南部縦貫鉄道を歩く 25
 再び廃線後よりも左右が小高くなってくる。レール上には木はあまり生えていない。両側には木が立ち並び、左にはガソリンスタンドの建物の裏側が見えたりする。それと、ショベルカーが左の土手上にすれすれに並んでいて、崩れた土がレール上を少し覆っている所もある。その遥か先、なにかレール上をふさぐグレーの壁のような物が見える。そこでレールが急カーブを描いているのかと始めは思ったが、地図を見るとまっすぐのはずである。それではコンクリート製の小さい橋がレールの頭上をまたいでいるのだろうか?さらに近づくと、どう見てもグレーの何物かはレールをふさいでいる、立ちはだかっている・・・。何だ?無言の圧力に少し恐怖を覚えるが、とにかく近くへ、近くへ・・・。雪? 雪だ!泥に汚れた雪の山だ!なんなのだ!
 2メートルくらいの高さの雪の山が、廃線跡をまるきりふさいでいる。左右の下に、ぽかりと小さな穴が開いているのは、水が少しづつ流れているせいらしい。廃線跡は、格好の雪捨て場になっているのか!?その上、窪地になっていて両側に木が繁り、日がほとんど射さないここは特に雪が溶けにくく、ゴールデンウィークになっても残っているらしい。どうしよう、と思ったが、戻れるでもなし、別にただの雪の山だ、ズボッとはまって動けなくならない限りは、何でもないことだ、と勇気を出し、よじ登る。どこまで続いているのだろう・・と思ったが、50メートルほどで雪は消え、元通りにレールが現れた。雪の後だけに、レール際に生えている青白いふきのとうが印象に残る。この先も、山陰に数カ所、雪が残っているのを見かけた。まもなく旧後平駅である。