第12話 『スキルポーション』





『ところで、この藍白い石が
なんとかポイントってモノなんだろ?』

ラウドは先ほどにぎりしめていた石を懐から取りだし
、また眺めていた。

『クレーブは見たら何かわかるといったが、
俺にはさっぱりだな。
ディルはわかるのか?』

と歩きながら先を歩くディルに尋ねる。

『ラウド、スキルの力を使ったとき
今までより楽にスキルが使えなかったか?』

ディルは振り返らず妙な解答をした。
するとまたラウドは石を握りしめる。

『そう言われると、
偶然にスキルの力が出たとは思えなかったな。
やっぱこの石のおかげなのか?』

ラウドもある程度は予測していた。
藍白い石を持ったことで、
"波動"のスキルが使いやすくなったのだと。

『クレーブは、この石の存在を知っていた。
そして造られる場所も変わらないこともな。
俺の勘だが、このピスカには
この石程度の宝しかないのかもしれん』

とディルは推測した。
だが、それをラウドがすぐ返す。

『いや、ここは世界遺産登録されるまでは
鉱山だったんだ。
主に"銀"が取れたらしいぜ。
まぁ50年も前の話だけどさ、
その噂はまだ世界的に広まってるんじゃないのか?
だからこういうイベントの時期に"銀"を目指してくる
おれらの様な冒険家もいるって感じだぜ』

というと、まだ木々がこの山の中では
新しいほうの方角をの指差した。
南の海側のほうである。

『クレーブが銀のためにここに?か。
確かに彼女は七秘宝には興味はない様だったな』

とまた推測する。

『とりあえず、この石があれば、
国王から特別賞が出るんだろ?
やっぱ宝か・・・
もしかして七秘宝ってオチじゃないだろうな』

と完全にいいほうに物事を考えるラウド。
勝手に七秘宝に近づいたと思っている。

ディルは先程の大きい携帯を取りだし、
グローバーらの場所を再確認する。

『もうほとんど電波は届かないな』

話を聞くことはならなかったが、
場所予測はかろうじて出来た模様である。

その携帯をまたマントししまうと
先程の方角から山頂方面に向かって走り出す。
また急に走り出した、ディルを見て、
ラウドは"またか"と思いつつもディルについていった。




ディル達がむかっているとこは川の源である。
ピスカ山の途中から水が湧き出しており、
そこ辺りは川となっている。
その川が麓にある川につながっているのである。
つまりは麓から川上に上がればその場所にたどり着く。


そこには麓で変に目立っていた
迷彩服の集団がたむろしていた。

『ここにあったっすね』

と言いながら細長い体をした男が川から出てきた。

『とにかくはこの洞窟で休憩しよう。
あいつも眠ってるしな』

と、背がその中では小さいが、
おそらくその中のリーダーと思われる男が
川の源の近くにある洞窟の近くの大きな岩に腰をかける。

少しして、川とは逆方向から、
大きな体の大男がのそっと出てきた。

『とりあえず、食べるもん取ってきたぞゥ』

というと両腕に木の実などの食物を抱えてやってきた。

『キースさん。お嬢は洞窟の中かァ?』

とその大男がリーダーのような男に話しかける。

『ああ。ここまで結構休みが無かったからな
あいつなりに頑張ってるな、今回は』

と洞窟のほうを向きそう言う。

川から上がった男もそのリーダーの横に座り
大男が取ってきた食料に手をつける。
大男は食料を岩の近くに下ろすと

『俺も洞窟で休むぞォ』

と言って洞窟に行こうとする。

『おい、サレム。
そんなこと言って、
お嬢に変なことするつもりじゃないだろうな?』

と細長い男が笑いながらそういう。

『そんなことしないぞゥ。
俺も眠くなったんだぞゥ』

というとのそのそと洞窟に入っていった。
入ったとこを見て、細長い男はそわそわし始める。
急いで食料を食べて、

『お、俺も先に寝るっす』

とそそくさに洞窟に入っていった。
そんな光景をキースという男はおもしろ半分で見ていた。
日はまだ明るかったが
洞窟内は薄暗いので夜と変わらなかった。
今まではほとんどきちんとした休憩が取れなかった。
だからなおさら洞窟を見つけ安心してしまい、
眠くなっているのである。


彼らは以前も紹介したように義賊である。
悪人からしか物を盗まない。
グローバーの様な強引さはない。

そのキースという男は
このメンバーではリーダであった。
グループは"キャッツ"という。
本部には本当のリーダーがいて、
今回はこのピスカに代表として
やってきたようなものである。

