■アイスランド・サガ −ICELANDIC SAGA |
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ところでグンナルは、白髪のハルヴァルズという男から、外国に行かないかと誘われていた。迷ったすえグンナルは財産の管理をニャールに任せて、弟のコルスケッグとともに旅に出る。
この頃、ノルウェーでは、かつてフルートに恩寵を与えた、あの「灰色マント」のハラルドと王母グンヒルドが死に、支配者がハーコン候に変わっていた。
候に仕える気はあるか、とハルヴァルズは尋ねるが、グンナルはその気は無い、と答える。(サガでは、将来有望な若者たちが国外へ出て、王に使え、名誉を得て帰国するのが常套となっているだけに、グンナルの決断は逆に珍しい。)
さてグンナルたちはヴァイキング航に出ることにし、船と乗組員を集め、ハルヴァルズの親戚・オルヴィルのもとを訪ねる。オルヴィルは軍艦を二隻よこしてくれ、最近、川にやってきたヴァンディルとカルルという兄弟には気をつけるように、と、助言を与える。
しかし、助言も役に立たなかった。グンナルたちは川を下る途中でこの兄弟の船と出くわしてしまい、激しい戦いとなる。
グンナルはじめ、弟コルスケッグもハルヴァルズもよく戦った。結果、この戦いに勝利し、彼らは多くの戦利品を得て海に出る。彼らの華々しい海戦はこれだけではないが、ひとまず、端折ることにする。
さてグンナルたちは、船を岬に寄せたところでトーヴィという男に出会う。
男は、岬の反対側にハルグリームとコルスケッグという兄弟の船が停泊しており、ハルグリームは魔法の矛を、コルスケッグは魔法の短剣を持っており、グンナルたちを襲おうと画策していることを告げる。
この情報をもとにグンナルたちはハルグリームたちを激破し、多くの財産を手に入れる。
グンナルは忠告の礼としてトーヴィを故郷デンマークに連れ帰ることを受け入れ、乗組員にトーヴィをくわえて旅を続ける。
次に向かった先は、トーヴィの故郷・デンマークだった。
グンナルの名声を聞き及んでいたこの国の支配者、ハラルド・ゴルムスソン王は、彼を招き歓迎する。王はグンナルを手元にとどめておきたいと思い、ふさわしい地位と縁組を申し出るが、グンナルは故郷へ帰りたいのだと答え、これを辞退する。
さらに、以前は会いに行かなかったノルウェーのハーコン候のもとも訪れる。候の身内の女性、ベルグリョートに思いをかけるが、結局、この女性とも結婚はせず、アイスランドへ帰ることを望む。とことん王の侍従という地位を拒否する、珍しい男である。
その頃、アイスランドは不作だったのが、ハーコン候に食料となる粉と木材をもらったグンナルには、何の心配もいらなかった。
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こうして冒険の旅を終え、島に帰ったグンナルはニャールと会い、旅の話などして過ごした。やがて夏になり、民会の季節となる。グンナルは最初、乗り気ではないのだが、弟コルスケッグの強い勧めで、行くことを決める。。
そして、これが、出会いの発端となった。
グンナルは民会の場で、あの、ホスクルドの娘ハルゲルズと出会い、一目で気に入ってしまうのである。
こうして、かつて争った者どうしが縁組をすることになる。
ホスクルドの弟フルートにも、この結婚のゆくえは分からなかった。よい家柄で、財産もある有力者を親戚として迎えるのは悪いことではない。だが、ハルゲルズは、過去に二度の結婚をして、そのいずれも不幸な結果に終わっているのだ。
協議のすえ、結婚話はまとめられた。
そしてハルゲルズは、グンナルを夫として、三度目の結婚をすることになる。
この結婚式には、これまでの家系図に登場した、多くの人々が招待された。
その中に、グンナルの身内、スラーインという男がいた。
スラーインは女流詩人ソールヒルドと結婚していたが、この女があまりに舌が回りすぎるために、彼は妻を愛していなかった。
ところで、この結婚式には、花嫁となるハルゲルズが二度目の結婚のときに生んだ美しい娘、14歳のソルゲルズも同行していた。スラーインは、この少女に目を奪われてしまう。
(※自分ツッコミ「ロリコンか…?」)
ソールヒルドはさっそくそのことを揶揄するのだが、これがスラーインの気に障ってしまう。
その場にいた人々を証人として離婚を宣言したスラーインは、すぐさまソルゲルズを妻にもらいたい、とホスクルドに要請する。ホスクルドはグンナルとニャールに相談し、さらに弟のフルートにも相談してから、この縁組みをとりまとめる。
母ハルゲルズはグンナルのもとへ、娘ソルゲルズはスラーインのもとへ嫁ぐことになった。
ソルゲルズは良い主婦となったが、ハルゲルズは少々でしゃばりだった、という。
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このとき、グンナルとニャールは固い友情で結ばれるようになっていて、毎年、お互いの家を訪れる習慣があった。
この年はグンナルが妻とともにニャールの家へ行く番。しかしそこで、グンナルの妻ハルゲルズは、ニャールの妻ベルグソーラとつまらないことで諍いを起こす。
ハルゲルズはグンナルをそそのかすが、グンナルは、そんなことでニャールとの友情をこわしたくない、と言い、応じない。
収まらないハルゲルズは機を伺い、グンナルとニャールが共同管理する森に木を切りに来た、ニャールの召使スヴァルトを、自分の雇っているならず者、コルに殺させてしまう。
グンナルは、これに賠償金を払って収めることにした。
一方で、ベルグソーラも黙っていない。
新たに雇ったアトリというならず者を使って、今度はコルを殺させてしまう。過去にグンナルの払った賠償金は、そっくりそのままグンナルのもとへ払われる。
この争いはさらに続き、アトリはハルゲルズの雇ったブリュニョールヴに殺され、ブリュニョールヴは、ニャールのもとにいて、ニャールの息子たちを養育していた男ソールズに殺される。
ソールズに対する賠償が行われ、グンナルはシグルズに慎むようきつく言い渡すのだが、ある日シグルズは、ハルゲルズと一緒になってニャールの一家を嘲笑する詩を作っているところを、グンナルに知られてしまう。
この嘲笑の詩はニャールの息子たちにも知られてしまった。
母ベルグソーラのあおりを受けて、息子たちは報復に出、ソールズ殺害に関わったシグルズと、スキョルドという男を殺した。
だがグンナルはシグルズの賠償を自分から求めようとはせず、ニャールの息子たちの陰口も叩かなかった。
妻たちの争いにも関わらず、ニャールとグンナルの仲は変わらず、そのまま時が過ぎて行った。