第13話 『対グローバー戦〜ピスカ山編』





『勝手に殺せば、どこに宝があるかわからへんやろ?』

色眼鏡の男がシャキールに向って銃を構える。

『確かにお前のいうことに一理あるな、普通ならよ』

とガロンが言うと、
左腕を曲げて、親指で合図のような動きをする。
それを見た他の三人が行動に出る。

ゴードンは起きあがり、剣士のエルファと共にディル達のほうに向かう。
シャキールがキャッツを狙う。
ガロンが素早い動きで色眼鏡の男の狙撃を防ごうとする。


『向かってきたな!』

ラウドは半分嬉しそうにそう言った。

『また会ったね、七秘宝君達』

と嫌味を言うのはゴードン。
エルファと共に走りながら近づいてくる。
そして、ラウドとゴードン。
ディルとエルファという構図になった。


『バァン』

色眼鏡の男はガロンを瞬殺しようと銃を向ける。

『キン!』

しかし、金属音が響く。
ガロンもスキル使いであった。
心臓を目掛けた色眼鏡の男の銃撃だったが
その進路を左腕が防ぐ。
さらにその左腕が金属のようなものになっている様である。

その後の何発か撃つが、全て左の金属に阻まれる。
そしてついにガロンの間合いまで詰められてしまった。

このままではまずいと思った色眼鏡の男は
林の中に逃げていく。
ガロンも気配を感じながら追いかけていく。


キャッツとシャキールのほうはピンチである。
三対一であるが、銃を持ったシャキールが有利である。

さらに、その状況の中
今まで洞窟に寝ていたもう一人のキャッツのメンバーが
目を覚まして起きてきた。

『ん?な、何?』

それに気付いてキースが一瞬シャキールから目を離した。
その瞬間、キースに向けて銃が放たれる。

『パ・パ・パ・パン』

しかし、そこをサレムが体を使って盾になる。

『うがっ』

『サレム!!』

その銃を撃った隙にエルがシャキールに向っていく。
しかし、シャキールは反応よく銃口をずらし
今度はエルのほうに向ける。

しかしその時

『バァン』

今度は鈍い銃声が響く。

色眼鏡の男は木に登り、
上からシャキールを狙っていた。
シャキールも色眼鏡の男が狙っているのに気付いていたから、
無理にキャッツの三人を撃てなかったのである。
シャキールは右のコメカミを撃たれて、即死であった。

それを見てガロンが色眼鏡の男がいる木を殴った。
すると、木が金属化し始める。

まずいと思った色眼鏡の男は
ガロンに銃を撃つ。
今度は煙幕弾であった。

『ボウン』

辺りが白い煙幕に覆われると、
その隙に違う木に飛び移り、
逃げる様に移動した。




一方で、そんな状況は知らないラウドと、ディル。
ラウドはゴードンに向っていく。

ディルはマントは脱ぎ、魔剣を装備している。
エルファは妙な物を持っているとは思ったが、
構わず、両手に剣を持つ。
体勢は、腰を落とし、両腕を上げた状態である。

ディルが逆にこの構えを変だと思ったが
構わず二人の間合いが詰まっていく。
詰まるとはいえディルの魔剣が伸びる剣あるため、
すでに間合いであった。
まだ、エルファは気付いていない。


ラウドとゴードンはちょうど木ひとつを境に向かい合う。
ラウドは、ここで木を倒せば・・・と考えたが、
あえてそれはしなかった。
自分の力が、体格のデカイ男に負けていると思えなかったからだ。

そして、スキルポーションにより
スキルを使える状態である。
余裕があったのである。


動いたのがディルである。
エルファが間合いを詰めてきたのである。
腰を落しながら、低空で走りこんでくる。
ディルは間合いになる前に魔剣を伸ばす。
エルファは低空だった為というのと、
ディルの剣の短さに油断となった。
魔剣はエルファの左肩下を貫通した。

