UWB超広帯域無線システム

 FCC PART15 SubpartF(Ultra-Wideband Operation) では、3.1GHzから10.6GHzの帯域において以下の条件を満足するものと決められています。
 スペクトルがピークから10dB減衰する帯域幅が500MHz以上(国内では450MHz以上)または、比帯域が20%以上のもの。
 平均電力 EIRP −41dBm/MHz以下
 尖頭電力 EIRP 0dBm/50MHz

 FCCの免許不要の許容値は、FCC15.209での免許不要値を基本としており、周波数1000MHz以上は、RBW1MHzの平均電力が3m離れて500μV/mが元でEIRP−41dBm/MHz以下とされています。なお、1000MHz未満は準尖頭値検波となっています。

 ETSIでは発射帯域以外の許容値が大変厳しく満足するのは困難な値で、日本が決めた−90dBm/MHz以下が採用されました。
 
 国内では、3年以上も情報通信審議会で審議されました。
 免許不要の微弱無線局は、322MHz以下は、3m離れて500μV/m以下ですが、322MHz超え10GHzまでは35μV/m以下となっています。
 したがってレベル差は、FCCとは35/500 = −23dB になるばかりでなく、検波方式も1000MHz未満は準尖頭値検波でありFCCと同じでしたが、今は広帯域変調の無線機器に対応するため、RBW1MHzの尖頭値検波に変わっています、1000MHz以上はFCCの平均電力と異なり尖頭値検波となっています。
 UWBはインパルスを前提としているため、平均値では尖頭値より30dB以上低くなる場合があります。すなわちFCCの許容値とは53dB以上の差があることになります。
 国内では、マイクロ波帯では4.2G〜4.8GHz(LowBand)と7.25G〜10.25GHz(HighBand)しか使えません。規定上は3.4G〜4.2GHzも使えることになっていますが、平均電力−70dBm/MHzなので微弱無線局と同程度です。欧州ではWiMAXとの共用条件としてDAA(DetectandAvoid)とLDCが義務づけられていますが、国内では、この周波数帯は第4世代携帯電話に割り当てられているため、LDCは認められず平成26年1月1日から認められたDAAもLTE-Aとの干渉回避が必要なため熱雑音より低いレベルの干渉回避が求められ、実質−70dBm/MHz以下しか使えなくなってしまいました。26GHz帯の車載UWBレーダーも規制は厳しく24GHz帯まで使用する場合は電波天文台から10km程度(観測用アンテナによって個々に距離が決められています)以下では、電波の発射を停止しなければいけません。

 IEEE802.15.3aでも議論されていましたが、MB-OFDM方式を主張するインテル、TI(テキサスインスツルメント)とDS-UWBを主張するモトローラ(途中から半導体部門が分離したフリースケールセミコンダクタが継承)が対立し、一歩も譲らなかったため平行線のままです。IEEEでは投票によって75%以上の得票を得ないと標準になりません。したがって勢力の拮抗する2勢力が対立すると標準化は成立せず3年以上も議論されましたがIEEEでは15.3aは解散され標準化が断念されました。その後はIEEEでは規格番号だけをつけて標準化したように見せるため対立するグループが異なる仕様を併記した規定が増えています。したがってIEEE802.16eなどはいっぱいパラメータがあって、そのままでは接続性が確保できず使い物にならないため、WiMAXは実際に使うパラメータだけを限定して規定しているようです。

 MBOA(Multi Band OFDM Alliance)は、MB-OFDM(マルチバンド直交周波数分割多重のことですが、500MHz程度のOFDMをFHのように3波ホッピングさせるものです)を推進しています。国内では低い周波数帯では600MHz幅しか認められていないためホッピングできません。

 DS-UWB(直接拡散によるスペクトラム拡散方式のため当初はDS-SSと呼称されていました、ただし携帯電話のW-CDMAのように拡散符号で拡散するのではなく、狭いパルスを用いて拡散する方式のためDS-UWBと呼称をかえたようです)

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