アメリカ放浪記!!(byしげ)

第10章
〓 EL PASO〔Texas〕 〓


雪???
ぼく、フィリップ、クレア、マリアン。
旅の軌跡に行く
エルパソ(テキサス州)  

 うー、蒸暑い。夜中3時だというのに空気がむわっとしてる。バスディーポの周りはやけに騒がしい。そしてメキシコ人しかいない。いくら国境の町だからとはいえ、ここはアメリカだ。タクシーの客引きも、バスディーポで働いている人もみんなメキシコ人だ。その証にみんな口髭を生やしている???ここは本当にアメリカなのだろうか?そんな疑問が浮かんでくる。周りで話している言葉も英語ではなく、ほとんどがスペイン語だ。アナウンスも英語よりも先にスペイン語がアナウンスされる。いつもとは違った雰囲気に少し戸惑うが、とにかく寝い。バスは相変わらずクーラーの効き過ぎで寝ることが出来なかったので、日が出るまでここで寝ることにした。小さい割にきれいなバスディーポで、人のいないところを探して、横になった。しかし警備員がすぐに起こしにくる。別にここから出て行けという風でもなく、とにかく横になっているのがいけないらしい。だから今度はイスに腰掛けて、座ったままで寝た。
 
 それにしてもメキシカンはうるさい。人が寝ているのに、その横でゲームをやって、大声で騒いでいる。とても寝ることができない。仕方がないので、外に出て一服、そしてまた中に戻ってきて仮眠をとる。その繰り返し。かなりこたえた。・・・体中が痛い。
 
  そろそろ朝になろうとしてたので、いつものように便所で歯磨きをして、髭を剃る。もうこんなことは慣れっ子になってしまった。・・・慣れというのは恐ろしい。それよりもトイレが慣れない。きれいな所はいいのだが、汚い所は本当にひどい。バスディーポの中だから安心してできると思っていたら、大間違い。犯罪防止のためか、ドアが無い所もある。アメリカでは、ドアがあるところでもドアに少し隙間があって中が見えるようになっている。しかしドアがなくても向こうの人は平気でしてる。前を通ると"こんちには"って感じだ。どうしようもない時に、ドアの無い所でしたことがあったけど、落ち着いて出来ない。どうしても通る人と目が合ってしまって、集中出来ない。それよりも拭く時のほうが・・・。
 
 まー、そんな話しはどうでもいいとして、こlこは本当に暑い。ユースはバスディーポから歩いて15分ぐらいの距離だ。ダウンタウンの中心を通ってユースまで行く。町並もアメリカらしくない。とにかく全てがメキシコなのだ。
 
 ユースには地球の歩き方に載っていた通り、陽気なアントニオがいた。地球の歩き方によると、アントニオはかなりの日本人びいきだそうだ。そのおかげか、ユースのスタッフもみんな陽気でやさしい。
 
 ぼくがここに来た目的は何と言っても”メキシコへの国境越え”と”ホワイトサンズ国立公園”だ。ホワイトサンズ国立公園には車でしか行けないので、このユースで一緒に行ってくれる人を探そうと思っていた。だからカウンターにいる人に「ホワイトサンズに行きたいから、誰か行きそうな人がいたら声を掛けて」と頼んでおいた。そしてチェック・インをしている時に上の階から日本人らしき人が降りてきた。すぐに声を掛けてみると、今から朝の散歩に行くそうだ。そしてホワイトサンズにはきのう3人の日本人とレンタカーを借りて行ったという。ちょっとショックだった。
 
 とりあえず部屋に行って、シャワーを浴びて、ロビーみたいな所で一服してると、さっきの日本人とあと2人の日本人が降りてきた。みんなきのうホワイトサンズに行ったばっかりだった。しかし今日はアントニオがメキシコまで連れて行ってくれるというので、ぼくもそれについていく事にした。
 
  4人の日本人と、2人のスイス人とアントニオの7人で国境まで歩く。アントニオはどこで覚えたのか、変な日本語をよく話す。そのほとんどがH系の日本語だ。とにかくよく喋る。20分くらい歩くと、もうそこは国境の橋だ。人の波について行き、25セントを払えばあっけなくメキシコのファレスに着いてしまう。メキシコに来たという実感はあまりない。しかし橋の上では物乞いがたくさんいる。アメリカとは比較にならないほど、悲惨な格好をしている。子供もいるし、足の無い人もたくさんいる。やっぱりメキシコだ。エルパソとは似ていても全然違う。町が荒れていて、雑然としている。アントニオはお土産屋にぼくらを連れて行き、そこでメキシコでの注意事項を聞かされ、その後自由行動をした。
 
