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あ れ こ れ 考 え る 43
 パソコン操作教示(その2) 『私が捜した少年』 読みました!『未読王購書日記』 『奈落殺人事件』(立風書房) 「絶版本とその周辺」 『團十郎切腹事件』(河出書房) 『クロへの長い道』 『グリーン車の子供』(文庫版) 『團十郎切腹事件』 やられた気分 パソコン操作教示  秀逸な北村薫論 『敍説』夢野久作特集 『グリーン車の子供』 『スーパーヒロイン図鑑』

 パソコン操作教示(その2) 2003/2/26(水)

 店に入ると、猫又さんがマウスを廻しながら「うーん、どこいっちゃったのかな」とのうめき声。
どうやら、「日本の古本屋」に送信するCSVファイルが見つからないようだ。
「どれどれ」と替わって送信までして差し上げる。
 なお、今日お教えした新しい技術は「検索」だ!(^^;
 購入した本は、
『エアポート'75』リンダ・スチュワート(1974年早川書房)400円
『シャレード'79』クライド・フィリップス(1998年サンリオ)600円


 続いて天白区の古本屋へ
 店主からヤフーオークションのお話を伺う。
「最近、『幽霊の2/3』が出品されたんですよ。1万5千円ぐらいだったら入れてみようかと思ったんですが、あっという間に目の前で2万円を超えていっちゃいました」
 さっそく、ついこの間読んだばかり王様の本からの知識を使わせてもらう。
「どうも以前、『殺すものと殺されるもの』が10万を超えたこともあったんだそうですよ」
 どうだ、驚いたか(^_^)
 ところが敵もさる者、さらに反撃される。
「なるほど。でも、『誰が駒鳥を殺したか』なんかは20万円を超えましたからねえ
「ええっ!」
 これには不覚にも仰天してしまった。
「私、その本、先週100円で買ったばかりなんですよ」(2月19日の日記参照)
「なんですって!」
 店主も、のけぞっております(^_^)
「買わせてください。ぜひ今度、持ってきてください」
「いや、ぼろい本だったから」
「ぼろくても3万円で買わせていただきます」
 誰がそんな高い値段で売るもんか!(^_^)
 それにしても、『誰が駒鳥−』なら「宝石」でいくらでも読めるのに、こんな本にほんとに20万も出した人がいるのかね。とても信じられない所業だ。


 他の店では次のものを購入。
『科学よみものの30年』小川真理子/赤藤由美子(2000年連合出版)800円
『宇宙船文庫特別版1〜4』(1998年朝日ソノラマ)4冊1200円
 『科学よみものの30年』は、科学読物出版の変遷を論じたもの。明治期から1970年までの説明は大雑把なもので、主は1970年以降。1970年から1999年までに出版された科学読物を一年ごとに解説している。
 『宇宙船文庫特別版』は、ダブリのような気がするが不明だ(^^;


 『私が捜した少年』 2003/2/25(火)

 久しぶりにカレーのチェーン店に入ったら、「復活!ほうれん草」の貼り紙が。今後は国産のほうれん草を使うので安全という趣旨なのだが......
 なんだよ、今まで健康のため、ほとんどほうれん草のミックスを欠かさなかったオレの立場はどうなる(;_;)


 そろそろ『ドリームキャッチャー』の「3」「4」が出ている頃ではないかと思い新刊書店に寄ってみたが、まだ出てないや。いや、まだ「1」「2」ともに1行も読んではいない。ただ、「3」「4」が出ているのを確認したら読み始めてもいいかなと思っただけ(^^;

 かわりに購入した新刊は、
『怒る技術』中島義道(2003年2月PHP研究所)
『十三の階段』山田風太郎コレクション3(平15年2月出版芸術社)
『アニメ十二国記6』原作/小野不由美(2003年2月講談社アニメKC)

 中島義道『怒る技術』はデフォルトで購入。帯の惹句は「たとえ間違っていようと、あなたは怒るべきである」 さらに背表紙には、「「怒りの哲学」誕生!」
 『十三の階段』は、山田風太郎が参加したリレー小説集、6編収録。
 『アニメ十二国記6』で、ようやく「月の影 影の海」が完結。それではそろそろ読み始めようかと家にあるはずの「1」〜「5」を探したのだが、案の定、1冊「2」が出てこない(^^;


