アメリカ放浪記!!(byしげ)

第26章
〓 SAN DIEGO〔California〕 〓


この帽子が1ドル?
誠くん。
旅の軌跡に行く
サンディエゴ(カリフォルニア州)  

 とうとうカリフォルニア州まで戻ってきてしまいました。約2ヶ月ぶりのアメリカ西海岸。もうここ以外に新しく行く場所はない。そして一人で観光するのもここで最後となる。この後、ここのホームページの管理人:たいしとロスで会う約束をしているのだ。
 
  バスを降りてユースまでとぼとぼ歩く。天気は曇り。すがすがしい初夏の日差しを期待していたのにどんよりとしていて、今にも雨が降りそう。バスディーポからユースまではすぐの距離だ。この町はバスディーポ、ユース、ダウンタウンの中心がすぐ近くにあるので、旅行者にとってはとてもありがたいのだ。他の場所では、バスディーポが町のはずれにあるところも多く、着いてからダウンタウンに行くまでに時間がかかる。しかも着いたばかりでバスの乗り方も料金もよく分からない場合が多いので、近くの人に聞いたり、運転手に聞いたりと面倒なことが多いのだ。ユースに着くと、日本人らしき人が外でタバコを吸っていたので、声を掛けてみるが、なんだかちょっと愛想が悪い。ぼくには興味が無いみたいなので、ユースに入ってシャワーを浴びる。
 
 今日は5月22日だ。"5月16日にサンディエゴで!"と言って別れた、"マサ"、"しょうちゃん"がいるかもしれないと思っていたが、もうここにはいなかった。日本に帰ったのだろうか?
 
 とりあえずダウンタウン観光に行く。このサンディエゴにはホートンプラザといって、ダウンタウンのど真ん中に巨大なショッピングモールがある。デパート、銀行、フードマーケットなど何でもあって、サンディエゴ滞在中は何度となく足を運んだ。シーポートビレッジは港に面したショッピングビレッジで、おしゃれなレストランやお土産屋が入っていて、港を行き交うでかい船や凧揚げ、ジョキングをする人を眺めながらのんびりするデートスポットだ。ヨットハーバーがあり、高級そうなご夫人方が歩いている。近くにはこのサンディエゴを舞台とした映画、「トップガン」で使われたレストランもある。
 
 ユースに戻ると、いきなり日本語で声をかけられた。ニューオリンズで会った、英語を全く話さない"誠くん"だ。またまた、偶然の出会いに驚く。彼はニューオリンズからダラス、エルパソとぼくとは逆に、南の方を通ってここまで来たのだ。何度となくこういう事があって、本当にアメリカは広いのか?と思ってしまう。早速、誠くんと今日の晩飯を作ることにする。今日はスパゲティだ。ニューオリンズでも彼と作ったメニューだ。ニューオリンズでは、ミートソースが無くて、ケチャップだけで味付けをしたが、今回はしっかりミートソースも買ってきた。うーん、うまい。他の外人さんはいろいろな食材を使って、かなりうまそうな料理を作っている。どのユースに行っても、外人さんは自分で料理を作っている。節約のためだろうか、ぼくみたいにハンバーガーで済ましたりはしない。しかも、みんながみんな料理がうまい。ユースの台所で、作り方も見た目も無茶苦茶な料理を作っているのは日本人の男だけだろう。もちろんぼくもその一人だ。お腹も一杯になったので、誠くんとサンディエゴ一の繁華街"ガスランプクウォーター"を散歩する。文字通り、路上にガスランプが置いてある通りだ。高級そうなレストランで、高級そうな方々が優雅に飯を食べている。それを横目で見ながら、とぼとぼと歩く。ニューオリンズ同様、ここでも誠くんはわけの分からない人に声をかけまくっている。そしてすぐにその人についていってしまう。困ったものだがぼくも一緒についていくと、その外人さんはぼくに「Is he a stranger ?」と聞いてくる。誠くんはその人の出っ張ったお腹をツンツンと押して、「いいお腹だねー。今日もおいしいもの食ったの?」と訳が分からないことを言っている。いつもこんな調子だ。しかし彼といると楽しい。ノリがいい外人さんは訳がわからない彼の話に付き合ってくれて、片方は英語、もう片方は日本語で話しているのだが、いつの間にか仲良くなってしまうのだ。本当に面白い。このサンディエゴにいる間は、彼とほとんど一緒に行動していた。
 
