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昨日の続きから。 グレイハウンドバスのターミナルに到着して、まずL.A行きのチケットを買う。同じ状況の人は結構いるようで、本日の寝床=ベンチはもう選ぶほど残っていない。開いてるベンチを確保し、仮眠体勢。ここでは不便な事に肘掛けが付いている為に2つのベンチを使って横になることは出来ない。
それどころか、段々と寝相が悪くなってくると、警備員が起こしに来るのだ。爆睡中に叩き起こされて、「シャンとしろ」って。ここで寝るなと言われる訳では無いのだ。自由な国アメリカの自由は日本と比べると微妙だ。 屈強な警備員のお陰で、ロビーにあるベンチには、何十人という人々が、寝ぼけながらも規則正しく座っているという奇妙な光景が・・。
パスポートが入ったリュックの事も気になって、深い眠りになかなかつけず、タバコを吸いに外に出た。すると夜中なのにノリノリの人がやって来て、話し掛けて来た。僕はなんだか人と喋りたい気分だったから耳を傾ける。案の定、タバコをくれと言うので1本渡して火を着けてやる。まぁタバコ1本でお喋りにつき合って貰うなら安い出費だ。するとその男はシルバーを買わないかと言ってくる。今日はメキシコに行って来たからそんなものいっぱい売ってたし、いらないって言うと、「あっそう、じゃいいや。タバコ有り難う」と言って小走りで去っていった。おいおいっ!貰い逃げかよっ!!もうちっとお喋りしてこうぜ〜。
またロビーのベンチに戻って寝床を探す。しげを探すとさすが男の中の男、イイ感じで熟睡してる様子。頑張って寝るも、ろくに寝られないウチにバスが動く時間に。朝のコーヒーを飲んで、バスの中で寝るかっと決めてバスに乗り込む。
起きたり寝たりを繰り返しつつ、なんとか無事にロスまで帰ってきた。時刻は朝の8時。さぁ今日はとにかく今まで買えなかったものを全て手に入れるためにショッピングなのだ。
いざショップを廻るぞ!と思ったら、日本の雑誌から写してきたロスのショップの番地がかいてある紙をシリルの家に置いてきた事に気付く。住所がなければ全く身動きがとれない。今までのように無駄にするわけにはいかないので、一旦シリルの家まで戻る事にした。
しかし僕が見た光景とは、
1:道ばたに置いてあるポリバケツにゴミ収集車が横付けする。
2:ナント!ゴミ収集車から巨大マジックハンドのようなものが出てくる。
3:さらに運転手がバケツとの微妙な距離を運転テクニックで調節する。
4:巨大アームがバケツを掴む。
5:ガシッとバケツが壊れそうな位強烈にバケツを掴んだアームがそのまま上昇。
6:そして一気に勢いをつけてバケツの中身をゴミ収集車の荷台にぶちまける!豪快だ!! そしてシンプル!なんかメカチックなゴミ収集車が格好良かったし。
シリルの家でメモった紙を手にして再び出発。まずしげの欲しいギターを探すべく、ギターセンターに行く。
バスが到着して目指していた大きなギターの看板を発見し、店内に。しかししげが求めていたレスポールタイプのギターがない。アメリカのギターセンターという位だから、それはそれはもう1日では見きれない程のギターがあると思いきや・・。他の店も行ってみるが、お気に召すものが無くギターは断念。仕方なしに僕のスケート関係の買い物をするため、メモの住所を頼りにウエストウッドに移動。
ウエストウッドに行くにはUCLA経由のバスに乗る。バスの中は賢そうな人やら超イマドキ風の人がいる。UCLAに行くのだろう。
途中ビバリーヒルズの高級住宅街を走る。デカイ家が沢山並んでいる。アメリカ滞在中、たった1度だけ見掛けた「原動機付き自転車」いわゆる原付。それはこのビバリーヒルズの高級住宅街の一角に建っていたデカイ家の門の中。もしかして門をくぐったら原付に乗って玄関に行くのだろうか・・・。
バス内はブーイングの嵐だったが、運転手は乗客に乗り換えチケットを渡して全員を降ろした。そして次のバスを待つ事になった。
UCLAでバスを降りて、UCLA沿いに歩く事になった。しかしなんてデカイ大学なんでしょう。歩けど歩けどいつまでも横はUCLA。やっとUCLAを抜けるとビジネス街に入った。