『私が捜した少年』二階堂黎人(1998年双葉ノベルス)読了
 1996年に双葉社から刊行された単行本のノベルス化。この前読んだ『クロへの長い道』が傑作だったので続けて読んでみたのだが、ああ、こちらの方が先に出た作品なのね(^^;
 本書では、ところどころ主人公の渋柿シンちゃんとは別視点の記述が混ざったところがあり不徹底な感じを受ける。本書の趣向は、幼稚園児の一人称で語られるハードボイルドなのだから、そここそを貫徹するべきだっただろう。
 それでもおもしろいことは間違いないので、その後続編が出ているならぜひ読みたい。


 読みました!『未読王購書日記』 2003/2/23(日)

 今日の古本購入は、
『家元の女弟子』戸板康二(1990年文藝春秋)100円
『多羅尾伴内1』『多羅尾伴内2』小池一夫・石森章太郎/原作 比佐芳武(昭53年講談社コミックス)各350円
 350円は定価。初版というだけで買ってみたが、この判断が正しいかどうかはまったく不明だ(^^;
『クイズ虫食い川柳』朝日新聞虫食い川柳編(2001年ハルキブックス)300円
 朝日新聞で連載されたクイズ企画。週に五問出題され、全問正解者に抽選で商品券が贈られる。本書は、この「クイズ虫食い川柳」を素材に、問題、正解のほか珍答をあわせて編集したもの。こういうのは好きなんだけど、難点はハルキブックスということかな(^_^)
いくつか引用してみましょう。
 天□と思っていたらクビになり(正解:職、珍答:くだり)
 背の高い□のうしろでお辞儀する(正解:人、珍答:妻)
 □□好き だってあなたに会えるもの(正解:会社、珍答:放火)
 盗人を捕らえて見ればわが□なり(正解:子、珍答:署)


『未読王購書日記』(2003年2月本の雑誌社)読了
 内容は、HP版『未読王購書日記』の2000年9月(開設時)〜2001年12月分を加筆、修正したもの。うん、やはりおもしろい。(ところで加筆ってのは、日付欄にお天気マークを付けたこと?)
 広告のデザインとは違っていて、本文は三段組。しかし三段組にまでしたにもかかわらず、2001年までの日記しか掲載できなかったというのも驚きだ。1年3ヶ月分の日記で1冊なんだからね。3年半の日記で単行本1冊ペースの佐野洋の立場はどうなる?
 それでおそらく、2002年分の日記は文庫で出すときに増補版として加える腹づもりだな(^_^)


 『奈落殺人事件』(立風書房) 2003/2/22(土)

 今日の新刊購入は、
『未読王購書日記』(2003年2月本の雑誌社)
『ミステリの美学』ハワード・ヘイクラフト編/仁賀克雄編・訳(2003年3月成甲書房)

 『未読王購書日記』がついに発売、活字ビッシリの三段組だ!
 丸善では各所で平積の状態。カバーのデザインもいいし、巻頭の「本書を購入しようとされている方へのご注意」も好調。さらに予告どおり書籍版のボーナス特典として日付欄にお天気マークまでついているのだ。 これなら売れても(売れなくても)不思議じゃない! (^_^)

 『ミステリの美学』は、ヘイクラフト編 "THE ART OF THE MYSTERY STORY"(1946)収録の53編から22編を訳出したもの。うち初訳は6編で、その他は『推理小説の美学』、『推理小説の詩学』、『殺人芸術』で既に訳出されているという。
 うーん、6編とはいえ初訳があるなら買わなきゃならん(-_-)
 巻末に原著53編の目次がついており、『推理小説の美学』及び『推理小説の詩学』の収録作も明記されていてまあ便利なのだが、ほんとは53編すべてを訳出してもらった方が面倒がないのだ。編者もその点について、全訳すると2巻本になってしまい出版不況の折から古書の翻訳出版は名著であっても難しいことを思い知らされた、と述べてはいる。

 でも、ちょっとは本の雑誌社を見習ってみてはどうでしょうか。一段組で入らなかったら、ニ段組、三段組、いや四段組にしてでも収録するよう工夫してごらんよ。


『奈落殺人事件』戸板康二(昭52年立風書房)読了
 本書の作品の中では「不当な解雇」が一番魅力的な謎かな。
 「ほくろの男」では、雅楽も登場はするのだがまったくの脇役。雅楽が登場する場面をカットしてもまったく支障のない作品なので、番外編といったところか。

 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『奈落殺人事件』(立風書房)

 年末年始で読むはずが実際には2か月もかかってしまいましたが、以上をもって雅楽探偵譚はほぼ読了ということにしてしまい、かくれた名作に「中村雅楽探偵譚」を正式アップすることにしました。


 「絶版本とその周辺」 2003/2/20(木)

