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台湾のサトウキビ鉄道を訪ねて その12

 ふと、その菜園の向こうを見やると、古い木造の家屋がある。ちょうどパルプ駅があったというあたりだ・・。線路を渡りきってそちらへ向かう。ものすごく古い。そのくせ、なにかハイカラなデザインだ。これが「パルプ駅」なのか? 母は駅舎の細部までは憶えていない。ただ「駅の改札を走り抜け、待っていてくれた列車に乗った」という記憶だけ。

 向かいの家から年配の男性が出てきたけれど、勇気も語学力もなくて話しかけられず。問題の建物は物置のように使われているらしい。軒先(ホーム跡?)には少し洗濯物が干してあるが、おそるおそる覗いた建物内は住める様子ではない。窓は破れ、壁は崩れかけている。母は「もういいよ、行こうよ」と逃げ腰。でも私は菜園の側から少し回り込んでみたり、破れた窓から内部をじーっと観察したり。明らかに人は住んでいないのに、ホーム側に入り込むのはどうしてもはばかられてしまった。

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