正直この面子は辛いな、
とキースは思っていた。
しかし、一番息の合う面子でもあった。
だから、それはそれでいいか。
と案外気楽に考えている。

しばらく空を眺めていたが、ほんとうに夜になり
キースも洞窟に入っていった。




グローバーらもこの川の源に近づいていた。
こちらもメンバーは4人。

リーダー格の金髪が長く立てている『ガロン』
体格のデカイ男『ゴードン』
剣士の風格の『エルファ』
風除けのガードをしている銃使いの『シャキール』

彼らもまた、先程のキャッツ同様に
選ばれたメンバーである。
とはいえ、グローバーは状況が違い
"大三頭"という分かれ方をしている。

簡単にいえば三人のリーダーの集まりである。
その中で,ガロンのグループは一番少数である。
しかし,ガロンは、少数精鋭の考えを持っている為
これ以上面子を増やす気は無かった。
何よりも、自分一人でもやっていける自信があった。
しかし、万が一を考えてグループで行動している。

そして翌朝。グローバーとキャッツが対決することとなる。
それは、アクセスポイントをかけての戦い。


-次の日-


『ここら辺だったはずだ』

とグローバーのリーダーのガロンが言う。
彼らはすでに川の源まで来ていた。

一方で、声がすることで、
キースは目を覚ましていた。
会話を聞く限り、
アクセスポイントを狙っているようだということがわかる。
キースは見つからない様に洞窟から外の様子を見る。

『紺色のバンダナ・・・グローバーか』

ここで相手をするのはまずいと感じたキースは、
そのまま身を潜めた。




グローバーの後を付けていたディルたちも追いついていた。
ディル達は川の源から見えない位置で様子をうかがうことにした。
『何か探してるみたいだな』

ラウドが様子をうかがう。

『おそらく、ここにも、アクセスポイントがあるのだろう』

と同じく様子をうかがうディル。

『でもよ、なんでアクセスポイントの位置を把握できるんだ?』

とまた石を眺めて疑問に思う。

『クレーブと同じだ。
あいつらの中にも何度かこの大会に出ている者がいるのだろう
もしくは、他の仲間が出ていて、情報を知っているとかな。
クレーブが言ったように、
アクセスポイントの場所は変わらないらしいからな』

と聞くと、ラウドは納得した様にうなづいた。
そしてその頃、川の源で進展があった。




『ふわぁあああ〜』

大きな声であくびをしたのは
洞窟にいるサレムという大男である。
キースは、さすがに、これはまずいと感じ
サレムと、もう一人の細長い男、エルを起こし
手短に状況を話す。

二人は、寝起きだったので、
何かなんだかという状態だったが
グローバーを見て目が覚める。

『なんか今声がしなかったか?』

とガロンがたずねると

『俺が見てきますよ』

とゴードンがゆっくり洞窟に近づいていく。
その時、洞窟から三人が姿を見せる。

『紺色のバンダナ。グローバーだなお前達』

とキースが、改めて確認を取る。

『お?わかってるな。なら用件もわかってるよな?』

とゴードンはすでに戦闘態勢である。

ゴードンの後ろの三人もそれなりに準備体制である。
この状況を見て、キースは冷静になろうとする。

が、しかし、

『知ってるのかァ?宝があることォ?』

と、素っ頓狂なことをサレムが言ったから、おしまいである。
さらにたたみかける。

『何ばらしてんだよ、
スキルポーションのことをよ』

とエルが言ったから、もうだめである。
キースはもう何も言えなかった。

『へぇ〜ここにスキルポーションがあるのか?
知らなかったなぁ』

とわざとらしくゴードンが返す。
どうやらスキルポーションとは
アクセスポイントの藍白い石のことの様である。

『おとなしく渡せば命の保証程度はしてやるよ』

と念を押す。

さすがにサレムとエルもこれはまずいと感じ、
お互いの顔を見合わせる。

『・・・。
ちょうど良かった。
獲物が向こうからやってきてくれた』

とキースは苦し紛れの言葉を使う。

それを挑発と受け取ったゴードンは、

『おれらと一戦やりたいらしいな』

というと、ゴードンの右腕がキースを狙う。
そこをサレムがカバーして、
ゴードンの右手をサレムの左腕で払う。
さらにサレムが左側に体をよける。
その瞬間に、キースの飛び蹴りがゴードンの顔にヒットする。
そのままゴードンは洞窟から追い出されて、転がる。
それを追い掛けるように三人も洞窟を出る。


それを見ていたディルらも、
様子が急変したののを見て動き出す。
というよりもラウドは先に走り出したいた。


シャキールが出てきた三人に向かって銃を向ける。
しかしシャキールが撃つ前に銃声が響く。

 『バァン』

その銃声は鈍い音をし、
シャキールの銃を持つ腕にヒットしていた。

しかもその銃弾が飛んできた方向は
キャッツのいる洞窟側でもなく
ディルらが走っている後ろ側でもなかった。

『ぐっ』

シャキールは、撃たれた右腕を抑える。


すると、銃弾の方向から一人の男が現われた。

『そこの宝は俺のモノや』

標準語とややイントネーションの違う男が現われる。

前髪が均等に長く
薄水色の色眼鏡をしている。
そのため目元は余計見ることが出来ない。
髪は黒に近い銀色で
所々で完全な銀髪が混ざっている。
服装は上着が黒いワイシャツのようなモノで
下はレザージーンズのようなものを履いていた。







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