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はしらのはなし・営業日誌(2007年秋) その4

・営業その8

2007年10月上旬。
前回の二日後、また小田急線沿線へ出かけた。新百合ヶ丘駅下車。
最初の目的地は、「営業その3」と同じ系列の書店。
壁際の背の高い書棚には、いくつか梯子が掛かっている。

本物の「出版社の営業さん」らしい女性が、
店の責任者と見える男性に商品の説明をしていた。少し緊張する。
何も言わずに陰で様子を窺って待つのも根暗かしらと思い、
レジにいる女性に声をかけた。
やはり、先ほどの男性と話して下さいとのこと。
しばらく待つ。

先の営業さんが帰り、私の番になる。
本の説明をすると、無表情だが「・・4冊。」と注文を入れてくれた。
3でも5でもないのが、なんだか通信簿を付けられたような気持ち。

「売れてるの?」と聞かれ、
「ええと、けっこうあちこちに置いて頂いてます」と
ペカペカしゃべる。
「売れてる」のと「置いてもらっている」のは違うよなあ、と内心思いつつ。
とにかく、注文ゲット。

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・ 営業その9

次に、県内では大手の書店へ。ショッピングビルの中にある。
レジに何人かいるうち、やや年配の女性に声をかけた。
すると男性店員を連れてきた。

説明をしながら本を見せると、
「以前、モノレールの近くに住んでいたので個人的には
懐かしいですね」と言われ、いい感触だ。

が、「この本はジャンルとしては
何になるのでしょうかねえ?」と問われて
一言でスパッと言えず、困った。
「鉄道、とか廃線とか散歩とかー」と
何でもかんでも言ってしまう。
「置く棚によって担当者が別になりますので・・」
といいながらページをめくっている。

断りたいのだが気が弱くて断れない、という様子に見えた。
とりあえず、チラシは受け取ってもらえた。

 (営業用チラシ)

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・営業その10と、今はない書店のこと

新百合ヶ丘でもうひとつ、別のショッピングビル内にも
書店があるはずだと思い、行ってみた。

書店があるにはあったが、以前来たときとは別の名前の書店になっていた。
しかも、品揃えが薄くなっているようだ。
それでも、女性店員に声をかけてみた。
すると「今日明日と店長が休みなので・・」と言われた。
素直にあきらめ、「また後日うかがいます」と出てきた。

この町には、以前はもうひとつ、書店があった。
決して大きくはないが、個性的な品揃え。
私は2、3度しか行ったことがなかったのだが、
つれあいがたびたび利用し、なかなか気に入っていた。
「あの店があったら、きっと君の本もおもしろがって
置いてくれただろうなあ」と言われた。
そういう本屋さんが消えて行くのは、残念です。

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・営業その11から13、低調

さて、小田急線に乗って、町田駅で下車。
現在は向ヶ丘遊園駅に残っているだけの駅舎と同じものが
開業当時はここにもあったそうだが、現在はその面影など全くない。
(当時は新原町田駅という名前だった)
ターミナル駅で、書店は大きめのが数軒ある。

しかし、営業は低調でした。
3軒続けて「今日は店長が休みなので・・」とのこと。
「営業その10」から続けて4軒、同じことを言われて、
さすがに「木曜日の書店はみんな店長休みかよ!」と不審を抱く。
「飛び込みの個人営業の断り方」というマニュアルでもあるのかなあ・・と。

まあ、それならば明日も来てみれば本当かどうかわかるだろう。
と、妙に明るく心を切り替えた。営業ってそういうものだろう、と。
だけど結局、翌日は行かなかった。
やはり少しめげて、くたびれてしまいました。

実は、この町の書店1軒から5冊の注文を受けたと
出版社からきた「注文データ」に出ていた。
そこにも行ってみたのだが、私の本は見あたらなかった。
それで余計にガッカリしました。

せめて少しでも喜ばしいことを探そうと、
沿線の読売ランド前駅に降りてみた。
ここの駅前の書店からも、5冊の注文があったとのこと。
夕方になり、混んでいる店内に恐る恐る入る。

あった! 3冊あった。
表紙を向け、POPつき。
棚の整理をしている男性の背中に
「アリガトよ」と心の中で感謝しつつ店を出た。

これでこの日は終了。