 今日の新刊購入は、
『魔法のほうき ファンタジーの癒し』井辻朱美(2003年3月廣済堂出版)
 また井辻朱美のファンタジー解説書!
 井辻は序文で、ファンタジーを「その物語に関する周辺本やグッズが出るようなシリーズ」と定義する。
 即座にはピンと来ないが、言い換えれば、別のもうひとつの<世界>になりたがる物語、世界が主体でありその上でドラマが無数に生起する物語、がファンタジーだというのだ。

『キャラクター小説の作り方』大塚英志(2003年2月講談社現代新書)
 大塚は、角川スニーカー文庫を代表とするジュニア小説こそが日本の「文学」の起源の時からずっとあった小説の形式で、ジュニア小説の書き方を学ぶことは実は「私」についての小説の書き方に最終的につながると主張。
 なぜスニーカー文庫のカバーはまんが家が書いているのかなど、かなり挑戦的な内容で読むのが楽しみ。

 ネット古書店で注文していた本が届く。
『mystery avenue 創刊号 '77/5』『mystery avenue vol.2 '78』全日本大学大学ミステリ連合 2冊3000円
 創刊号はカー特集。
 2号では、慶大の増田博士氏「絶版本とその周辺」がためになった(ような、ならないような(^^; )
 氏は、名作が絶版になっている理由として次の点を上げる。
(1) 訳文の悪さ(例として、創元推理文庫の『水平線の男』(H・ユースティス)、HPBのカーの諸作、通常の人間なら頭痛を起こす創元社世界推理小説全集『雪の上の血』(H・ロレンス)など)
(2) 売れ行きの悪さ(効果的な宣伝不足やほとんどの翻訳作品を再版しないなど、出版社の売ろうとする姿勢の欠如)
 またその解決策としては、出版社に読書カードを送付するなど、「我々が絶版書を積極的に再評価」し、出版社の出版方針をリードすることをあげている。さらに、各評論家があげるベスト作品表では絶版書が意識的に排されていることに憤慨している。

 この当時に比べたら、最近の復刊ブームは夢のような状況なのだろう。もっとも絶版本の多くはやはり絶版になっている理由もあるとは思うけどね。


 『團十郎切腹事件』(河出書房) 2003/2/19(水)

 今日の古本購入は、
『ブルクリン家の惨事』コール(昭35年新潮文庫)100円
『誰が駒鳥を殺したか?』イーデン・フィルポッツ(1960年創元推理文庫)100円
『猫丸先輩の事件簿3』倉知淳/作画 服部あゆみ 大槻純 武内香菜(サスペリアミステリー7月号ふろく)100円

 『ブルクリン家の惨事』は持っていなかったので、100円ならラッキー。
 『猫丸先輩の事件簿3』は倉知淳原作のコミックス。サスペリアミステリー7月号という記載があるがいったい何年のことなんだよお?ふろくの「1」「2」を探すのはつらいので単行本コミックスで出してほしいところだ。もっとも私の場合コミックスの棚は見ないので、単行本で出ても気付かないことの方が多いけどね(^^;


 新刊購入は、
『検証・八切止夫 歴史民俗学2002 NO.21』歴史民俗学研究会編(批評社)
 副題は、「異端の歴史家・八切止夫を解剖する」
 えっ、歴史民俗学から八切止夫を研究? でも八切止夫の『信長殺し、光秀ではない』や『徳川家康は二人いた』、『上杉謙信は女人だった』などの著作って、フィクションなんじゃないの?

 礫川全次は「入門・八切史観」でこう書く。
 「八切の場合厄介なのは、先学の成果を援用しても、その旨を明記せず、あるいは、その先学の名前や文献を示さないということがままあることである。先学の名前や文献を示している場合でも、先学の所説を紹介するかに見えながら、その過程で自己の見解を混入させてしまうということもよくやる」

 だったらやっぱりフィクションと考える方が普通の気がするけどなあ。
 それはともかく、本書はまるごと1冊かけて八切止夫を研究するという空前絶後の研究書だ。


『團十郎切腹事件』戸板康二(昭35年河出書房新社)読了
 収録作4編のうち「ノラ失踪事件」は竹野記者は登場するが雅楽が登場しないので、雅楽譚は残り3編ということになる。うち2編は講談社文庫版で読める。
 また「六スタ殺人事件」は立風書房版『奈落殺人事件』でも読むことができる。アリバイものだが、もともとアリバイ自体が成立していないんじゃないのかな。

 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『團十郎切腹事件』(河出書房新社)


 『クロへの長い道』 2003/2/18(火)

