アイスランド・サガ −ICELANDIC SAGA

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 ここで新たに、ギツルとゲイルという二人の人物が登場する。
 系図を書くと、彼らはアースグリームの遠縁に当たる。彼らはつねにともに行動し、グンナルにあまりよい感情を抱いてはいなかった。
 さらにオトケルという人物も登場する。オトケルは財産豊かな男だったが、その友人、スカムケルは、嘘つきで喧嘩好きな男だった。

 その頃、アイスランドは、ひどい飢饉になっていて、人々に食料を分け与えていたグンナルは、自分自身が食料に不足するようになった。そこでオトケルのもとへ食料を買い付けに行くのだが、オトケルは売ろうとしない。
 そのかわり、スカムケルの入れ知恵で、弟ハルビョルンがアイルランドから手に入れてきた、あまり働かないメルコールヴという奴隷を押し付けてしまう。
 結局、食料はニャールとその息子たちの好意によって分けてもらうことにした。

 ハルゲルズが、夫が追い返されたことを不名誉に思っていたかどうかは、分からない。
 だが彼女は、このメルコールヴを使って、オトケルのもとへ盗みに入らせる。オトケルは言われたとおり、チーズとバターを盗み出し、小屋に火をつけて戻ってくる。だが、そのとき、持ち物である小刀をオトケルの家の近くに置き忘れてしまうのだ。

 民会から帰ったグンナルは、あるはずのない食料が食卓に載せられていることに気づき、妻を問いつめ、人々の前で妻の頬を打つ。
 ハルゲルズは、このことは絶対忘れない、いつか復讐すると言い残し、事実、そのようにするのだった。

 さて、残された小刀から盗みに入ったのがメルコールヴだったと知ったオトケルは、証拠を集め、ハルゲルズを訴えようとする。
 それを知ったグンナルは、妻のかわりにオトケルのもとへ行って賠償を申し出るのだが、スカムケルの入れ知恵のあるオトケルは、グンナルの申し出を拒否する。彼はそのまま、首長ギツルとゲイルのもとへ、スカムケルをやり、指示を仰ぐのだが、嘘つきなスカムケルがことを正直に運ぶはずも無い。

 オトケルはグンナルとハルゲルズを民会へ召喚し、告訴することに決めるが、これは、オトケルにとって名誉にはならず、勝ち目もない「言いがかり」のようなものだった。

 グンナルは、ニャールとともに民会へ行き、妻の父ホスクルドと、叔父フルートに相談する。彼らはギツルとゲイルに会い、話をつけて告訴を取り下げさせる。
 グンナルは盗人である奴隷を返却し、焼けた小屋の賠償金を払ってケリをつけることを選ぶが、オトケルと友情を結ぶことだけは絶対に出来ない、とつっぱねた。なぜならば彼にはスカムケルの友情があり、今までもそれを頼りにしてきたのだから、と。

 だがこれで、グンナルとオトケルの争いは終わったわけではない。
 オトケルには、懇意にしているルノールヴという男がいた。
 あるときオトケルは、この男の招待を受けて出かけることになった。オトケルと二人の弟たち、スカムケル、それに、オトケルの娘シグニューに思いをかける男アウゾールヴと、ほか3人の男たちが同行した。
 途中、オトケルの乗っていた馬が突然荒れ出し、グンナルの畑に入り込んでしまう。ちょうど畑仕事をしていたグンナルは、オトケルの乗る馬に蹴られて頭にケガをしてしまう。これを見て、スカムケルは謝るどころか、あざ笑った。
 さらに、招待先のルノールヴの家でこのことを話し、笑いものにしようとするのである。

 これには、馬に蹴られたことを我慢したグンナルも、ついに怒りを爆発させる。
 羊飼いから、オトケルたちがやって来ることを聞いたグンナルは、武器を手に家を飛び出して、ルノーヴルの家から戻ろうとしていたオトケルとその一行を、皆殺しにしてしまうのである。


 当然、殺人に対する訴訟が行われた。
 オトケルと仲の良かった二人の有力者、ギツルとゲイルは、グンナルを告訴し、追放せよと言うが、グンナルは友人たちの弁護を得、自分は馬で蹴られたとき賠償は請求しなかったことを述べ、この訴えは無効だと返す。
 結局、この訴訟は和解へともちこまれ、オトケルの命は、グンナルの馬による怪我の賠償と相殺、スカムケルは賠償不要、その他の者たちについては見合う金額で賠償が行われることとなる。

 彼らは平和的に別れた。
 この争いは、オトケルの死と言う形で幕を閉じたのだった。



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