英国情報−英国本を読む

英語全般


英語全般について書かれた本の紹介です。
紹介文が書ききれない場合は、"more"のところに続きがあります。


『世界の英語を歩く』 本名信行


集英社新書
 世界で使われている英語を、英米人の言葉としてではなく、国際通用語としてコミュニケーションのための英語として考えようという本。その証拠に、世界の英語についての紹介は、先ず非英語国の英語運用状況から始まる。英語と英米文化との関係を分離せよ、日本訛りの英語で話せばいい、英語は受容よりも発信に用いるべきだ、という主張は鈴木孝夫に通じるものがある。
 それにしても著者の世界の英語に関する博覧強記はかなり凄いが、各国の英語事情を見ていると、日本式英語があってもいいじゃないかという気になる。例えば、南アフリカの英語では「朝ご飯を食べなかったの?」「はい、食べませんでした」という問答の「はい」が日本と同じく"Yes"になる(普通は問が何であろうが「食べなかった」だから"No")。よくよく考えれば、米国の英語だって、文法や綴りを勝手に変えてしゃあしゃあとしてやがるわけだし。


『英語の壁』 マーク・ピーターセン


文春新書
 マーク・ピーターセンの本というだけで、中身もろくろく見ないで買った。それぐらい氏の本は素晴らしい。氏の古典的名著『日本人の英語』(岩波新書)は英語を学ぶ全ての日本人が読むべきである。
 で、本書だが、名前からしてどう見ても養老氏の『バカの壁』(新潮新書)の二番煎じなので、間違えて或いは似たようなもんかなと思って買う輩がいるだろうと言う(出版社の)魂胆が見え見えなのがイヤらしい。果たしてその内容は、どのようにして英語の壁を越えたらよいかという本というよりは、英語と日本語についての雑多なエッセイ集という趣向。よって、この本を読んだからといって、英語の壁が越えられるというわけでありません、念のため。まとにかく、本書は英語学習指南書としてではなく純粋にエッセイ集として楽しむべき。


『歴史を変えた誤訳』 鳥飼玖美子


新潮OH!文庫
 『歴史を変えた誤訳』という大層な書名だが、本当に歴史を変えたぐらいの誤訳はポツダム宣言の「黙殺」の英訳"ignore"が原爆投下につながったというところぐらいか。それだって、じゃあちゃんと訳していたら原爆投下は無かったかというと結構疑わしい。あとはまあ問題が多少大きくなったかな程度のお話であり、書名は誇大広告。単行本のときの書名は「ことばが招く国際摩擦」だったので、そちら方が書名としては適当だろう。つまりは、文化をどこまで訳すかというのが問題で、それが「国際摩擦」の原因にもなるっつうこと。とにかく、書名からすれば期待外れ。


『英文法を撫でる』 渡部昇一


PHP新書
 渡部昇一の本は人によって好き嫌いが別れるところだと思う。私も何冊か読んだが、読んでて嫌になってくる部分も結構有るのだけれど、それでもやっぱり読んでて参考になる部分が有るのも事実なので、まあぼちぼちと読んでいる訳です。で今回は、彼の専門である英文法に関する本についてです。 more


『「英文法」を疑う』 松井力也


講談社現代新書
 英語(英文法)について書かれた本は、現在もうそれこそ雨後の筍の数億倍ぐらい有ると言われているが、この本は類書中の白眉だと思う。いや類書というものが、そもそも有るかどうかも分からないぐらい、かなり独創的な内容で、最初に読んだ時には、目から鱗が落ちまくって困ったぐらいだ。 more


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