 中村雅楽譚のうち何編が未読かを調べてみようと、様々なページに点々としていたレビューを1ページに纏めてみた(中村雅楽探偵譚 ただし工事中(^^;)
 その結果、河出書房版『團十郎切腹事件』で2編、立風書房版『奈落殺人事件』で5編が未読のようだ。年末年始で読む予定だったので大幅に遅れてしまったけれど、こういうのはその気になった時じゃないとなかなか読めないから、まあ満足といえる。
 読みたいと思う新刊があまり出版されなかったおかげでもあるんだけど(^_^)

 まあ、そんな中で最高傑作の部類に入る
『クロへの長い道』二階堂黎人(講談社文庫)読了
 6歳の幼稚園児、渋柿信介を探偵役にしたハードボイルド。単行本では読んでいなかったので今回初読。
 文体はハードボイルドのままに、幼稚園児の一人称で語られる探偵小説なので、おもしろいとは想像していたが、これ、おもしろすぎ!(^_^)
 続けて『私が捜した少年』(双葉ノベルス)も読み始めてしまったよ。

 なお各編のタイトルはパロディになっています。
 「縞模様の宅急便」 ← 『縞模様の霊柩車』(ロス・マクドナルド)
 「クロへの長い道」 ← 『シロへの長い道』(ライオネル・デヴィッドスン)
 「カラスの鍵」 ← 『ガラスの鍵』(ダシール・ハメット)
 「八百屋の死にざま」 ← 『八百万の死にざま』(ローレンス・ブロック)

 ちなみに『私が捜した少年』の方のタイトルは、
 「私が捜した少年」 ← 『私が殺した少女』(原寮)
 「アリバイのア」 ← 『アリバイのA』(スー・グラントン)
 「センチメンタル・ハートブレイク」 ← 『センチメンタル・シカゴ』『レディ・ハートブレイク』(サラ・パレンツキー)
 「キリタンポ村から消えた男」 ← 『キドリントンから消えた娘』(コリン・デクスター)
 「渋柿とマックスの山」 ← 『照柿』『マークスの山』(高村薫)


 『グリーン車の子供』(文庫版) 2003/2/16(日)

 今日は岐阜古書即売会の4日目。目録を見てもほしい本はなかったけれど、やっぱり暇なので行ってみました(^^;
 でも案の定、めぼしい本はなし。購入したのは、
『ミステリーギャラリー 西洋名画の謎』井出洋一郎(1991年小学館)1000円
『夏目房之介の漫画学』(昭60年大和書房)500円

 これだけではしかたないので、駅前の古本屋をまわってみる。そのうちの1軒ではちょうどSFの山を入荷したらしく『日本SFこてん古典1』なども紐で括ってあったけど、店にいるのはいかにも「店番してます」といわんばかりの年配の女性だったので尋ねる気もしない。というわけで、この店はパス。
 別の店で、次のものを購入。
『乙女の悲劇』ルース・レンデル(昭58年角川文庫)100円
『推理小説の詩学』(1976年研究者)1200円
 『乙女の悲劇』は誰かが探してると聞いたはずだが、誰だか忘れた(^^;


『グリーン車の子供』戸板康二(昭57年講談社文庫)読了
 この前徳間ノベル版の『グリーン車の子供』を読んだばかりだが、講談社文庫版で収録されている11編のうちノベルス版と重なっているものは3編だけ。その他に、1編は桃源社『歌手の視力』に、また2編が広論社『美少年の死』に収録されているので、結局新たにこの文庫版で読むべき作品は残りの5編ということになる。

 「子役の病気」では、また雅楽と竹野が「刑事コロンボ」を見ている場面が登場。「刑事コロンボ」が好きなのかな>戸板康二
 「子役の病気」と「神かくし」は、いずれも「寺子屋」に出演していた子役が、芝居の手習中に書いた習字の文字を見て、真相を言い当てる話になっている。発表は同じ「小説現代」で、しかも間に1年もあいていないことを考えると、ちょっと芸がないな、と思わないでもないが、よほど気に入ったシチュエーションなんだろうね。

 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『グリーン車の子供』(講談社文庫)
 

 『團十郎切腹事件』 2003/2/15(土)

 今日は猫又文庫さんへ。店に入ったとたんに、
 「新しい本は1冊も入ってないよ」と釘をさされてしまう。(正確には「釘を打たれてしまう」と言うんだったか?)
 「それで、もう『日本の古本屋』に登録したんですよね」
 「口座はできたみたい。メールも来てるかもしれないけど、こわいから見てない」
 こわい?でも、やっぱりメールは確認した方がいいかも。今、『日本の古本屋』で古書店検索してみたら、ちゃんと登録されてましたよ>猫又さん
 メールアドレスも掲載されているので、ほんとにメールが来てるかも知れないし。

