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あ れ こ れ 考 え る 40
 今年最後の収穫 『歌手の視力』 『ラッキー・シート』 『第三の演出者』 『美少年の死』 名古屋古書会館即売会報告 

 今年最後の収穫 2002/12/31(火)

 ようやく年賀状を発送、やれやれ今年は遅くなったぜ。
 郵便局から不在通知が届いているので、年を越す前にと受け取りに行く。これが今年最後の収穫になるのだが......
『女五人の謎』松本泰(昭6年四六書院 新でかめろん叢書)6000円
 うーん、高い!(^^;  内容は犯罪事実譚、14編収録。参考にタイトルを書いておきます。(ただし旧字体を新字体に改めています)
 「映画監督の死」、「殺人を見てゐた女」、「街の蝶々」、「張温殺し」、「女五人の謎」、「海の秘密」、「薬種屋殺し」、「人間の缶詰」、「女結婚魔」、「兎を産むだ女」、「金庫の謎」、「美容術師」、「死者帰る」、「木足の男」

 大晦日の楽しみは、TBS系列放映の総合格闘技決定戦「イノキボンバイエ2002」だ。 (って、今年はこんなタイトルなのかよ) 餅を焼いてぜんざいに入れて食べながらの観戦、これぞ小市民の幸せだ(^^;
 吉田VS佐竹戦は50秒で決着、引退するにしても負け方があっけないぞ>佐竹
 去年活躍した安田も、ミルコと戦った藤田も、ともに相手によく研究されていて残念ながら敗戦。ファイナルマッチのボブ・サップVS高山善廣戦もサップの強さのみがめだった試合だったが、サップがレスラーの高山相手に腕ひしぎ逆十字で決めたのはなかなかよかったのではないでしょうか。とりあえず満足しました。

 さて大晦日のもうひとつの楽しみは、初風呂を兼ねた銭湯での年越し。また平和な年の始まりです。じゃあ今から行ってきまーす、よいお年を(^_^)


 『歌手の視力』 2002/12/29(日)

 いまだに年賀状を書いてない!(;_;)
 早く書かなきゃ、早く書かなきゃ、と思うほど、なぜか小説を読みたくなってしまうのよね>ほとんどテスト期間状態のオレ(^^;

 そんなわけで、『歌手の視力』戸板康二(昭36年桃源社)読了
 これは珠玉の短編集。7編収録、うち雅楽譚は「滝に誘う女」、「加納座実説」、「文士劇と蝿の話」の3編。
 「滝に誘う女」では、身元不明の被害者の両手が赤い染料に染まっており、右の中指の腹にペンだこができているところから、雅楽がホームズばりの推理で、職業、経歴を指摘し、さらに犯行方法、犯人像までズバリ、ズバリと言い当てる。

 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『歌手の視力』


 『ラッキー・シート』 2002/12/28(土)

 おそらく新刊を買うのは、今年は今日が最後になるだろうと思い、丸善の2階で書籍運搬用のワゴンにまで目を通していると、振り向いた店員がI女史だった。
 「先日はプレゼントをありがとうございました」と礼を言われる。この前のオフのプレゼント交換で、私が用意したクリスマスソングを演奏する人形(何の人形かは忘れた(^^; )がたまたまI女史に当たったのである。
 「あれ大活躍したんですよ。クリスマスにはお店のレジにも置きましたし」
 そんなふうに活用していただけたとは、かえって私の方がうれしい。来年も何かに利用してもらえたらいいな。
 「ところで、今年はもう新刊の入荷はないんでしょ」
 「今日ちょっとありましたけど今年はこれでおしまいですね。来年は早くても1月4日かな」
 今年の年末年始は戸板康二を読む予定なのだが、それだけしかないのではさみしいので物色。

 購入した本は、
『火星探検』旭太郎(小熊秀雄)作/大城のぼる画(2003年1月透土社)
『赤い隻眼』神永学(2003年1月文芸社)
『世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ』西崎憲(2002年12月新潮社)
『ファンタジーの魔法空間』井辻朱美(2002年12月岩波書店)
『さみしさの周波数』乙一(平15年1月角川スニーカー文庫)

 『火星探検』は、ナカムラマンガライブラリー(昭15年)の完全復刻版(1980年晶文社)の松本零士氏所蔵の私家版を定本とし(ああ、まどろっこしい(^_^))、関連対談、評文を精選採録した普及版なのだという。本書は戦前のSFストーリー漫画の草分け的存在であり、小松左京の言によれば「これは日本SF史においても誇るべき作品だ。(中略)1940年ごろにこんなすばらしい漫画は世界のどこにもなかったはずだ」とのことだ。
 『世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ』は、第14回ファンタジーノベル大賞受賞、翻訳家西崎憲の創作デビュー作。


