アメリカ放浪記!!(byしげ)

第12章
〓 NEW ORLEANS〔Louisiana〕 〓


全てハーレーに見えてしまうが・・・
夜のバーボンストリート。
旅の軌跡に行く
ニューオリンズ(ルイジアナ州)  

 サンアントニオからそのままニューオリンズに向かう。かなり疲れた。明日の運転もあるので、とりあえず今日はヒューストンの近くのモーテルに泊まることに決めた。生まれて初めてのモーテル。なんかワクワクする。今は夜中2時くらい。モーテルのロビーも空いていなくて、ベルで呼ぶとやっと人が来てくれた。一部屋4人で80ドル。深夜なので安くしてくれたのか?思ったよりもずっと安い。映画みたいに、車を部屋の前に止めて、部屋に入る。かなり豪華だ。普通のホテルと同じだ。シャワーを浴びて、夜空を見た。うわっ!凄い。
 
 アメリカの夜は街を外れると本当に何も無い。街頭の一つさえ無い所がある。しかしそこから空を見上げると、満天の星空が見える。マサ、しょうちゃんは毎日これを見ているのだ。一日一回はこれを見たくなるという。・・・確かに見たくなる。本物のプラネタリウムだ。星がいっぱいあり過ぎて、どれがなんの星だか全然分からない。旅をしてることもあってか、ビールを飲んでいるためか、何故か感傷的になる。今までの旅のことを振り返ってみる。そしてこれからの自分の事を考えてみる。「この旅が終ったら何が残るのか?」、「何か変わるのか?」マサやしょうちゃんとこういう話をしていると、彼らも同じ事を考え、ぼくと同じように今の自分に疑問を持っているのがわかった。
 
 次の日も快調に車を飛ばす。今日もひたすらハイウェイの上だ。ガソリンを入れる時と、飯を食う時以外はハイウェイから降りない。途中ヒューストンを通ったが、地球の歩き方を読む限り、面白そうではない。唯一見るとすればスペース・センターだ。みんな興味がなさそうなので、ここは素通りすることにした。後はひたすら10号線を東に進むだけだ。今日も車内は盛り上がっている。
 
 テキサス州は広い。昨日から12時間以上も車を走らせているのに、まだテキサスだ。広すぎる。景色も相変わらず砂漠だし、見るのも飽きてきた。日本では考えられないほど、一つの州は広い。アメリカの州は基本的には日本の県と同じ役目だと思うが、アメリカでは州によって法律が違うし、州(地域)よって、人種も変わっていく。だから全然違うのだ。特にぼくらは、これから南部に行く。日本を出る前に友人から「南部の田舎の方ではまだ人種差別が残っているから、気を付けろ!」と言われた。アメリカに来てから知り合った人に聞くと、そんな事は全然ないみたいだけど・・・ふとその言葉を思い出した。
 
 いよいよルイジアナ州に入った。車から見る景色も、ポツポツと木が見えるようになってきた。走っていると、それがだんだん森に変わっていくのが分かる。そしてニューオリンズの手前まで来ると、湿地帯に変わっていた。
 
 いよいよニューオリンズだ。知り合う人のほとんどが「いい」って言う街だ。2月から3月の始めには、MARDI GRASの祭りがある。映画「イージライダー」の舞台となった祭りだ。もうそれはそれは狂気の世界だという。みんな食えや飲めや歌えや踊れやの大騒ぎだそうだ。裸になった女がビーズのネックレスやらコンドームやらを踊りながらあちこちに投げてまくっているそうだ。シアトルで会った日本人が言っていた。昼間からビールも飲めるし最高だと言ってたので、ぼくが一番行きたかった街なのである。
 
 今日はニューオリンズでマサ達と別れる予定だったので、自分たちなりの豪華な最後の晩餐をした。バーボン・ストリートで、お金もケチることなく、生カキやらジャンバラヤやら、ささやかながらも食えや飲めやのどんちゃん騒ぎをした。その後バーボンストリートを散歩したが、やっぱり凄い。平日なのにみんな酔っぱらいだ。胸を出してる女の子もいる。これがニューオリンズか!街角にはストリートパフォーマーが溢れている。うまい人から下手な人まで。とにかく見ているだけで楽しい。ジャズの殿堂"Preservation Hall"にも行った。ボロボロの小屋の中で、みんな体育座りで汗だくになりながら、年季の入ったジャズメンの演奏を聴いている。ムンムンとした熱気の中で、今にも倒れそうな黒人のおじいさんが弾く演奏は心に染みる。いい街だ。毎日でもここに来たくなる。
 
 しかし、ほろ酔い気分もここまで。大変な事に、今日もまたユースがいっぱいだったのである。明日からジャズフェスティバルがあるらしく、どこのホテルもいっぱいだったのである。今回は本当にショックだった。どうしようか真剣に考えたが、今日寝る所も無いし、明日からも多分無理だから、もう一度絶対にこのニューオリンズに戻ってくることを胸に誓って、またまたマサ達の生贄になることを選んだ。
 
 2日間一緒だったむっちゃんをグレイハウンドのバスディーポまで送り、彼女が出発するのを見送ってからぼくらも出発した。
 
 次の目的地はマイアミ。3交代制で運転することを決めて、ひたすら夜のハイウェイを走った。

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