 購入した本は、
『不思議の国をつくる キャロル、リア、グレアム、ミルンの作品と生涯』ジャッキー・ヴォルシュレガー(1997年河出書房新社)700円
『ザ・シンギング』シーロン・レインズ(1992年講談社)500円
 コピーライターのメアリが一目惚れした青年は使命を帯びて地球に派遣された火星人だった。これが彼女の人生はもとより地球の未来も変えることになった。


 新刊購入は、
『SFが読みたい 2003年版』(2003年2月早川書房)
『クロへの長い道』二階堂黎人(2003年2月講談社文庫)
 1999年に双葉社より刊行された単行本の文庫化。幼稚園児が探偵役のハードボイルドだ(^_^)


『團十郎切腹事件』戸板康二(昭56年講談社文庫)読了
 中村雅楽探偵譚の初期作品集。アリバイものあり、暗号ものあり、さらに歴史ミステリーや『Yの悲劇』のオマージュ作品まであるというサービス満点の1冊。
 「車引殺人事件」は中村雅楽探偵シリーズの第1作でアリバイもの。表題作の「團十郎切腹事件」は直木賞受賞作の歴史ミステリー。
 なお、この初期作品ではまだ殺人事件が頻発しているが、その後は影をひそめる。

 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『團十郎切腹事件』(講談社文庫)


 やられた気分 2003/2/12(水)

 職場に電話で「こちらから送ったメールは届きましたでしょうか」との問い合わせがあった。
この方からは一昨日にも電話があり、その時には
 「そちらのメールアドレスを教えていただけませんか」との問い合わせだった。
 「今、口でお伝えすればいいですか」と答えると、
 「できたらこちらにメールを送っていただけないでしょうか。そうしていただければそこから登録できるのですが」
 「はあ、で、そちらのメールアドレスは?」
 「はい、では今から読み上げます」
  なんか知らんが、やられた気分なのであった(^_^)


 今日の新刊購入は、
『夜鳥』モーリス・ルヴェル(2003年2月創元推理文庫)
『創元推理21 2003年春号』(2003年2月東京創元社)
『本の雑誌 2003年3月号』(本の雑誌社)

 『夜鳥』はデフォルトで購入。春陽堂版『夜鳥』(昭3年)を底本にした短編30編に1編を加えたもの。牧眞司の解説に加え、訳者の田中早苗、小酒井不木、甲賀三郎、江戸川乱歩、夢野久作の当時の解説を併録。

 『創元推理21』の今号の注目は、「座談会 我が愛しの創元推理文庫」奈良泰明・石川絢士・喜国雅彦。喜国さんなどはこの座談会のために、前日、長年懸案だった『月長石』を読んできたという気の入れよう(^_^) 他に天道真の絶筆作「星と月」も掲載。


 ネットで注文していた本が届く。
『フィリップ・K・ディックのすべて』ローレンス・スーチン編/飯田隆昭訳(1996年ジャストシステム)
『HEADS ヘッズ 1』『HEADS ヘッズ 2』原案 東野圭吾/作画 間瀬元朗(2003年3月小学館ヤングサンデーコミックス)

 『フィリップ・K・ディックのすべて』は、大瀧啓裕から、誤訳・珍訳に加え、傍若無人の改竄がおこなわれていると、さんざんこきおろされている本。そんな本を買ってどうすると言われそうですが、それはいいんです。別に読む気はないから。むしろ問題は、この本を見た瞬間に、「あっ、この本ならきっと持ってるよ」と感じたことだな(^^;

 『HEADS』の原作は東野圭吾の『変身』、脳移植をテーマにした小説だ。私はコミックスのコーナーはあまり見ないので、買いたいコミックスはネットで注文する方が多いのだが、小学館ならそんなに探さなくても容易に買えただろうから送料を考えると無理にネット注文までしなくてもよかったか。
 なお『HEADS』としか打てなかったが、実物は「A」が上下さかさまに印刷されている。


 戸板康二『團十郎切腹事件』(講談社文庫)を読み始めました。これを読み終えれば、雅楽譚も8割〜9割方読み終えたことになるはずです。って、こんな本も読んでなかったのかよ(^^;


 パソコン操作教示 2003/2/10(月) 

 今日は猫又文庫さんへ。
「もう『日本の古本屋』には掲載されてるんでしょ」
「それがまだなんです。まだ口座ができてないというんです」
「でもそんなことしているうちに、載せる本がどんどん店で売れてっちゃうんじゃない?」
「もうすでにだいぶ売れちゃってます」
 やはり前途多難なのでしょうか?

