南部縦貫鉄道を歩く 21
 やがて、国道が下って行き、橋が見えてきた。坪川を渡る坪橋だ。帽子を飛ばされないように押さえながら渡る。しっかりとした橋を歩いて渡っていても、かなり激しく流れている川は少し怖い。レールバスなら、この川も軽くひとまたぎ、川を渡ってすぐの坪川駅に向かって速度を落として行ったのだろう。
 旧坪川駅はどこにあるのか、橋を渡って少し行ったところにある細い道を試しに入ってみる。途中、平屋建ての民家の戸袋に、かわいいシンプルな絵を見つけて近寄ってみた。それは鏝絵(こてえ)のようなものらしかった。そこからさらに少し行くと、坪川の方から続く築堤の途中に、ぽつりと残る旧坪川駅を見つけた。小さな小屋とホーム。そしてそこに上がる階段。錆びた階段の間から、ニョッキリと木が生えていた。ここから先のレール上は草が多いように見え(遠くから見ればどこだってそうだ)、鏝絵のある民家の前を戻ったが、やはり国道はつまらなくて、すぐにレール上に舞い戻った。
(右端の松のような絵と、手前の戸袋(うまく写らなかった・・)の白い花の絵が鏝絵)


(坪川に架かる橋梁と旧坪川駅。)