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はしらのはなし・営業日誌(2007年秋) その9

・営業その28、29

11月の第一週。
京王線沿線へ出かけてみた。
府中本町で下車。

スーパー内の書店へ。
店内をうろつくが、店員はレジのところに一人だけ。
お客さんの切れ目に話しかけてみた。

すると、
「ここはK書店グループなのですが、
本店を通してではないと。
店単独では受け付けていないんです」
とのこと。
素直に引き下がった。

もう一軒、駅構内の書店へ。
ここは新しく、割と大きな店だ。
この店の、旅や鉄道関係の本の棚に
自分の本が置いてあるとうれしいなあ、
と、何となく思う。

棚を整理している、若い女性に
話しかけてみた。
自分の本を取り出し、説明すると、
「今日は店長がいないのですが、
おもしろそうな本ですし、チラシをお預かりします」
と言ってもらえ、好感触だった。

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・営業その30

京王線、飛田給で下車。
細い道を歩いてまもなく、書店を見つけた。

ご主人がせっせと整理をしている様子が見えたが、
とてもとても小さなお店。
断られるだろうと帰りかけたが、
とにかくお話だけしてみようと引き返し、
思い切って話しかけた。

モノレールとは縁のない地域の小さな書店、
やはり注文はもらえなかったけれども、
いろいろとお話を聞くことができた。

「三十数年、店をやって来た。以前はこの町にも
数軒の書店があったが、今はウチだけ。」

「昔は書店が町の情報発信地として機能していた。だから、
『本屋へ行けば何かがある』とみんなが思って
人があつまってきたけれど、
今はインターネットがあるからね・・」

「今は雑誌や児童書が主で、単行本は滅多に出ない。
大型書店へお客さんは行ってしまう。」

「昔は本を配達するなんて考えられなかった。
注文を受けたら取り置いて、取りに来てもらったけれど、
今はまめに配達をしている。
お客さんに年配の方が増えたし・・」
などなど。
お礼を行って去る。

自分の本を置いてもらえそうもないような小さな書店にも
チャレンジしてしまうのは、
こういうお話を聞いてみたいからなのかもしれない。

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・営業その31

調布駅で下車。
駅の近くに何軒かの書店があるようだが、
同じ系列らしい。
本店を目指した。

棚を見ると、鉄道や旅の本は
あまり目立たない。
それでもレジにいた若い男性店員に話しかけてみた。

すると、年配の男性を連れてきてくれた。
本とチラシを見せて説明すると、
「担当は不在だが、チラシは渡しておきます」とのこと。

「奥付をちょっと見せて」と言われたので、見せると、
「新風舎はフリー入帖とあるけれど、
以前に奥付から三ヵ月過ぎた本を返本したら
戻ってきてしまった」という。
私の本はまだ三ヶ月以内なので平気だなどと
ひとり納得している様子。
お礼を行って店を出た。

後でよく考えてみると、
いきなり返本の心配をされてしまったのだから、
著者にとってはうれしい話ではありませんね。

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・営業その32

この日のおしまいに、仙川駅で下車。
大学の門前にあるらしい書店へ向かった。
モノレールとは全然関係のないところだけれど、
そんな書店にも自分の本を置いてもらって、
「なんだろこの本は?」とページをめくってもらえるだけでも
うれしいなあ、なんて考えた。

中の小くらいの規模の書店だ。
棚を眺めてみると、
どうも本の置き方が乱雑に感じられる。
それから、学生がゾロゾロと帰って行く時間帯だが、
お客さんがとても少ない。
学生は、むしろ昼間にやってくるのだろうか。

レジに立っている男性に話しかけてみた。
本を見せると、内容もロクに言わないうちに開口一番、
「あー。この辺では売れないでしょうねえ・・・」
と、苦笑気味にいわれた。

あっさり退出してきた。

駅にも書店があったが、
もう夕方五時をすぎ、忙しそうな時間でもあるのでやめた。
この日の営業は終了。