南部縦貫鉄道を歩く 20
 旧道の上駅に到着。駅名標はない。地図を見ると、この先、今までで一番大きい川、坪川を渡ることになっている。ぎりぎりまでレール上を歩き、手前で国道に迂回しようと思う。旧道の上駅から坪川までの間に、レールを横切る道が6本ある。6本目に来たら迂回しようと思い、細道を横切るごとに「1つ・2つ・・」と数える。
 相変わらず廃線跡は国道に沿っているが、相変わらず手強い。だいたい国道と同じ高さを行くが、間に木立をはさんでいる。トゲの木が多くて、ずっと続いて、いいかげんよけながら歩くのがイヤになってくる。密に生えているのでよけきれず、あちこちを痛める。もうそんなに無理をしなくてもと思い、レールの右側にある畑の間だの砂利道に出てみる。障害物もなく、じゃりじゃりと歩くのは楽だ。でもレールはわずかだが道とV 字に離れて行く。廃線跡歩きにどっぷり浸かってしまうと、もう「廃線に沿って見ながら歩く」のは全然チガウ気がしてきてしまう。つまらない。何もないただの一本道をあるくのは、なんだかはかどらない感じだし、廃線跡との一体感が全然ない。次のレールを横切る道に出たとき、いそいそと廃線跡に戻った。それでもトゲの木の所はやはり歩けなくて、レールのすぐ脇の用水路のふちを歩く。これがギリギリの妥協線だ。
(国道4号線沿い、吠えるビーグル。の後方に見える木立の中が、廃線跡。)

 5本目の横切る道の所から、レールが前方に向かって下って行くように見えた。そこで国道に出てしまうことにする。つまらなさをなんとか紛らわそうと、鮮やかな花を眺めたり、古い看板に見入ったり、飼い犬にちょっかいをだして吠えられたり。このころ、12時になり、「ふるさと」のメロディーが鳴りわたった。一緒になって歌ってみる。