住所をメモった紙によるとまだまだ結構歩きそうなので昼食をとる事にした。サンドウィッチ屋に入って“ミートボールサンド”を注文する。出てきたサンドウィッチにはさんであるのはミートボールではなく、“これハンバーグだろう!”って感じだった。
やっとの事で着いた『HODROD』というスケートショップ。早速壁に掛けられているデッキを鑑賞するもお目当てのデッキはない。仕方なしに片っ端から店員にデッキを壁からとって貰って色々とサイズや形のチェックする。今日中に自分の分と頼まれ物合わせて3枚のデッキを購入しなくてはならない。
どうも今までの流れで行くと、どれだけのショップを廻ってみても僕のお目当てのデッキはなさそうである。なのでショップに置いてあるデッキの中から選ぶしかなさそうだ。ここで決めずに次のショップに掛けてみても、次のショップに無かったらまたこの店に戻ってくるのは時間的に不可能だ。かなり焦りつつ葛藤しつつ、僕の分は次に託してみる事にして仲間からのリクエストに近いデッキを1枚購入した。
しげは「aesthetics」のデッキでコンプリートを組む。パーツは店内のどの組み合わせでもOK。さすがに日本メーカーの“NiNjA”のベアリングは無かったけど最強のセッティングを格安でGET。僕はステッカーを3枚購入。1枚どれでも1ドルだった。
店を出て次のSk8ショップに向かうべく、バス停でバスを待ってると、今のSk8ショップにいた黒人ファミリーの男の子が話し掛けてきた。ここでのやりとりの詳細は
「Sk8活動日誌 USレポート編」にて書いてあります。
次に目指したのは2日目にも行ったリトルトーキョーにある「リョーキストア」というスケートショップだ。バスに乗って移動。ここからダウンタウンまでは結構な距離がある。
しかしバスが停止したかと思うと、映画で見たことがあるようなベタなポリスマン(白バイ隊員)がノシノシとバスに乗り込んできた。正直アセった。凶悪犯がバスの中に隠れていたのだろうかと思った。一通りバスの中を睨みつけると、ポリスマンは運転手に何かを言っている。じっと見守る乗客達。しばらく話し込んでいた後、運転手はポリスマンの言うがまま書類にサインをして切符のような物を貰っていた。
どうやらスピード違反らしい。バスも捕まるんだとその時初めて思った。“バスも”ってのは正しくない。正しくは、スピード違反をするバスの運転手ってのがいるんだって事を初めて知ったんだけど・・・。
先程よりはややスピードが落ちたが、相変わらずの荒い運転で再びバスは走り出した。
ようやくダウンタウンに到着し、リトルトーキョーに入る。
この数日間はハードスケジュールだった為か、すっかりと米人的思想回路が頭の中に組み込まれていたらしく、久々にリトルトーキョーに戻ってみるととにかく色々な物が新鮮に見える。
まず頭に浮かんだのは“お茶”だった!! お土産屋を探すとドア越しにお茶やウーロン茶の箱が積んであるお店を発見! 店内に入ると懐かしい日本のお菓子やつまみ、ビールにお茶に炭酸では無いジュース等々、色なシロモノがあるある!! う〜ん感極まる!!
少々お値段は高めだが(日本より)、そんな事は言ってはられない。店員さんは日本人でじっくりと日本語で会話をするのも久しぶりだ。とにかくテンション上がりまくりでお茶を飲む。五臓六腑に染みわたるぅ〜っ!しっかしなんでこんな美味い飲み物がここでしか飲めないのだろうか。日本人の誇りを思い出す。
「リョーキストア」に入るとさっそく店員さんを捕まえて壁に掛かっているデッキを片っ端からとって貰う。この店のデッキはハシゴを使わないと取れない位置にあるので申し訳ない気もするが、遠慮してる場合ではない。先程のショップ同様、めぼしい6、7枚のデッキをとって貰って選ぶ。なんとか自分用と頼まれた分2枚を決める。自分用は「AWS」仲間用は「Element」。
そして靴も選ぶ。店内には僕等意外の日本人がカップルで3組いた。どのカップルも狂ったように“DC”コーナーで試し履きを繰り広げている。僕はと言えば、結局今回もごひいきブランド“DVS”コーナーの前で狂ったように色々と手にとって悩みまくっている。先程デッキ一式を購入したしげも同様だ。それぞれに靴を決めて他にT−シャツも購入し、大満足でショップを後にする。 上の画像参照!
