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はしらのはなし・15

 14番が、私こと15番や16番が「まっすぐ」ではないことを嘆いていたとか聞きました。だけどそんなことをいちいち気にする暇は私にはありません。

 だってここはまさに交差点、自動車がひっきりなしに両脇を通り過ぎます。私のすぐ脇には、右折する車が私の足元ぎりぎりまで寄ってくるし、府中街道からこちら(小田急線の駅の方)へ入ってくる車が私をめがけるようにして曲がってきます。こすられたり、ぶつけられたりしないように気を配っていなくてはなりません。

 本職はモノレールの「はしら」ですけれども、気持ちとしては「交通整理員」でもありました。すぐそばのスーパーの駐車場の出入り口で働く人たちのようにね。「ピピー、はいはいどうぞお進みくださーい。」

 

 

(2006年3月・記)

(はしら15番があった頃(上)と撤去後(下)。