アイスランド・サガ −ICELANDIC SAGA

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 リューティング、という男がいた。スラーインの妹と結婚して、シグフースの息子たちとは義兄弟にあたる。
 あるとき、この男は宴を開いて、ホスクルドと、シグフースの息子たちを招待した。彼はスラーイン殺害の仇をニャールの息子たちに対して討つつもりはないか、と問うが、ホスクルドも、グンナルの息子グラニも、その他の者たちも、調停を破るつもりはない、と言う。

 リューティングは、これが気に入らず、彼の2人の兄弟と召使たちを連れ、ニャールの庶子、ホスクルドを殺害する。この死体を見つけたのは、ホスクルドの母フローズニューの召使で、彼女は息子の死体を持ち帰ると、ニャールに知らせに行く。
 ニャールの息子たちは、すぐさま報復に出、リューティングの兄弟たちを殺し、リューティングに傷を負わせる。
 リューティングは命からがら、スラーインの息子ホスクルドのもとに保護を求め、ホスクルドは調停を引き受ける。
 ニャールは、養子ホスクルドの調停を受け入れて、息子ホスクルドの賠償を受けとり、和解する。


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 時は995年。ハーコン候がなくなり、ノルウェーは、いよいよオーラーヴ・トリュグヴァソン王の時代を迎える。
 オーラーヴ王は、キリスト教を布教したことで知られる、歴史上の人物である。この王の命によって、アイスランドにも、宣教師が訪れる。この宣教師は、名をサングブランドといった。サングブランドには、グズレイヴという男が同行した。
 ニャールは、古い信仰を捨て、キリスト教に改宗しようと思うが、他の人々は、古い信仰を捨てるなど由々しきことだと言い、この宣教師たちと取引をすることを禁じる。

 シーザのハルだけが、サングブランドを家に招待した。ハルは改宗し、洗礼を受けた。
 その後、ハルの身内やフロシ、ニャール一家といった人々が改宗していく中で、やはり頑固に古い信仰にすがりつく者も少なくなかった。キリスト教に改宗した、ある者は、古き神々を愚弄した罪で追放され、またある者は、宣教師を殺そうとして、逆に殺される。
 島では、既に改宗したものたちと、古き信仰を持つものたちとに別れ、やがて民会にて、全島にこの新しい教えを導入するか否かが話し合われることとなった。

 立法の岩の前で、古い信仰と新しい信仰の間で法が分裂するのは由々しき事態である、よって信仰は統一すべし、と語ったのは、ソルゲルズという名の男である。信仰は統一され、新たにキリスト教が導入された。(しかしそれは、あくまで島全体の法を統一すべし、という前提のもとに、だった。)

 全島にキリスト教が布教され、キリスト教の祝祭日が課せられるようになってから3年が過ぎる。
 殺された、ニャールの息子ホスクルドの子、盲目のアームンディは、民会に出、父を殺害したリューティングに会いに行く。リューティングに、父の殺害の賠償をするのか、と問うが、リューティングは既に賠償はした、お前に賠償を払うつもりはない、と、言う。
 ホスクルドは「こんなことは神の前に正統であるとは思えない、もし私の目が見えたなら、復讐してやるのに。」と言い残し、その場を立ち去ろうとする。すると突然、目が見えるようになった。
 「これが神の御意志なのだ。」アームンディは即座に斧を取り、リューティングを打ち殺す。そして立ち去ろうとすると、再び目が閉じられた。
 アームンディは、ニャールの養子ホスクルドの調停によって殺されたリューティングの身内と和解する。



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