昨日からしげと二人で話し合っていた事があった。 シリルにお世話になりっぱなしで、何かお礼がしたいという事。結局ご飯でも作ろうと言う事に決まった。だから今日は早めに帰って買い物をしなければならない。ところが問題がある。日本食が良いだろうという事になったのはいいが、普通のスーパーに行っても材料が揃わないのだ。
とりあえず急いでバスに乗り込み、シリルの家に向かう。シリルの家に着くと、幸いシリルは家に居た。結局仕方なしにシリルに計画を打ち明け、日本食の材料が手に入るスーパーに連れて行って貰えないかと相談する。だったら、とシリルの提案。「ブルコギ(そう聞こえた)」をごちそうするよ。・・・あべこべだ。僕等の恩返しどころか、ごちそうをしてくれると言うのだ。
モチロン僕等は猛反対する。が、・・・結局シリルの好意に甘えてしまうこととなる。悔しかったが、みんなお腹ペコペコで今からスーパーに行ってメニューを考えてというのもメンドウな話って事で。
シリルの車に乗り込み、いざプルコギ屋に向かう。出だしで述べたが、道路はとにかく真っ直ぐで、碁盤の目の様とはこれの事。シリルは裏道のような所をひた走るが、どこまで走っても道は真っ直ぐで景色に余り変化が無い。何回か交差点を曲がったりしているのだが、よく現在地が分かるなぁと感心する。そしてコリアンタウンの一角で車が止まる。
店内に入ると韓国の正装で韓国人の女性が案内してくれる。テーブルにつくとテーブルの中央には鉄板のような物がある。そう、プルコギとは焼き肉の事。コリアン街にて韓国風?アメリカ風?の焼き肉を食う事となったのだ。
メニューをみると実に豊富。“うな重”まである。他に幾つかの日本食もあったが、ここは焼き肉屋。カルビやら、アメリカでこんな美味いものがあるのかっ!っと感動したシュリンプやらを注文する。
やがて運んだものが届けられると、何種類かのキムチ等の漬け物系、そしてナント!ご飯だ!!! なんて嬉しいんでしょう!白米が食えるなんて!!! やがてお肉とシュリンプも登場し、頂きます(-ハ-) 。
とりあえずご飯を食べる。美味いぃぃ〜っ! 行きの機内食で食べたご飯と違う。ちゃんとしたものだ。涙が出そうな位美味しかった。少しずうずうしいかなっとも思ったが、僕だけご飯をもう1個注文してしまった位だ。
言い忘れたが、もちろん箸を使って食べる。心配なシリルと言えば、全く問題無く箸を使いこなしている。さすが! で、まずはシュリンプを焼く。日本の焼き肉でシュリンプがあるお店には行った事が無い。でもこれは絶対にどのお店もメニューに加えるべきである。プリプリしてて肉厚で、とても美味しいのだ。
途中、フラッと来る店員さんが何故か焼けているお肉を勝手にタレのお皿に入れてくるという親切すぎる行動に驚きつつも、すっかり平らげてしまった。落ち着いて周りを見渡すと、客がすべてコリアンだったのには驚いた。
身も心も大満足したプルコギ屋さんで、シリルに丁重に日本式お礼を述べて帰路に着く。帰り路、シリルの家の近くの「ドジャーズスタジアム」を丘の上から見下ろす。眩しいばかりの照明と熱い熱気が伝わってくる。とても良い眺めだった。
家に着き、いつもの場所で語らう。とにかく色々な気持ちでいっぱいだ。明日には日本に帰る。とにかく大きな感謝をシリルに伝えたいのだが、なかなかうまく伝える事が出来ないのがとても悔しい。
こんなに歯がゆい気持ちに陥った事もいままで無かったが、いくら英語がペラペラになっても伝えきれない位の、大きな気持ちであるという事にも僕は気が付いていた。
なんだか今日で最後の夜だと思うと、必死に景色を目に焼き付けようとしたり、必死にここの空気を吸っておこうなんて考えていた。 とにかく今の気持ちを忘れないように、今のこの雰囲気を自分の中に閉じこめておきたかったのだと思う。
部屋に戻り、帰り支度を済ませて就寝。明日には日本かぁ。
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