 次の日も一緒に、国境を越えて、メキシコのティファナに行く。トロリーに乗って15分くらいの距離だ。ぼくも誠くんも、エルパソでファレスに行っていたので、その時のことを想像するが、ティファナはファレスとは少し違っているように思えた。ここではただゲートをくぐるだけで、メキシコに入れる。ゲートをくぐると、もうそこはメキシコだ。タコスや雑貨を売るお店が並び、タクシーの運転手がしきりに声をかける。歩いてティファナのダウンタウンまで行けるので、二人で露店が並んでいる通りを歩いていると、遠くから手を上げてこっちに来る人がいる。「コンニチハ!」と日本語で話し掛けてくるのだ。ただの店の人なのだが、ぼくらが日本人と分かった瞬間に手を上げて寄って来たのだ。「ヤスイヨ、ヤスイ」と言いながら、いらないと言ってもかなりしつこく物を売ってくる。日本人はよく物を買ってくれるのかどうか知らないが、その後も人とすれ違う度に声を掛けられて、同じ事を繰り返した。小さい女の子も紙コップを持って、お金頂戴と寄ってくる。かわいそうだが、ぼくもお金がないので、「ごめんね、お兄さんもお金がないの」とか言うが、いつまでたってもついてくる。そのうちの諦めてお母さんのところに帰るのだが・・・。これがメキシコなのだ。ファレスよりは悲惨じゃないにしろ、どこに行ってもこんな感じだ。しかしメキシコ人は底抜けに明るい。変な日本語を駆使して、ぼくらに近寄って来ては、「コンニチハ」、「ヤスイヨ、ヤスイ」、「ゼンブホンモノ」などと言って商品を売りつけてくる。誠くんはいつものノリで、ハイテンションなメキシコ人に負けずに日本語で会話してる。しかし、そのうちに変な日本語を教え始めた。うーん、こういう人がいるから、このメキシコ人達は変な日本語を話し、日本を誤解してしまうのかと思った。しかしかなり面白いやりとりだったので、それはそれでいいとしよう。
 
  特に見たいものや欲しいものがなかったので、しばらくメキシコ人との会話を楽しむ。何回も同じ通りを通っているので、同じ店の人と同じような会話ばかりする。何回も通って、何回もいらないって言っているのに、何回も同じものを売りつけてくる。ぼくは欲しくはなかったが、サングラスを購入してしまった。メキシコ人と会話しているうちに、買わないといけない状況になってしまったのだ。最初は60ドルと言っていた、オークレーの偽者サングラス。高くて買えないと言っていたら、電卓を渡してきて、いくらならいい?と言っている。しょうがないので"5"を押すと、向こうは10ドルとか言ってきた。60ドルがいきなり10ドルだ。その後何回もこういうやりとりを重ねて、結局5ドルで、オークレー偽者サングラスをGETした。誠くんもアホみたいにでかいメキシコハットを、1ドルで購入。そんなのを被って歩いていると、格好のメキシコ人の餌食となるのだが・・・。
 
 ティファナはメインストリートを少しそれただけで、全然違う雰囲気になる。ポツポツと路上にすごい化粧の、すごい格好のお姉さんが立っている。どんどん奥に入っていくと、それが1m間隔で並んでいる。こっ、怖い。しかし面白そうなので、その通りをこわごわ歩いていると、"わたしどう?うふん"というような目つきで、僕達のことを見ている。目を合わせたら、投げキッスをされる始末。ゾットする。しかし、ブラブラ歩いていると、いきなり手をつかまれて引き寄せられた。「うわー」とか「ギャー」とか言う声しか出ない。いきなりの事でめちゃめちゃ驚いて、振り払って逃げた。そして恐る恐る後ろを見ると、手を上げてニコニコ笑ってる。うわー、怖い。
 
 これ以外にも、サンディエゴではサンディエゴ動物園やシーワールドが有名なのだが、金銭的な理由で断念。バスに乗ってラ・ホヤという芸術、そして美しい浜辺のある町に行った。本当にきれいな町だ。建物も海岸もなんとも言えず美しく、南国のバカンスの雰囲気が漂う。
 
  このあとはいよいよロスだ。たいしと二人で、またシィリルの家にお世話になることにしていたので、ぼくが明日ロスに行くこと、そしてあさってにたいしが日本から来る事を告げて、サンディエゴを出発した。しかし今回は誠くんと二人でバスに乗って行ったのだ。

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