 その後、ちょっとパソコン操作についてお教えする。
「今日は便利な技を教えてもらっちゃたなあ」と感動されてしまったが、いや、たいしたことをお教えしたわけではないのだ。ただのコピー&ペーストなのだから(^_^)
 インターネットを閲覧していろいろ調べておられるのだが、それまで猫又さんは、その調べた内容をいちいち紙に書き写していたのだ。

 購入した本は、
『世界の終わりのサイエンス』トマス・パーマー(1992年早川書房)800円
 世界が無数の小世界に分裂、行き来も可能になるというパラレルワールドもの。
『アルーア 蠱惑』リチャード・コールダー(1991年トレヴィル)700円
 解説は巽孝之「ガイノイド宣言」
 巽は言う。 「ガイノイド」−「人造女」は、「アンドロイド」のアンチテーゼである。「男性(マン)」が「人類(マン)」の意味を兼任したように、「男性(アンドロ)モドキ」が「人間モドキ」を兼任してきた。 「ガイノイド」は「女性文化批評(ガイノ・クリティシズム)」と連動できる最初の人工生命なのだ。
 なんだかよくはわからないが、高尚な感じがとてもいいではないか。


 家に帰ると、
『密室本 メフィスト巻末編集者座談会』講談社ノベルス編集部編(2003年1月講談社非売品)が届いていた \(^o^)/
 講談社ノベルス20周年記念として、メフィスト賞選考座談会の第1回(1995年)から第20回(2001年)までをまとめたものだ。
 非売品という文字を見るとつい、あとでレアアイテムになりそうだからもう1冊分ぐらい応募しておいた方がいいかななどと考えてしまうのは、やはり業なのであろうか(^^;


 秀逸な北村薫論 2003/2/9(日)

 今日は小春日和の暖かい日だったし暇だったので、春日井古書即売会に行って見た。注目のハヤカワSFシリーズですが、ガラスケースに入ったまま売れ残ってました。やっぱりこの地域では1冊何万も出して買う人はいないよね (^_^)
 それはそうとして、案の定、さっぱり買うものがない。それでも無理やり買ったのは、
『解読力』鵜飼正樹(1999年メディアワークス)400円
 帯で「と学会」会長山本弘氏大絶賛とあるので買ってみただけ。
『SF事典』横田順彌(昭52年広済堂)500円
『REMIX少年マガジン大図鑑 VOL..2』企画・構成大伴昌司(1992年講談社コミックス)1150円
 全3巻のうちの第2巻。副題は「人は情報」
 買いもらしているシリーズなので定価以下なら買っておきたい。ちなみに今回は定価の半額。

 ついでにその近くの古本屋にも寄ってみた。とりたてて欲しい本はなかったが、
『MINDY ZONE』みんだなお作品集(昭61年月刊OUT4月号増刊)500円
 パロディまんがは好きなんだよね。「ど根性ガエルの襲来」、「それからの大空翼」、「血まみれオバQの侵略」などタイトルもいい(^_^)


 新刊購入は、
『タイムクエイク』カート・ヴォネガット(2003年2月ハヤカワ文庫SF)
 1998年に早川書房から刊行された単行本の文庫化。未読なのだが、メタ小説なのかな。
『ロゴスに訊け』池田晶子(平14年角川書店)
 久しぶりに池田晶子の本を購入。出版時に買いもらしていた本です。あいかわらずの辛口評論のようだ。
『フィリップ・K・ディック 我が生涯の弁明』ロランス・スーティン編(2001年アスペクト)
 これも今まで買いもらしていた本。ディックが自らの神秘体験を記録、解釈したもの。
 巻末の大瀧啓裕氏の訳者あとがきがおもしろい。本書の姉妹書ともいえる『フィリップ・K・ディックの変化する現実−文芸哲学論集』の邦訳について、
 「誤訳・珍訳にくわえ、原文で二十行を超えるパラグラフが抹消され、二十五行におよぶパラグラフが三行に圧縮され、三行にわたる文章がひとことでかたづけられるなど、傍若無人の改竄がおこなわれており」「この珍本を買った人にはお気の毒にと申し上げるしかない」とさんざんの罵りようだ。
 紀伊国屋書店のデータベースで確認してみたが、この邦訳はおそらく『フィリップ・K・ディックのすべて―ノンフィクション集成』飯田隆昭訳(1996年ジャストシステム)で間違いないと思う。ついでに注文もしてみたよ(^_^)


『街の灯』北村薫(2003年1月文藝春秋)読了
 巻末の田中博氏の「北村薫論」が秀逸。
 北村薫の一人称描写においては、語り手と語られる世界との距離が微妙に伸縮していることを、『空飛ぶ馬』所収の「砂糖合戦」、及び『夜の蝉』所収の表題作を例にして、見事に解き明かしている。