『ぐふ』

もちろん貫通しているので、
そのままではディルも魔剣を抜くことは出来ない。

『ここで引けば、腕は取らない』

それは、かなり重たい口調である。

『誰が、引くかよ・・・』

エルファが返す。

『少しはお前等の勝手で、殺された人の身にでもなれ!』

というとディルは魔剣を上に持ち上げる。
左肩から血が噴き出し、斬れた形になった。
そしてそのまま意識を失う。
ディルはそれを確認した後、エルファを手当した。


一方でラウドとゴードンは動きがない。
しかし、ディルとエルファの戦いに一瞬気を取られたラウドに
ゴードンが間合いを詰める。
しかし、それはラウドの作戦。
ラウドの間合いに入ったゴードンが右腕で殴りかかる瞬間
ラウドのほうが先にゴードンの顔面にパンチをくらわせて、
ぶっ飛ばす。

飛ばされたゴードンが近くの木に激突し、
気絶する。
もちろん最初の攻撃の時"波動"により
頬骨が折れていた。


これで、グローバーはガロンのみとなった。
しかし、キャッツもサレムがすでに事切れている。
そんな中,ガロンが戻ってきた。

『シャキール・・・』

そしてラウドと、ディルのほうを向く。

『ゴードン、エルファ・・・』

そしてキャッツのほうを向く。

『やっぱ、スキルがない奴はこんなもんだな』

と、もともと分かってるように言い捨てた。

だがこれにはキースが怒る。

『お前、仲間をなんだと思っている!』

それを聞いたガロンは、
なにかを思うように笑い出す。

『何言ってんだよ・・・。
こいつらは、グローバーの
このロデス・ガロンの使いコマよ。
俺一人でも充分なんだよ』

と言うと、キースに向っていく。




『どういうことなの?』

もう一人のキャッツのメンバーである女性は
この状況を把握できていなかった。
ただ、紺色のバンダナをしているとこから
相手がグローバーであることは理解している。
そして、キースのほうに向っている。

