アメリカ放浪記!!(byしげ)

第2章
〓FAIRBANKS〔Alaska〕〓


寒さで顔が腫れてる?
犬ぞりをした後にジョーと。
旅の軌跡に行く
フェアバンクス(アラスカ州)  

 夜中の1時頃、飛行機はフェアバンクスに着いた。とりあえず外に出てみる。・・・死にそう。寒過ぎる。寒いというより痛い。アラスカに着いたという感動よりも、疲れが先にきていたのですぐにタクシーを拾った。ぼくがこの街にオーロラを見に来たことをタクシーの運ちゃんに告げると、何食わぬ顔で外を指さした。その先に目をやると、緑色の光がボヤっと光っていた。あれがオーロラ???そんな感じの鈍い光で、想像しているカーテンのような光とは全く違って、ただの遠くの街灯りのようにしか見えなかった。あれほど期待していたオーロラだったのに、ほとんど無感動だった。そしてそのままホテルに着いてその日は思いっきり寝た。
 
 次の日からはフェアバンクス市内観光。ホテルから市内までタクシーで15分くらいかかる。貧乏旅行のばくはそんなお金はもったいないので、毎朝30分雪道を歩いて、バス停まで行き、そこから10分くらいバスに揺られて市内まで通っていた。バスも初めはルールがよく分からなくて、乗るのを戸惑っていたけど、慣れてしまえば簡単。しかも安い。しかし、ここはアラスカ。一面雪だらけ。道路も凍ってて、歩くだけでも滑って転ぶのに、バスの運転が荒すぎる。向こうは滑るの当たり前かもしれないけど、必ず5、6回は滑る。だからバスに乗るときはいつもどきどきしていたような気がする。
 
 "フェアバンクス"・・・聞きなれないこの街。その通り。あんまり大きな街ではなく、これといって何も無い。本当に雪だけ。オーロラしか頭になかったぼくはガイドブックも何も持ってこなかった。市内観光といってもアラスカ鉄道の最終駅とアラスカ大学があるくらい。とにかく街の中をブラブラ歩いていた。飯を食うのも一苦労。ファーストフードのような店も街中に無いし、看板も出てない何屋か分からん店ばっかりで苦労した事が多かった。しかしフラッと入った中華料理屋は安くて、うまかった。
 
 とにかくいつも一人で行動していて、英語も全然話せないので、会話らしい会話をしてなかったぼくは、人と話がしたくてたまらない病にかかっていた。街中には日本人もたくさんいたけど、みんなツアーで来ているカップルとか友達同士とかで、話し掛けにくい。外人さんにも挑戦したけど、言葉のせいで会話が成立しないし、イヤな顔をされることが多く、へこむ事が多かった。4日間くらいそんな状況が続くとかなりブルーになってきて、全てをマイナス方向にしか考えれなくなっていた。唯一の楽しみは朝、ホテルにある喫茶店でコーヒーを飲むこと。そしてその喫茶店のきれいな店員さんと"GOOD MORNING"という挨拶を交わす事だった。
 
 しかし、せっかくきたアラスカ。これじゃイカンと思い、思い切ってツアーに申し込む事にした。そのツアーとは"オーロラAND犬ぞりそしてアメリカンファミリー半日ホームステイ"こんな感じのタイトルで、ツアーで一緒になった人は日本人だった。ホームステイ先(ジョー一家)の家族がホテルまで迎えに来てくれて、そのまま1時間30分くらい車で走って、かなり山奥まで行く。周りは本当に何も無い一軒家。とりあえず居間でくつろぎ、そのうちに子供たち(トレイシー、エリック)とトランプをすることに。しかし何回説明してもルール(英語)が分からない。日本ではやった事のないゲームだった。だから今度は僕らがババ抜きを伝授してやった。そうこうしてるうちにかなり仲良しになって、エリックの自慢大会が始まった。おもちゃ、釣り道具、銃、etc・・・。その中でとくに興味があった銃(もちろん本物)を撃たせて欲しいと僕らが提案するとすんなり撃たせてくれることに。しかも場所は家の前。空き缶を置いて、少し手ほどきを受けた後、さっそく撃ってみた。思ったよりも衝撃がない。しかし空き缶には当たらない。3発目でやっと命中。慣れてくると面白くてたまらない。ジョーはこれでよく熊を撃つそうだが、ぼくには理解ができない世界だ。家にジョーが撃った熊の毛皮があったけど、全てが半端なくでかい。爪もかなり鋭い。一発だね・・・。
 
 その後はいよいよ犬ぞり。この犬達とジョーは映画にも出演したことがあるそうだ。タイトルは「WHITE FANG」、日本名は「白い牙」。全てハスキー犬で、ジョーの一言で行動する。ぼくも犬ぞりの運転をさせてもらったけど、全然だめ。犬が言う事を訊かない。操作方法は簡単だけど、相手は犬。そこが一番重要だった。思ってたよりも速度は速く、曲がる時は自分もその方向に体を傾けないと転倒してしまう。走っている時は死にそうなくらい寒くて、唯一露出している顔の感覚がない。顔が3倍くらい膨れたような感じで、言葉も喋れない。とにかく何をやっても寒い。その一言しか出てこない。家の中に入って暖をとってもなかなか温まらない。ちょうどお腹が空いて、体も温まった頃に夕食となった。
 
 アメリカの飯と言えば豪快なステーキ。今回もまさにそのもの。でかすぎる。白いご飯はないけど、肉だけで腹いっぱい。こんなのを毎日食ってれば太るよなーと思いつつ、最近ろくな飯を食ってなかったので腹がはちきれるくらい食べた。
 
 そして最後のクライマックス。オーロラ。今年はかなりいい年らしくて、しかも最近いいのが目白押しだと聞いてたから、かなり期待してた。―30℃くらいの中、外で空をぼーっと見てると、真っ暗な空に雲みたいな白い線がでてきて、その白い線がだんだん大きくなってくる。そのうちに色は白から緑に変わっていく。そしてその緑がだんだん濃くなってきて、はっきりしてきてカーテンみたいに揺れ始める。その時は空がかなり明るくなる。寒さも忘れて見入ってしまう。なんて言ったらいいのか、言葉が出てこないけど、本当にすごい光景だった。幻想的な、吸い込まれそうな、そんな感じだった。寒くなければずっとでも見ていれるとも思った。これだけでアラスカまで来たかいがあったと思うほど、今でもしっかりと目に焼き付いている。
 
 その感動をすぐに絵葉書に書きまくって、アメリカ第一都市目、"フェアバンクス"に別れを告げた。
 
 そしてシアトルに向かうことにした。

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