アメリカ放浪記!!(byしげ)

第16章
〓 ATLANTA〔Georgia〕 〓


アメリカ人コーク飲み過ぎ。
こうちゃんとの偶然の再会。
旅の軌跡に行く
アトランタ(ジョージア州)  
 

 久しぶりのグレイハウンド。相変わらずクーラーの効きすぎで寒い。バスの中はほとんどが黒人さんだった。今まで乗っていたバスとは、少し客層も違う。しかし何故かテンションが上がらない。ジャクソンビルで気合いを入れ直したつもりだったのだが・・・。
 
  朝の5時にアトランタに着く。周りは黒人さんばっかりだ。行動するには時間が早すぎるので、とりあえず次に行こうとしてるメンフィス行きのバスの時間を聞きに行く。カウンターで働いている人もみんな黒人さんだ。大柄な女性が退屈そうに座っているので、その人にメンフィス行きの時間を聞く。しかし早口で喋っているだけで、何を言っているのか全然分からない。もう1度言ってもらっても聞き取れないので、紙に書いてくれと頼むが、「2回も言ったじゃないの!」と怒って書こうとはしない。なんだかむかついてきたので、日本語で「おれは英語がわからないんだ!お前はバカか!」というような事を言ってやった。しかし向こうは手を広げて"分からない"というしぐさをしている。こういう時にあのしぐさをされると、なめられているとしか思えなくて、余計むかつく。これ以上言っても、進展はなさそうなので、もう諦めた。
 
 コーヒーを飲んで気合いを入れ直して、ユースまで出発。バックパックを背負って歩いていると、すぐに黒人さんが声をかけてくる。「お前はどこに行くんだ?」と聞いてくるから、「ユースホステルだ」と答える。そこは遠いからおれが車で乗せていってやるという。どうもうさんくさいので断ると、「地図を持っているか?」と聞いてくる。彼に地図を見せると、勝手にユースまでの道のりを説明しだした。ついでにアトランタの観光案内までしだす始末。かなりうっとおしい。地図を持って、Thank youと言って、行こうとすると2ドルくれという。しきりに腹を押さえて、「おれは腹が減っているんだ。お前を助けてやっただろ?」と言っている。"こいつ自分で勝手に説明したくせに"と思ったけど、話しをするのもうっとおしかったので、英語が全然分からないフリをして歩き出した。しかしその黒人はどこまでも追いかけてくる。あげくの果てには、大声でぼくのことを泥棒よばわりしてる。こいつめ!と思ったけど、もうどうでもよくなっていたので、2ドルあげることにして、ムカムカしながら歩いた。
 
 今日は怒れる事が本当に多い。朝から立て続けにイライラしていた。それに加えてユースもかなり遠くて、持っていた地図も間違っていたので、1時間30分くらい迷って、くたくたになってユースに着いた。あの黒人が言った通り本当に遠かった。
 
  気分を改めてダウンタウン観光に行く。思っていたよりもアトランタは都会で、見所も豊富だ。まずマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の生家とお墓に行く。しかしこの当たりの治安はあまりよくないらしく、道端でたむろしている人達の目がやけに怖い。少し見学してそそくさと街中に向かう。次はワールド・オブ・コカ・コーラだ。コカコーラの本社はこのアトランタにあるらしい。行くには行ったが、なんとなくお金を出してまで入る気になれなかったので、外でコカ・コーラを買って休憩してると、見た事のある人が前を通りかかった。こうちゃんだ!あまりにも偶然の出会いにすごくうれしくなった。彼はマサ達とエルパソで別れて、ダラス、ニューオリンズそして今日このアトランタに来たのだ。ぼくもマサ達との旅の話をする。久しぶりに一人になって、今日は朝からあんなことがあって、なんかイライラしていたので、すごいうれしかった。しかしだ!こうちゃんもあの黒人の被害にあったそうだ。・・・笑ってしまった。多分あいつは毎朝あそこに居て、旅行者みると毎日同じ手口で2ドルづつだまし取っているんだろう。しっかり働けよ!←あの黒人
 
 こういう事が度々あると、何故かアメリカを狭く感じてしまう。広いようで狭い。日程もコースも全然違うのに。しかしこういう時はすぐに意気投合してしまう。だから、その後はこうちゃんと一緒にアンダーグラウンド、CNNセンター、オリンピックパークを観光した。特にオリンピックパークはいい。五輪の輪の噴水があり、音楽に合わせて噴水が踊っている。そしてその北側にある芝生広場からのダウンタウンの眺めは最高だ。晩飯もこうちゃんと一緒に食べて、夜は二人でアトランタの夜景を見た。そして次の日は、ストーン・マウンテン・パークという、大きな岩山に3人の将軍の像が彫ってある所と、行けたら「風とともに去りぬ」の博物館に一緒に行くことにして、この日は別れた。こうちゃんはユースの場所が分からなくて、少し高いホテルに泊まっていたので、ぼくも一人でトボトボ歩いて、ユースに戻ることにした。
 
 ユースの朝は、コーヒーとドーナツが2つまで食える。朝からドーナツはかなり厳しいけど、タダなら食べとこうと思って、無理して食べた。しかし、そこには丸々太った犬がいて、ぼくがドーナツを食べている時も、他の人が食べている時もその人のそばに寄っていって、もの欲しそうな目で、食べている間中ずっと見ているのだ。いくら犬とはいえ、そうやってじっと見られると本当に食べにくいものだ。
 
 朝からこうちゃんと待ち合わせをして、ストーン・マウンテン・パークへ。電車に15分くらい揺られて、その後バスに20分くらい揺られる。そうするとやっとストーン・マウンテン・パークに着く。パーク内は広すぎてどこから見ていいのか分からない。元気なうちに岩山登りをすることに決めた。岩山は思っていたよりもかなりきつい。暑さと滑るのが気になって、思うように登れない。1時間くらい登るとやっと頂上に着く。頂上ではロープウェイで登ってきた観光客でいっぱいだ。そんな中ぼくらは上半身裸でハーハー言いながら登ってきたのだ。少し驚いた表情を見せる人もいる。喉がカラカラなので、一気にコークを飲み干す。それでもまだ喉が渇くので、氷だけもらって一休み。景色はきれいだ。この岩山はどのくらい高いのだろう。360度のパノラマが広がる。そして微かにアトランタのダウンタウンも見える。しかし帰りはさすがにロープウェイを使った。・・・タダだった。下に着くと、すぐ横にあの将軍の彫り物がある。近くに行ってよく見るが本当にでかい。本によると横58メ−トル、縦27メートルだという。南北戦争の時の将軍像みたいなのだが、誰が、どうやって、なんのために、こんなものを造ったんだろうと、単純な疑問が浮かんでくる。しかし本当にのどかないい公園だ。
 
 移動と待ち時間でかなり時間をくってしまったので、急いでバスディーポに戻る。こうちゃんは19時のバスでオーランドまで行く予定なのだ。ぼくの方もいまだメンフィス行きのバスの時間が分からないので、一緒に戻った。
 
 バスの時間がギリギリになってしまったので、別れもそこそこにこうちゃんは行ってしまった。ぼくのバスの時間は11時40分だ。長い。久しぶりに一人になったので、この待ち時間は異様に長く感じる。その時間を潰そうと、アトランタで買った絵葉書をずっと書いていた。
 
 今度はメンフィスベルとプレスリーの町メンフィス。しかしバスの中ではちょっとした事件が起きるのだ。

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