■アイスランド・サガ −ICELANDIC SAGA |
サイトTOP>2号館TOP>コンテンツTOP |
と、いうより、メインは北欧三王国、ノルウェー・スウェーデン・デンマーク。
この三国がどうやって作られたか? というお話。
[ノルウェー]
Norman(ノルマン)というのが国の名前だが、意味はそのまんまノースマン(北の人)。
アイスランドに移住していった人々の故郷であり、氷河期のおわりに、最初に陸地が現れたところでもある。
ホーコン善王、オーラーヴ・トリュグヴァソン王など、アイスランド・サガにもよく名前の出てくる王様たちの治めていた国がココ。
最初の統一王とされるのは、9世紀のハラルド(ハーラル)美髪王。「統一するまで髪切らねェ!」とか言い出したことから、このあだ名がつけられたんだという話が伝わっている。(キューティクルもすごかったのか…?)
さすがヴァイキングの国らしく、王の財政を潤すのは主に「略奪の旅」。カモン貢物! 皆奪って来い! …と、いう話が、アイスランド・サガにもちらほら出ている。
[スウェーデン]
スウェーデンの国名 Sverige(スヴェーリエ)とは、スヴェア(Svea)の支配領域(rige)を意味する、ということで、この国は、スヴェア人の国という意味だと思ってOK。
本来、スウェーデンの地には、スヴェア人のほかに南部のイェーアト人の国があったが、ヴァイキング時代の到来より前にスヴェアに征服されてしまったらしい。
イェーアト人(=ウェデルとも呼ばれる)と、いえば、叙事詩「ベーオウルフ」の主人公、ベーオウルフが王として纏めていた、あの国のこと。その「ベーウルフ」のクライマックスで、イェーアト族の没落を思わせる記述があることから、イェーアト族がスヴェアの傘下に入ったのは叙事詩成立以前の時代ではないか、という推測もあるが、証拠は無い。
この国の成立に関わる資料としては、スノリ・ストルルソンによって13世紀に書かれた「ユングリンガ・サガ」がある。
9世紀以前の、伝説的な王たちが登場するのだが、証拠はない。何しろ、このサガ自体、伝説的サガになってまして、「ウチの国は神様が作ったんや!
どや! スゴイやろっ」てな内容になっている。^^; 日本の建国神話と似たようなモンか。
知られている、スヴェアの最初の王は「勝利王」エーリック(980年くらい)。
現在知られている「スウェーデン」の成立は19世紀。かつては、スウェーデン南部がデンマーク領土だったり、フィンランドをスウェーデンの一部としていたり、で、国境線は現在とは違っていた。
[デンマーク]
デンマーク(Danmark)といえば、デーン人の国を意味する。(細かいとこ言うとそりゃ色々あるんだけど、素人でやるぶんにはね…)
ヴァイキング時代にはノルウェー南部あたりまで勢力があったらしいが、そもそもデンマークって半島以外はほとんど島なんだよね。どこまでが国境だったのかは謎。島の集合体で、ひとつの国としてのまとまり意識があったかっていうとそうでもないらしい。(ここが、国という単語を当てていいのかどうか…という問題点。)
資料としては、サクソ・グランマティクスの「ゲスタ・ダノールム」がある。
また、叙事詩「ベーオウルフ」の前半の舞台もデンマーク(シェラン島付近と言われている)ので、関係がある。
どちらも伝承の類なので、実際のところ8世紀以前の王については、実在したのか、その権力の規模がどのくらいだったのか、については未確認。確実に存在したと証明できるのは、10世紀のハーラル・ゴームソン王あたりからになるらしい。
それぞれリンクから2号館の中の別ページに飛ばしていることらもうかがえるように、北欧神話の資料と、北欧史の資料は、けっこうカブっている。が、神話や叙事詩はあくまで”伝承”、元になった史実があったとしても、記述時代は正確な歴史ではないので、そのまま歴史資料として使うことは出来ない。ただ、「もしかしたら〜かもしれない」という推測のネタになるということくらい。
おまけ[フィンランド]
ヴァイキングやったことがないのが、ここの人たち。
フィンランドは「フィン人の国」という意味だが、フィン語以外を話す民族も住んでいる、一応。
フィン語族の中では、おおざっぱに言って、「スオミ」「ハメーンリンナ」「カレリア」の3種類の文化的・経済的なまとまりがあった。
カレリアは現在、カレリア共和国という名前でフィンランドから分裂しているので、そのへんに住んでた人たちのことなんだなーっと思ってかまわない。詳しくは地図でどうぞ。
ヴァイキング時代、ノルウェー・スウェーデン・デンマークで強者と弱者の差が生まれて王権が築かれつつある頃、フィンランドの人々はのんびり〜と暮らしていたために、お隣スウェーデンに征服され、「ウチの領土の一部です。」宣言をされてしまった。
その後、抵抗しつつもスウェーデンの支配から逃れられないまま時が流れ。現在でもフィンランドはフィンランド共和国なので、王権が生まれることは無かったのでありました。(そのわりに叙事詩カレワラには”カレリアの王”というのが出てくるが、これは後の時代のつけたしなのかもしれない。もしくは、地方の王だったのかも…。)