 「砂糖合戦」では、「私」と円紫師匠が『マクベス』についておしゃべりをしている途中で、突然、円紫が「ところで−あの、三人の女の子が、そんなに気になるのですか?」と「私」に問いかける。語り手の『私』は、それまでお客の三人の女の子が争うように砂糖を何杯も自分の紅茶に入れているのを目撃していながら、物語を効果的に語るために、その描写をわざと省略しているのだ。このことから、論者は「私」を北村薫の分身として言葉を操る計算高い語り手と表現する。

 なるほど言われてみれば、読んでいたときもおそらくここで違和感を感じていたはずなのだ。しかしその後のストーリー展開に惑わされて、今までこのトリックに気付かなかった。やられたな。

 そういえば本作でも一人称描写なのに奇妙なところがある。各編ともベッキーさんが語り手の花村英子より先に謎を解いていることに読者は気付いているのに、語り手である英子自身が気付いているかどうかがどうも判然としないのだ。一人称描写でありながらこれは不思議なことだ。北村マジックといってもいいかもしれない。もちろんこれは、語り手が読者よりも愚かなためという理由ではないことも明らかだ。この語り手はただのワトスン役ではなく、ベッキーさんに導かれながらも自ら能動的に謎を解く賢い女性に設定されているからである。いずれにせよ田中博氏のおかげで北村薫の新たな魅力に気付かせてもらえた。


 『敍説』夢野久作特集 2003/2/5(水)

 喫茶店で、私の後ろのテーブルにいる年配のお客さん2人が麻雀論議。
「麻雀の『ロン』という言葉は中国語なんだよ。いいか。中国語で言うから『ロン』、日本語に訳せば『出たっ』という意味だよ」
 はっ?
「『リーチ』だってそうさ。中国語だから『リーチ』、日本語では『伏せ』だな」
 不覚にも笑ってしまった。こんな講釈がその後も延々と続くんだもんな。だいたい『伏せ』って何のことよ?たんに自分が普段使ってる言葉っていうだけなんじゃないの。
 かなわないのは、この講釈がウケねらいじゃないということだな(^_^)


 今日は上前津の古本屋へ。この店には、新刊ながら普通の新刊書店では扱ってない本も置いてある。先日この店から、ミステリー研究会編『京極夏彦』(2001年鼎書房)という本を買ったばかりなのだが、今日行くと、また見慣れぬ本が置いてある。
 『文学批評 敍説2 03』特集夢野久作(2002年1月花書院)がそれだ。
 うーん、見たことない。夢野久作特集なのでもちろん買わせてもらう。定価は1800円だが1700円にまけてもらった。ほとんどお店の利益はないと思う。感謝、感謝。

 234ページ中、夢野久作関連の特集記事は94ページ。参考に、掲載されている評論のタイトルをあげておきます。
 特集 夢野久作−聖賤の交雑
  松本常彦/「ドグラマグラ」ノート
  中西由紀子/夢野久作「犬神博士」論
  木村功/小さき神々の声 宮崎駿「千と千尋の神隠し」から夢野久作「犬神博士」へ
  江藤正顕/「缶詰の地獄」論 夢野久作における<猟奇>的方法
  長野秀樹/「笑う唖女」論
  坂口博/福岡のプロレタリア文学覚え書 「九州文化」をめぐって


『阿修羅ガール』舞城王太郎(2003年1月新潮社)読了
 すまん、何が書きたかったのかさっぱりわかりません。ストーリーにインパクトがあるわけでもなく、さりとて結末の意外性も皆無だし、善悪について何か解釈らしきものもあるにはあるが特にオリジナリティがあるものでもないし。凡作としか言いようがありません m(__)m


 『グリーン車の子供』 2003/2/2(日)

 久しぶりに猫又文庫へ。
「日本の古本屋はどうなりました?」と尋ねると、
「それが、申し込みの時にメールアドレスを書き忘れて、また1週間遅れちゃったんですよ」
 やはり前途多難なのか?(^_^)

 常連のお客さんも来ていたので、しばらくおしゃべり。このまえの目録のことも話題にでる。
 いくら函付き初版でも『ベトナム観光公社』が28,000円ということはないんじゃないかと思うのだが、東京じゃあすごい値段になっていて、業者間でも競り合う物件になっているとのことだ。知らなかったなあ。でも私はやっぱり筒井にそれだけの金は出せないな。

