ライヴ見聞録 
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2001,10/8 ラカトシュ・アンサンブル



 ラカトシュ・アンサンブルを見に行った。ステージ右から、ピアノとスタンドに立てかけたコン
トラバスが並び、その左にツィンバロムギターがセットしてある。暗闇の中を下座から出て
きた4人のメンバーに続き、スポットライトを浴びて、バイオリンを抱えたテディーベアが出て
きた。ラカトシュだ。期待に思わず前のめりになる。アンサンブルのメンバーは以下の5人。
 ロビー・ラカトシュ(バイオリン):Roby Lakatos
 ラースロー・ボーニ(第2バイオリン):Lazlo Boni
 カールマン・チェーキ(ピアノ):Kalman Cseki
 エルネスト・バンゴー(ツィンバロムギター):Ernest Bango
 オスカール・ネーメト(コントラバス):Oszkar Nemeth
ハンガリー大使館後援の、ジプシー音楽という先入観で聞くと、いきなり足元の梯子を外さ
れてしまうような演奏が始まった。
 演奏は、イントロというタイトルの自作曲から、ブールベックの変拍子ジャズ・ナンバーで肩
慣らしをした後、徐々に乗ってきた。第一部のハイライトは、ラカトシュの超絶技巧ではなく、
エルネスト・バンゴーツィンバロム即興曲だった。この楽器は、膝上で演奏するダルシマー
に比べて大きく、中国の揚琴のような卓状で、ダンパー・ペダルまで付いていた。両手に持っ
た小さなマレットで演奏するのだが、ハープシコードのお爺さん程度の、完成度の高い楽器
だった。この楽器を、目にもとまらぬ撥裁きで美しい旋律を奏でる様子は、CDの演奏から想
像していた技巧をはるかに上回る凄さで、のけ反ってしまったが、隣席に居た年配女性は、
感激して唸っていました・・・。
 第一部のラストは、やはり「剣の舞」を持ってきました。イヤー、凄かった。ところでラカトシ
さん、ソロの合間に飲んでいた、琥珀色の液体は何ですか?
 第二部は、ライヴ版の1曲目にも入っている、自作の「シンフォニー」?から始まった。この
曲は、途中に4ビート部分があるが、ここでのカールマン・チェーキのピアノがカッコイイ。見
事にジャズになっているが、CDと同じ演奏なので、即興ではないようだ。ここでラカトシュ
バイオリンは、ステファン・グラッペリに似た、気品のあるスウィング感を出し、気持ちイイ・・・
とても、テディ・ベアの演奏とは思えない。第二部の方が、演奏にもこちらの耳にも余裕が出
て楽しめた。最後はやはり、「ひばり」を持ってきて、CDよりもかなり長い小鳥の声のカデン
ツァを繰り広げていた。第二部は熱が入っており、ラカトシュは弓の毛を5回ほど切ってい
た。
 アンコールは、札幌から来たという日本の少年との掛け合いを披露した後、「黒い瞳」「ツィ
ゴイネル・ワイネン」という、美味しいところを放出して終わりました。いや、満足しました。





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