 メキシコ人はとにかく明るい。男も女も底抜けに明るい。しかし国境の町とはいえ、英語が全然通じないのだ。店でタコスを食おうと思っても、全然通じない。かろうじて通じるのは挨拶ぐらいだ。正直驚いた。歩いていける距離なのに・・・。
 
 結局、ファレスでは格安のタバコを買っただけで、他の日本人と、そこら辺にいたメキシコ姉ちゃんと騒いでた。うーん、ノリがよかったなー。←意味深
 
 その時に一緒にいたスイス人に話し掛けてみると、彼らもホワイトサンズに行きたいというので、明日一緒に行くことにした。一人は女の人で、マリアンという。色が白くて、すごいきれいな顔をしている。もう一人はフィリップといって長髪で髭もボサボサだ。その日の夜に彼らと空港に行ってレンタカーを借りる約束をして、別れた。
 
 ・・・あー、やってしまった。きのうはほとんど寝ていなかったので、ユースに戻った途端に次の日の朝まで寝てしまった。フィリップとマリアンとの約束を破ってしまったのだ。朝ロビー行くと、もう2人がいた。マリアンの方はかなり怒っているようだ。半分諦めたようで、気まずい雰囲気のままレンタカーを借りに空港まで行く。その日の朝に知り合った、中国系カナダ人のクレアも一緒になって、4人で行くことになった。白い"PONTIAC"がぼくたちの車だ。ぼくがはじめに運転することになった。ロスでも運転していたので、それほど緊張することはない。快適にホワイトサンズに向けてドライブする。しかし英語が話せないのは、ぼくだけだ。頑張って話しをするが、スラスラ英語が出てこないので、車内の会話はかなり疲れた。
 
 ゲートをくぐってホワイトサンズ国立公園に入る。所々白くはなっているものの、そんなに感動はない。ここは奄美大島と同じくらいの広さの国定公園だ。もう少し車で走ると今まで所々白かった所が一面真っ白な砂漠になっている。まるでスキー場みたいだ。真っ先に車から降りて、砂の上を転がる。他の3人も同じ事をしている。ここでは誰でも子供になってしまうようだ。本当に真っ白。少し高い所に行くと見渡す限り白い砂漠が続く。なんと幻想的な風景だろう。つい、うっとりしてしまう。4人で砂漠の上に寝転んで話しをする。もう最初のわだかまりはない。バカな事をやっているぼくを見て諦めたのか、マリアンも終始笑顔だ。
 
 夕陽の時間が近づいてきたので、みんなで写真の撮影会をする。そして陽が沈む頃、真っ白な砂漠が夕焼け色に染まり、昼よりもさらに幻想的になった景色をみんなで見つめていた。こうして一日、外人さんと一緒にいても、日本の友達といるのとなんら変わらないと思った。言葉は通じなくても、気持ちが通じればなんの問題もない。改めてそう思った。
 
 夜はアントニオに飲みに連れて行ってもらった。何故だかエルパソの夜は早い。暗くなるとほとんどの店がしまってしまう。・・・マニアックな店しか開いてないのだ。しかしアントニオはそんな店がお好きなようで、エルパソ、そしてわざわざ国境越えをしてファレスまで飲みに連れて行ってくれた。ファレスではムチムチ?パンパン?のお姉ちゃんが店にいる。しかし英語も通じないので、ノリと愛想笑いだけで、乗り切る。しかしだ!横にいたメキシコ人にテキーラをグイグイ飲まされ、訳がわからなくなってしまったぼくは、アントニオとはぐれてしまった。よく覚えていないのだが、なんとか歩いて国境まで辿り着く。メキシコに入る時は簡単だが、逆にアメリカに入る時はパスポートを見せたりと規則が厳しいのだ。気持ち悪くて吐きそうなのだが、自分では毅然とした態度のつもりでアメリカへの入国審査に臨む。・・・当然怪しまれる。「何しにメキシコへは行ったのか?」、「メキシコでは何を買ったのか?」酔っているので、英語にはなってないのだろう。何回も同じ事を言っているようだ。荷物も全部調べられた。"ここでアメリカに入れなかったら・・・"という気持ちはもちろんあるのだが、かなりどうでもよくなっている。とにかく通らせてくれればそれでいいのだ。・・・約1時間経過。同じ事を繰り返しているだけで、なんの進展もない。向こうも諦めたのか、やっと通してくれた。
 
 いろいろお世話してくれたアントニオ、そして一緒にホワイトワンズに行ったマリアン、フィリップ、クレアに別れを告げて、また次の場所に行くのだが・・・。

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