 ここでは、次のものを購入。
『新サイコ/メル・ブルックス』ロバート・フィルペル(1978年サンリオ)1200円
『はだか川心中』都筑道夫(1986年ケイブンシャ文庫)250円
 『新サイコ/メル・ブルックス』は、メル・ブルックス監督によるヒッチコック映画のパロディ。
 『はだか川心中』は、以前、他の方にお譲りした本の買い直し。

 また他の店で買った本は、
『海軍拳銃』F・グルーバー(昭33年東京創元社 世界推理小説全集76、函)200円


『グリーン車の子供』戸板康二(昭51年徳間ノベルス)読了
 表題作の「グリーン車の子供」は、佐野洋が星新一から、「あれを「推理日記」で取り上げないのはアンフェアだぜ」と言われた作品だ。
 もともとこの作品の舞台はひかり号だったのだが、日本推理作家協会賞の選考の場で「ひかり号が熱海に停まるのはおかしい」とクレームがつき、ひかり号をこだま号に直すことを条件に受賞を決定したのだという。
 ところが星新一は、本作品を読んでいて、出てくる人、出てくる人、みな大阪から東京に行くために、ひかりを使わずわざわざこだま号に乗りこんでくるのはなぜかという点に疑問を持ったのだ。 これが重大な伏線と思いこんだ星新一が、結局最後までその謎が解かれていないことを指して、アンフェアと言っているのである。
 選考委員がかえってキズを大きくしてしまった例だが、文庫版でも修正されていない。
 「ラスト・シーン」の中で、「アメリカ村殺人未遂事件については、また折を見て、書いてみよう」などと書かれている箇所があり、ひょっとすると「書かれていない物語」の登場か?とも思ったが、どうもこれはその次の「臨時停留所」の話のようだ。
 別の場所では、雅楽、竹野記者、江川刑事の3人で3億円事件について推理したという記述もある。あっ、この推理は聞きたい!(^_^)

 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『グリーン車の子供』(徳間ノベルス)


 『スーパーヒロイン図鑑』 2003/2/1(土)

 今日は名古屋古書会館即売会2日目だがこれといってほしい本もなく、そのまま紀伊国屋書店に直行。ああ、売ってた、売ってたと、
『阿修羅ガール』舞城王太郎(2003年1月新潮社)を購入。

 ここに来た目的はこれだけだったのだが、もう一つ上のフロアーのDVD売り場をのぞいてみると、USED未開封と銘打って、
『怪 福神ながし』京極夏彦(松竹株式会社ビデオ事業部DVD105分)が980円で売られていた。定価3800円だし、いいや買っちゃえ。でも、こういう店でも中古品を扱っているんだね。

 これでやめておけばよかったのだが、その後もぶらぶら見て廻っていると、東映ビデオ株式会社発売の『スーパーヒロイン図鑑』というDVDを見つけてしまった。
 うう、これは、............欲しい............! 別に内容を見たいわけではないのだが、コレクトだけはしておきたいのだ。
 そこにあるには『U』と『V』だけで定価は各5,800円。こんなに高いのではと断念。
 しかしその直後とんでもないものを目撃。レジに並んだ青年が購入しているのは『はじめの一歩』というアニメDVDなのだが、その購入数が半端じゃない。1〜23巻までの23本まとめ買いなのだ! ちょっと目が離せない。係員の手で何度も「5,800」とレジが打たれていく。すげえ!
 彼に比べたら、私はなんと小心者であったことか。たった2本のDVDを買うことぐらいで、何をためらっていたのか。と、購入を決意してしまった(^^;

 レジを売ってもらっている間に、さらに、
「これ、『U』と『V』なんですけど、『T』はないんですか」と尋ねてしまった。
 係りの方は、さっそく検索してくれて、
「当店には在庫はありませんが......」
 ああやっぱりと、ちょっとホッとしたのだが、
「ですが、名古屋駅店の方に在庫がございます。お取置きするように連絡いたしましょうか?」
 えっ、そんなことまでわかるの。でも名前まで明かすのもおおげさなので予約はよしておく。

 こうなったら『T』を買いに行くしかしょうがないので、名駅へ向かう。
で、名古屋駅店に入ってみると、ああ、ほんとにありました>『T』
 さっそく買って帰ろうと思ったら、あっ、『W』もあった......
ここまできたら買うしかしょうがないよね(;_;)

 あっというまの大散財であります。反省、反省。気を取り直して来月からは倹約だ、と思ったら、今日はもう2月だよ(^^;

 せめてものことと、かくれた名作の特撮ヒロインのページを更新してみました。
 (ただし、かなり重いページになってしまっていることをお断りしておきますm(__)m )


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