アメリカ放浪記!!(byしげ)

第13章
〓 MAIAMI〔Florida〕 〓


至福を満たす4大要素?
想像を裏切らない、マイアミビーチ。
旅の軌跡に行く
マイアミ(フロリダ州)  

 夜のハイウェイは本当に走りやすい。周りが真っ暗なだけに、道路のセンターラインと車線の幅が、ライトに照らされて浮かび上がってくる。まるで飛行場の滑走路みたいだ。車もほとんど走っていないし、おれ達の道だ。ひたすら走る。しかしここからフロリダ州に入るまでは、州越えが目白押しだ。ボーッとしてるわけには行かない。運転手はひたすら運転に専念する。助手席は運転手の話し相手兼州境の看板探し、そしてもう一人は次の運転のために後ろで横になって寝る。これをローテーションしながらマイアミまでノンストップで行くのだ。
 
  マサ達は今まで州を越える度に、その州境にある看板を写真に収めてきたのだ。今回も同じように州境までくると車を止めてパチリとやる。しかしなかなか看板を探すのが難しいのだ。もうそろそろだなっていうのが分かると、少し速度を緩めて助手席の人が必死になって探す。今回は特に夜だ。しかもルイジアナからミシシッピ、アラバマそしてフロリダと一気に州越えがある。看板を探すのも難しいが、ハイウェイの路肩に車を止めるのも難しい、って言うか怖い。時折コンボイが爆音をたてて真横を通り抜ける。一気に目が覚める。そんな事を繰り返して走り続けた。時折、車のラジオから、ぼくが知っている音楽がかかってくる。そしてそれがこの情景とマッチした時にはなんとも言えない気分に浸ってしまうのだ。出来すぎな話しだけど、アラバマを運転している時なんか、レナード・スキナードの"Sweet Home Alabama"がラジオからかかってきた。景色こそ見えないものの、景色を想像しながら、本当に自分の故郷のように思ってしまった。いい歌がさらによく聴こえてくる。
 
 そうそう、言い忘れたけど、今回の車にはなんと、クルーズコントロールが付いているのだ。丁度いいスピードになったら、ボタンをポチッと押す。そしておそるおそるアクセルを離すと、なんとそのスピードのまま車が勝手に走り続けているのだ。細かいスピード調整も手元のボタンで出来る。元に戻したい時はブレーキを踏めば勝手に戻る。・・・アメリカの合理的な発想だ。しかしこれが以外に楽なのだ。ただアクセルを踏むか踏まないかの違いだけなのに、疲れは全然違うように感じる。特にアメリカみたいな一直線のハイウェイを通るときなんか、これがないとやっていけないくらい快適に運転できる。
 
 フロリダ州に入っても、そう簡単にマイアミには着かない。地図で見ると分かるように、フロリダは横にも縦にも長いのだ。結局ニューオリンズを夜中の12時くらいに出て、ジャクソンビルの手前で朝日を迎え、マイアミに着いたのは夕方の5時くらいになった。約17時間のドライブ。さすがにきつかった。
 
 さっそく今日の寝床を探すが、金も無いし、車があるし、男3人だし・・・暗黙の了解。車で野宿に決定。マイアミにはマイアミ市とマイアミビーチ市がある。有名なマイアミビーチがあるのはもちろんマイアミビーチ市だ。マイアミ市に用はなかったので素通りして、マイアミビーチ市に入る。メインストリートをドライブして、今日の晩飯の買出しにスーパーに行く。
 
 ここはもうマイアミビーチのすぐ近く。街中はもちろん、スーパーの中までも水着のお姉ちゃんに溢れている。着いたばかりでまだリゾート気分に浸っていないぼくらは、早くビーチに行きたい気持ちをぐっとこらえて、買出しを続けた。そして車をそのままスーパーの駐車場に置き、いざビーチへ。明日はビーチで一日リゾートという予定だったので、今日は雰囲気だけ見て、すぐに車まで戻ってきたのだが・・・。何故かスーパーの駐車場に今までなかったレッカー車がいる。しかも見たことのある車がレッカー車に釣られてる。ぼくらの車だ!ほんの20分くらいだろうか。その間にもうレッカー車が来て、いつでも運べる状態になっている。いくら説明しても、泣きを入れても突き返されるだけだった。しょうちゃんは半分きれていたが、泣く泣く40ドルを払って車を開放してくれた。それにしても誰が呼んだんだろう?納得のいかないまま晩飯にした。
 
 今日の晩飯はタコスだ。材料はひき肉と、好きな野菜、皮、サルサソース。それだけだ。料理の仕方もいたって簡単。ひき肉を炒めるだけ。あとは皮に好きなだけひき肉と野菜を詰め込んで、好きなだけサルサソースをかける。簡単だが、半端なくおいしいのだ。しかし今日は晩飯を作る場所がなかったので、人通りのない路上(歩道)で作って、そこで食べた。通りかかる外人さんも変な顔をしていたが、そこはレッカーの事件で半分きれているしょうちゃん。・・・強気だ。
 
 宿も強気の路上で、車を止めて寝ることに。しかし最近、犯罪が多発しているマイアミ。ポリスが定期的に巡回している。ぼくらももちろん起こされ、何度となく注意を受けた。仕方がないので、ちょっと郊外まで行って、そこでまた熟睡した。
 
 透き通るような雲、真っ青な海、白い砂浜そして日焼けした肌の金髪トップレス。ここにはこの世の至福を満たす4大要素?が、全てそろっているのだ。何も考えずに真っ白な砂浜に寝転ぶ。うー、幸せ。周りを見渡す。うー、絶景。海に入る。うー、最高。至福のひとときだ。いかにも優雅で金持ちそうな人達に囲まれて、いかにも貧乏そうな3人がリゾートしてる。ぼくらもここで日ごろの疲れを全て癒す。何もせずにひたすらビーチに寝転がって、太陽を思いっきり浴びて、暑くなれば海に入る。もちろんそれには目の保養も忘れてはならない。こんなに贅沢で幸せな気分に浸っていていいのだろうか?
 
 今日一日、ビーチにいたので、3人とも真っ黒だ。しょうちゃんは真っ黒というよりも真っ赤でTシャツも着れない。
 
 しょうちゃんにはかわいそうだが、このままキーウエスト近くのエバーグレーズ国立公園で一夜を明かすことにする。

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