北欧神話−Nordiske Myter

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古今東西・北欧神話

ニョルズとエーギルの対立



 ニョルズとエーギルは、ともに海の神なのだが、双方の人間に対する態度は正反対だった。ニョルズは人間の味方、エーギルは人間の敵。と、簡単に言うと、そうなる。

 エーギルは、海を荒らし、妻ラーンとともに人間を海の底へ引きずりこむ。エーギルの起こす嵐には、人間では到底叶わない。
 そこで、人間たちを守るべく、ニョルズが登場するのだ。こ
 ニョルズは普段、天上のアスガルドにいるが、嵐が起こると、海辺にある彼の館・ノーアトゥーンへ戻って来る。そして、エーギルに向かって呪文をとなえ、高波を鎮めるのである。
 あんまり戦っている姿は想像できないニョルズだが、彼が「ラーンの人捕り網を破いてしまうぞ。」と脅すと、エーギルは、おとなしく引き下がっていくという。海では、意外に強いらしい。



 ヴァイキングの船のへさきに、ニョルズの息子であるフレイの像をかたどった飾りがつけられた。
 フレイが、父と同じくエーギルやラーンの大嵐から人間を守ると考えられていたためではないだろうか。

 この短い神話の中からは、「地上に館を持つ神々は、地上とアスガルドを往復していた」と、いう概念があった可能性を読み取れる。
 人間の敵であるはずのエーギルが、神々の酒宴のたびに呼び出されビールを提供しているのを見るにつけ、ハテ、この人はアスガルドに入ってもいいのかと首をひねる必要はない。
 エーギルの宴は、たぶんアスガルドではなく、地上で行われていたのだ。
 用があるたびにいちいち神々の世界から降りてくるあたり、マメだなぁ…と、思うが、だから皆さん、乗り物をお持ちなのでしょうね。ネコ馬車とか、イノシシバイクとか…。


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