 大掃除などで出てくる本を狙って、鶴舞の古本屋にも廻ってみたが何もなし。年によっては店が買い取ったばかりの本をごっそり購入したなんてこともあるのだが今年ははずれだ、ちぇっ。


『ラッキー・シート』戸板康二(昭37年河出書房新社)読了
 読んでいて何かデジャビュを感じていたが、あっ、再読だ!(^^;
 7編収録、うち雅楽譚は「ラッキー・シート」、「密室の鎧」、「写真のすすめ」の3編。
 どれもわりと後味の悪い作品で、強いて勧める作品もないのだが、そう言っている自分がこの本を2度も読んでしまったのは不思議だ(^^;
 
 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『ラッキー・シート』


 『第三の演出者』 2002/12/26(木)

 今日寄った古書店に来春の古書会館即売会の目録が置いてあったので、もらってその場で確認開始。鷲尾三郎『文殊の罠』、楠田匡介『地獄の同伴者』各2000円を始め、かなり充実した本が目白押しだ。もっともそういう本を出品している店は、今訪れている店だけなんだけどね (^_^)
 さっそくその場で注文してきたので切手代ももうかったし、これで当選すればいいお年玉になるんだがなあ。


 その後、猫又文庫さんのところへ。ちょうど映画屋さんも来ていたので、またおしゃべりを楽しむ。
 「本の雑誌は出版がいつになるかわからないそうですよ」
 「ああ、王様の出版のことね。でも2003年出版予定の広告の筆頭に掲載されてたんですよ」
 もっとも王様の日記を読んでみると、まだ本人にもタイムスケジュールが示されているわけでもないようだから、やっぱり年の初頭に出版とはいかないかもしれないが。

 いつのまにかレジにパソコンが据えられていたのにはびっくり。すでにプロバイダーとも契約が済んでいてインターネットにも接続できるのだそうだ。今みたいに適当に検索して見ているぶんにはいいが、ブックマークを覚えられてこのサイトなどまで常時見られるようになってしまうとちょっとやばいぜ(^^;
 「そろそろ日本の古本屋でも本を売ろうと思って」
 「ホームページは作らないのですか」
 「それにはいろいろなものが必要なんでしょ。表を作る道具とか」
 えっ、表を作る道具?
 「ホームページ作成用のソフトだけでできるんですよ。映画屋さんもそうでしょ」
 「僕はホームページビルダーですね」
 「写真を入れるとかするとスキャナーなんかも必要だけど、そうでなければそんなに大変ではないと思いますよ」
 と散々煽っておきました(^_^)

 購入した本は、
『ザ・ドライバー』クライド・B・フィリップス(1978年9月初版、1978年10月2刷ヘラルド出版)400円
『エアポート'80』ケリー・スチュワート(1979年ヘラルド出版)500円


 今日の新刊購入は、
『爆笑新聞』爆笑問題(平14年12月角川文庫)
 PARCO出版より1999年に刊行された2000年版カレンダー「爆笑新聞」の文庫化、ということだが、元のカレンダーはどういうものだったのだろうか。日めくりみたいなもの?
『SF Japan vol.6』2003winter(徳間書店)
 特集は、翻訳の載らない翻訳SF。翻訳SFからタイトルだけもらってきてオリジナルな作品に仕上げるという趣向だが、好きな執筆者が揃っているので喜んで購入。
 他に『ミステリマガジン』、『SFマガジン』も発売していたが、『ミステリマガジン』は2月号だというのにクリスマス特集というのにはあきれてパス。『SFマガジン』の方はもしかしたら後日買うかもしれない。


『第三の演出者』戸板康二(昭36年桃源社)読了
 中村雅楽探偵役の長編。数人の視点から事件が語られ、最後に中村雅楽が真相を推理する。事件は、死者の遺稿に従って演出の稽古が行われている時に、一人の男が死に至るというものだ。

 劇団ツバメ座の指導者、加倉井誠が病死した。その通夜に雅楽譚でおなじみの竹野記者の手によって、加倉井の遺稿「虚偽と真実」という戯曲が発見される。
 通夜らしく、加倉井の柩の前で本読みが行われるが、その内容は加倉井自身をモデルにしたもののようであった。主人公は若い妻を娶るが、その後自分が最も気に入っている後継者と妻の仲を疑うという内容なのである。これは誰の目にも、加倉井とその妻瑠璃子、弟子の友永の関係を連想させるものであった。
 加倉井の追悼公演に、この「虚偽と真実」をかけることが決まり、友永が主役に扮することになった。ところが稽古が始まってまもなく、再び、加倉井の手による「虚偽と真実の演出覚え書」が、さらに「虚偽と真実、ニ巻目で気がついたこと」が発見される。
 加倉井が遺したこの演出に書かれているとおりに、指示された拳銃を使い稽古をしている際に、二つ目の弾倉に実弾が入っていたのだという。友永が死亡する。

