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”剣の館”−マヤ文明とは?


プフユー;
あて、ここは剣の館。石剣でサクサク切り刻むように、まずはマヤ神話の前提についてブツ切りざっくばらんに講義するページだ。
お前さんが首から上につけてる、でっかいヒカラ(瓢)の中身を、色とりどりのチピリンの花で一杯にしてやるよ。けひひひ。
イシュプールプヴェック;
講義はお前に任せるぞ、プフユー。
俺は面倒くさい。
プフユー;
あいよ、任せときな。お前さんは表の樹の上で、人間どもが逃げないよう見はっててくれよな。そんじゃ行くぜ。まずは、マヤが何所にあるか、ってなお話からだ。

 さて、と。物分りの悪い人間どものために、素敵なワールドマップを用意したぜ。
 以下の図を見やがれ。これでもうバッチリ分かるな? そう、マヤだアステカだと言ってる場所は、現代で言うとこのメキシコ周辺だ。
 まだ分かりにくい? なら拡大図も容易するぜ。

この地図は、著作権の切れた地図帳から読み込んだものです。

はい、カメラさん。寄って! 寄って!!

…とと。これでどうだ?
ちったぁ分かり易いだろう。この、血で染めてみた赤い部分の、海に向かって突き出してるところが、マヤ神話の話を開くと必ず出てくる、”ユカタン半島”だな!

遺跡が点在してる場所てェのは、メキシコからホンジュラス、グァテマラ、エルサルバドルあたりまでを含んでる。マヤパンもチチェン・イッツァも、ウシュマルも、パレンケもティカールも、すべてはこの地域にあるというわけさ。

アンダスタン?

マヤ文明はここから始まった。そして、今も続いているというわけさ。


イシュプールプヴェック;
おおっと! プフユー、その言い方だと今でも遺跡に人が住んでるみたいに聞こえるぜ。ヒカラの皮が薄い人間どもには、もっと分かり易く言ってやらにゃあ。小気味よく割れちまう。
プフユー;
おお、おお。そうだった。悪ィな、言い直すぜ。”マヤ人は、今もこの地域に住んでいる。”…これでいいか?
イシュプールプヴェック;
オーケーオーケー。マヤの文明そのものが滅びたわけじゃないってコトさ。今も、同じ言語、同じ文化を受け継ぐ、マヤの子孫たちが高地の村々に暮らしている。ただ都市が放棄され、かつての信仰が薄れたというだけなんだな。
何より、マヤ神話の解読には、この地域に暮らすマヤ・シャーマンたちの協力と、現地出身の学者たちの尽力があってこそ、だ。
プフユー;
おっ、文献になると俄然詳しいね、イシュプールプヴェック。
まぁ何だ、マヤ文明の研究つったらヨーロッパからやってきた白人学者どもの活躍ばかりが目立つもんだけど、実際のところ、彼らがマヤ文明を理解できず、多大な誤解を生んだってのは、あんまり聞こえないモンだからね。
地元民がいちばん理解できるに決まってるのさ。
どんな神話も、それを生んだ民族自身が解読したほうが、真の意味を理解できるつー話。
イシュプールプヴェック;
今でもマヤ・シャーマンは居るし、かつてのマヤの都で成されていたと思しき儀式も残ってるのさ。ま、人間の生け贄はやんないけどな。多分。
誤解の無いように言っとくと、スペイン人がやって来てからこのかた、ユカタン半島もキリスト教圏だ。今、マヤの遺跡を研究してる中には、敬虔なカトリック信者のマヤ人だっている。
そんなこんなで、「ポポル・ヴフ」の世界自体は、今は過ぎ去りし物語ってワケさ。
プフユー;
ってことだ。分かったかな人間ども?
それじゃ、神話に語られる過去から現代に至るまでの略式年表を見せてやろう。大体、こんなカンジだ。



マヤ文明とひとくちに言っても、その中身は大きく分けて3つの年代に分かれる。
最初の都市が作られ始める「先古典時代」、これは紀元前1000年ごろから都市建造が始まるって寸法だ。
続いて紀元後200年ごろから始まる「古典期時代」。有名なマヤ遺跡が誕生する時代だな。
さらに、この古典期時代がとつぜん終焉を迎えたあとに始まるのが「後古典期時代」。

後古典期次第はゆっくりと栄枯盛衰を繰り返し、最終的に16世紀、海を越えてきたスペイン人たちと出会って、「古代マヤ文明」は、終わりを告げる。…と、いう流れだ。

イシュプールプヴェック;
つまり何だ。16世紀まであったつぅことは、マヤ文明はけっこう新しいってこったな。俺様知らなかったよ。
プフユー;
まあなあ。古代文明といっても、500年かそこら前まであったってことだからな。ただ、古代マヤつったら、突然都市ごと放棄されて消滅した、「古典期マヤ文明」のほうがイメージされやすいな。
そっちのほうが古代文明ぽいだろ?
実際のところ文明自体が消滅したわけじゃなく、いくつかの都市はそのまま残ってたンだが。
イシュプールプヴェック;
都市が放棄された原因は、人口が増えすぎたための食糧難、戦争、疫病の蔓延、天変地異など色々考えられるらしいな。ま、最近じゃ考古学者も色々掘り出してるようだし、結局のところ、ありがちな理由で収まりそうだな。
プフユー;
…ありがちっていうか、そういうのがドラマティックっていうんだけどな。
イシュプールプヴェック;
そんなもんか? ま、俺たち地下世界の住人には関係ねぇな。
プフユー;
そう言うなって。ここからが面白いんだ。なにゆえに崩壊したのかって話もそうだけどな、マヤ文明の起源については、実は分からないことだらけなんだぜ。
イシュプールプヴェック;
上の年表で分かってんじゃねーか。
プフユー;
いんや、年表より前の話さぁ。”彼らは一体、どこから来たのか?”
”一体どうやって、高度な文明を築いたのか?”
以前は、中米最古の文明、紀元前2000年ごろに栄えたオルメカ文明がマヤ文明の前身と考えられてきた。まー時代的に合うからねぇ。ところがどっこい、オルメカ文明の影響を受けてないと思われる、古い都もあるんだな。つーことは、彼らはオルメカとは別系統の文明を築いてたとも言える。
イシュプールプヴェック;
ほお。そうすると、マヤ人はどこからともなくやってきて、何ゆえか山奥に住み着き、自力で都市を建設する文明を築いた連中ということになるんだな。楽しそうじゃねーか。
プフユー;
まあねえ。そういうナゾなところが、この文明の楽しいトコロさ。
で、マヤの唯一、まとまって残されてる神話・ポポル・ヴフはある意味で歴史書として扱われている。
神話の中に、ある程度の史実が隠されているかもしれない、というのだね。
イシュプールプヴェック;
そうだったのか。マヤ人の起源が隠されているかもしれない、と。なるほどなあ。どうりで、やけに研究が細かいと思ったぜ。
プフユー;
…って、そういえばイシュプールプヴェック、お前がここでオレの話聞いてどうするんだよ。人間どもの見張りはどうした?!
イシュプールプヴェック;
あっ。
プフユー;
…チィ、逃げられちまった。そらみろ、お前がおしゃべりに没頭してるから! 仕方がねぇな、まだ次の館も残ってる。いくぞ。ほら、ついて来い!

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リタイヤ。