『行かないと!』

彼女はキースのほうに走り出した。

-また、私の前から・・・いなくなっちゃう-

そんな思いをのせて。


エルはかろうじて軽傷であるが
向ってきているガロンと戦えるほどではない。

『お嬢が来てるっすよ。
ここは俺に任して、逃げるっす』

しかし,ガロンに向っていく。

『エル!!』

キースは止めることができず、
入れ替わりに彼女がきた。

『キース、これは、どういうことなの?
・・・。
サレム・・・』

彼女はサレムを見て、泣き出した。

『レナ、俺らが何かと戦うことを決めたとき
そこに犠牲はつくことは覚悟している。
だが、レナは俺らと目的が違う。
だから、こんなとこで死んではいけない』

と彼女に言い聞かせるように話す。
レナという女性はまだ泣いていた。


『スキルポーションは誰が持ってるんだ?』

とガロンは自分の間合いで話しかける。
しかし、エルは無視してガロンに詰め寄る。

『そんなに死にたいのか?』

と言うと、エルの肩をつかみ気合を入れる。

『ハァッ!!』

するとエルは次第に動けなくなってしまった。
体がガロンのスキルの力によって
金属化し始めたのである。




その頃、ラウドと
遅れてディルが川の源についた。
そして、その現場を見た。

『あのバンダナの奴、何をしたんだ!』

ラウドは止まることなくガロンに向っていく。
そんなラウドに見向きもせずに
ガロンはキースとレナという女性に近づく。


『じゃ、残された仲間はどうなるの?
犠牲を覚悟なんて・・・』

まだ少し泣いているレナという女性は
泣くのをやめてキースに話しかける。

『そんな場合やないやろ』

という独特な言葉と共に
先程の色眼鏡の男が林の奥から現われた。

『お前等には死んでは困るわ。
宝を手にするのは俺やからな』

と、少々低い声でそう言うと
キースが反応した。

『ここを切りぬければ、宝は君に上げるよ。
協力してもらえそうだな』

と半分の笑顔で返す。

『・・・。
まぁ、ええわ』

それを察知してなのか色眼鏡の男は
不満げにガロンと対峙することにする。

『ゴミが増えたな』

ガロンは腕を伸ばし、ため息を一つする。

『なぁ、色眼鏡よ、お前もスキルポーションが欲しいなら
同盟組まないか?』

と色眼鏡の男に交渉し始める。

『確かに、そこの二人は邪魔やな。
しかし、それでお前と組む理由にはならん』

顔色一つ変えずに銃をガロンに向ける。

『所詮はゴミか・・・』

その様子を見て今度はラウドのほうを向く。
するとすでに間合いにラウドがいた。
さらにラウドの渾身の右ストレートがガロンの顔に決まった。

『痛って〜!』

と攻撃したはずのラウドが右拳を抑えた。
殴られる瞬間にガロンは顔を金属化していた。

『あの男、スキル使いか』

ディルも応援にやってくるものの、
ガロンはキースのほうに向っていく。


『ディル、あいつには勝てないかもしれん』

とラウドにしては弱気である。

『金属みたいだぞ、あいつ』

と、それを聞いたディルは少し考えて、
何かを思いついたように話す。

『・・・。方法はある。行くぞ』

というと今度はディルが先行して
ガロンに近づいていく。




『俺には銃撃は効かないな』

ガロンはディルを無視するように、
キースと色眼鏡の方を向いて、顔を右手拳で軽く叩く。


『戦い方しだいだな』

しかし、キースはなにかを思いついたようである。
そして色眼鏡の方を向く。

『スキル使いとはいえ弱点は必ずある。
逆に言えば、ここはスキル使いにとっては不利なとこでもあるしな』

その話を聞いて入るのか聞いていないのか分からないが
色眼鏡は何もいわず、ガロンに近づいていく。
そして右手で銃を構えて、ガロンに向けてまっすぐ向けた。

『分からない奴・・・』

と言いかけた瞬間色眼鏡が乱射し始めた。

『バ・バ・バ・バ・バァン』

弾道は上下左右に分かれてはいるが
全て金属音ではじかれた事が分かる。

ガロンは呆れ顔をしていたが
そのまま色眼鏡の方に向っていく。
色眼鏡は表情はよく分かり辛いが、
顔をしかめているようにも見える。

『気でも狂ったのか?』

左手で銃を作ったガロンはその手を頭に持っていき
撃つような構えをする。


色眼鏡の少し後ろとなったキースは、レナになにかを渡す。

『俺らは、"あの不毛な争い"で孤独になり
お互いに出会い、そして生き延びることを誓った。
エルも、サレムも、そして本部のアジトに残ってる皆もな。
レナも、そういう意味では孤独に生きてきて、仲間を失うのは辛いかもしれない。
でもな、俺はこういう道を選んだんだ。
やってることは間違っているかもしれないけどな』

ゆっくりと立ちあがり、レナには逃げるように合図をするが、

−私が弱いから・・・なの?−

何かを思い出すように、その場に立ち止まっていた。


ガロンは色眼鏡の真正面まで近づく
そして銃を掴む。

『撃ってみたらどうだよ?』

完全な挑発的な言葉で言うと
銃を自分の顔に近づける。
そして不敵に笑う。


それを後ろから見ている状態のディルとラウド。
先程の銃撃で進むのをためらったが
ガロンの怪しい行動で、ディルがまた再び進み出す。

『離れろ!』

マントに隠し持っていたビンのような物を
ガロンに向って投げつける。
ガロンは色眼鏡の男の銃を持っていたため、
とっさに離れることができずにそのビンを左手で叩きつける。

するとそのビンが割れて
中に入っていた液体のような物が漏れ出した。
少し煙のような物も上がっている。

『ム?』

ガロンはその異様な液体に少し驚いてるようである。
少々腕にその液体がかかったようである。


と、その出来事の間に
キースが何時の間に色眼鏡の所まで来ていた。
そしてためらうことなく
ビンに気をとられて入るガロンに向っていく。







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