 犯人を指し示す決め手はかなり明瞭に書かれているので、犯人を指摘するのは容易だろう。犯行方法はもっと簡単な方法も可能なはずだが、そこは雅楽譚、楽しむ主眼はそこにあるのではなく、芝居見物のように楽しむ作品なのだろう。
 その意味で言えば、重大な人間関係についてまったく気が付かなかったのは残念!これについてもかなり多くの手がかりが与えられていたのだし、こういうところこそ雅楽譚らしい趣向ともいえるからだ。もっともこの部分は事件とはあまり関係はないのだけどね (^_^)

   → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」

 『美少年の死』 2002/12/23(月)

 『週間ゴング2003年1月3日号』によると、長州、谷津を主力とするWJプロレスの3月1日横浜アリーナ旗揚げが決まったという。天龍の参戦はまず確定、アニマル浜口や馳の協力も得られそうだし、わくわくするメンバーが集まりそうだ。
 長州が最近口ぐせにしているように、プロレス界のど真ん中を、時代とは逆向きに走ってくれることを期待する。以前のストロングプロレス黄金期の方向に突っ走ってほしいね。


 今日の古本購入は、
『ニックとグリマング』フィリップ・K・ディック(1991年筑摩書房)1000円
『網にかかった男』パトリック・クェンティン(1966年創元推理文庫)150円
 『ニックとグリマング』はディックのジュヴナイル小説。地球には人があふれ、ペットを飼うことも許されない時代になっていた。愛猫ホレースを飼っているニック一家は、ペット取締官に見つかるまえに、地球に見切りをつけて宇宙へ旅立つ。


『探偵怪奇小説選集7 美少年の死』戸板康二(昭51年広論社)読了
 中島河太郎編の戸板康二短編集、11編収録。リアリティを重視するより偶然性を強調する物語が多く、ある意味では歌舞伎的な雰囲気を漂わせる。
 雅楽譚は「美少年の死」と「隣家の消息」の2編。
 私の好みは「青い定期入れ」、孫娘が元総理の祖父を翻弄し、それが政局にまで発展してしまうというユーモラスで一種痛快な作品だ。

 詳細は、 → かくれた名作「中村雅楽探偵譚」 『美少年の死』


 名古屋古書会館即売会報告 2002/12/21(土)

 今回の即売会は年末恒例のワンコインセール、1階が100円均一、2階が500円均一。だからといって買いたい本が大量に出品されるというわけではないのだけれど、昨年は中日新聞にも取り上げられて、2階の床が抜けるかというほどの盛況を迎えたセールだ。
 今日は2日目だが客の入りはまあまあだし、一応、人気の即売会といってもいいだろう。

 購入した本は、
『殺人者の健康法』アメリー・ノートン(1996年文藝春秋)500円
『日本テレビ放送台本 オールスター親子で勝負! No.12決定稿』500円
 裏表紙に「郷ひろみ」とサインが入っていたので、ひょっとして郷ひろみ用の台本だったのでは、と思い購入。もっとも本当にそうだとしても値打ちがあるわけでもないだろうけどね。
 昭和51年12月1日(水)に名古屋で収録した番組の台本(放送日未定)。2組の即席親子がゲームで対戦する土曜日放送の番組だったようだ。司会は郷ひろみ、徳光和夫、野中小百合。この回の回答者は、加茂さくら、佐藤佑介VS谷啓、アン・ルイス。

 今年の名古屋の即売会はこれでおしまい。来年は、1月3日(金)〜5日(日)、1月10日(金)〜12日(日)の2週連続で開催予定だ。特に1月3日から即売会を実施するなどとは一昔前には考えられもしなかったことだろう。がんばってるなあ>名古屋の古本屋

 鶴舞の古本屋にもよってみる。
『ラジオメルヘン 風の又三郎と蛙たち』菊池豊(1991年矢立出版)350円
 放送1984年〜88年に放送されたニッポン放送「文春スーパーステーション」から4本、1986年TBS「ラジオ図書館」から1本、の計5本のラジオドラマ台本を収録。

 目録で注文していた本が届く。
『魔法少年』大下宇陀児(昭32年ポプラ社)3500円
 えへへ...... 久しぶりの目録注文だけど、3500円は高すぎ。
 まっ、いいや。これは今年の、自分へのクリスマスプレゼントということにしておこう。今年も1年ご苦労さまでした>自分(^^;


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