 『ここに来たのって意味あるのか? このバイクにもただ乗っただけだったしよ。 なぁ?ディルもこのバイク運転できるのか?』 『できないことは無いが 鍵がないと動かないからな。 それに明日ラウドもついて来るんなら乗れるだろ?』 というとディルもバイクを降りた。 それに続くようにレナも降りる。 -七秘宝は逃げないよな- と考えて ラウドは再びディル達についていくことにした。 時間は夜7時を回っている。 ディル達はある酒場に向かっていた。 その一方でシェルは リハも終えて裏の部屋でバンド仲間といた。 『今日が最後だからな 悔いの残らないようにやろうぜ』 そうシェルが言うと その部屋からは気合の入った掛け声が響いた。 その酒場は ライブに関係なしにお客が結構入っていた。 それでもいつもよりは多い人数である。 そしてそこはステージ以外は薄暗い状態である。 『忙しくなるとは言っとったけど あいつらは結構人気があるようやな』 『君も今日でバイトは終わりだよな 最後だからよろしく頼むよ』 カウンターでウェイターとオーナーが話したいた。 といってもこのウェイターはレビンである。 レビンは単純に酒場にいたわけではない。 情報を得るには酒場と昔から相場は決まっている。 それにある程度の収入も得る事も出切る。 一人で動くにはちょうどいい条件であった。 そうこうしているうちに シェル達のライブが20分遅れで始まった。 店の中には重低音が響き始める。 始まったのと同じぐらいに酒場のドアが開く。 『ねェ。もう始まってるぽいよ』 ディル達がようやく到着した。 『これがライブなのか?うるさいだけだよな』 と言いつつもラウドとレナは さっそくライブのあるステージの方に向かっていた。 『お客さんさ、チケットを・・・』 忘れている2人に代わって ディルが3人分のチケットを渡す。 渡された受付の男は ディルを見るなり不思議そうな顔をする。 『お前・・・ディルか?』 『ガイルさんですね。 訳があって少しだけここに滞在することになりそうです』 『暗くてよくわからなかったが 先に来たあの女の子はどこかで?』 『別人ですよ。 クレセアはもう・・・』 そう言うとガイルという男と別れて 奥に入っていこうとする。 ラウドとレナはステージに近い空いている席に座ると シェル達の演奏を見ていた。 この会場は酒場がメインな為スタンティングライブではなく 普通のテーブル席で演奏を見ることができる いわゆる売れないバンドが 演奏を見せるような場所であった。 しかし シェル達はミディではそれなりに有名なバンドのひとつであった。 ここで演奏するのはあるこだわりのようなものであった。 『あれ?ねぇラウド あのウェイターってどこかで見たことない?』 そういうレナはあるウェイターを指差す。 偶然にそのウェイターもレナの方を向いた。 『やっぱレビンだ。 お久しだねェ』 レナはレビンと気づいたが レビンはレナの事がわからない。 それよりも、戸惑っているように見えた。 『お?レビンか。 そういえば港の町にいるって言ってたっけか?』 ラウドもようやく気づいてレビンと話すが ラウドにはレビンも気がつく。 『ようやく来たのか? それとも既に来とったんか? ・・・まぁええけど。 ところで、隣の女は誰や?』 レビンがレナを分からなかったのには訳がある ピスカでのトレジャーイベントでは レナが顔を隠していた状態でしか見ていないのである。 それで、それがレナと分かると レビンの様子がまた変わった。 『ディルも来とるんやろ?』 『ん。多分入り口にいると思うよ』 レナがそう言うとレビンはレナを一瞬見て そのまま入り口の方に向かっていった。 『それにしてもびっくりした。 というかラウドはレビンがここに来ることを知ってたみたいだね』 『ああ。 ピスカでレビンが先に退院した時に俺の病室に来て ここいるという事を言ってたんだ』 『フ〜ン。 レビンも不思議な人だねェ』 と言いながら2人はドリンクを飲みつつ シェルのライブを見ているというより聞き流していた。 ディルが奥に行こうとすると レビンがその前にやってきた。 『お前・・・ディルやろ? ちょっと表に出てくれへんか?』 レビンの今までとは少し違う雰囲気に ディルは少し戸惑いながらも 入り口に戻って外に出た。 『少し聞きたいことがある』 レビンは人気がないほうに歩き出した。 だが、ディルはその場でで止まる。 『俺はレビンに話すことは無い』 そう言われるとレビンも足を止める。 『なら、聞くだけ聞けや。 これは俺の推測でしかないが お前が何故素顔を出さへんで ここにいるかをこたえてやろか?』 レビンの言葉にやはりディルは黙っている。 そして少しではあるが雪が降り始めてきた。 『俺はディルと言う人物に昔あったことは無いが 聞いたことはあるんや。 おそらくお前も知っとる人物やと思うんやけどな』 少しの間を置き レビンは薄い青色の色眼鏡を外して地面に捨てる。 雪も大ぶりとはいかないが強くなってきている。 メガネを外したレビンを見てもディルは反応しない。 しかしディルは少しずつレビンに近づいていた。 『ログスの後継者、ログ・ディル・・・か。 ディルと言う名前なら 別に世界を回れば珍しい名前じゃあらへん。 やけど、医術師のディルと言うのはお前しかおらん』 レビンが何が言いたいのかが 少しずつディルは分かってきた。 しかし、レビンは何か"カマ"をかけているように見えたので それにも何も言葉は返さなかった。 『お前の口から真実を話してもらえへんか? クレセアについて』 外は風が吹いてきていた。 二人を雪が吹雪となって襲う。 悲しみをぶつける様に。 ディルはそれで全てを把握した。 しかし、まだ口を開けない。 『何も言わんのなら お前の親に聞いた事を信用して良いのやな?』 レビンが俺の親に会った? そんなことはありえないとディルはとっさに判断できた。 クレセアと別れたのは2年前。 しかしその2年前にもファラウェイの許可は必要であった。 『言いたくないのか・・・ 言えへんのか・・・』 と 会話を途中にレビンがディルの前に進んできて ディルの頬に拳をぶつける。 『お前を恨んだところで クレセアが戻ってくるわけでもないしな。 俺は直接話しはできへんかったが お前の事を信用しとった。 クレセアが好きになった男やからな』 ディルは殴られた頬を押さえて なお何も言わない。 下を向いたままレビンの話を聞いている。 『お前は何も言わんところを見ると これではっきりしたわ・・・』 レビンが続きを言おうとした時 ディルは顔を上げた。 『すまない。 レビンがクレセアの知り合いだったことは知らなかった・・・。 だけど 俺はクレセアに会いに行く』 その瞬間レビンは再び拳をあげると ディルに体重を乗せて殴りつけた。 今度はディルは倒れる。 『会うやと? 会ってどないする気や! お前・・・』 再びレビンの言葉を静止して 立ちながらディルが返す。 『俺はその時覚えていないんだ。 ・・・。 絶対助けるつもりで あいつは俺を信用して手術台に行った ・・・。 気がついたら俺は・・・』 吹雪は段々強くなってきていた。 ディルは再び下を向く。 それをレビンは黙って見ている。 『クレセアの命を奪ったのは ・・・俺だ』 そう言うと膝から落ちて頭も雪につける。 レビンはただ、そのディルを見ているだけだった。 |