5   滝百選巡り                               04/1/15
      50滝を歩いて


                  
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4年前に始めた滝巡りも、その数100滝を越えた。中でも「日本の滝百選」の名瀑は、丁度半分の50滝目を迎えた。節目にあたって滝巡りについてまとめてみた。

● 滝の魅力と滝めぐりの切っ掛け

カメラ遊びに興味を持ってから遠出が楽しくなり、99年の夏、1泊の予定で裏磐梯へ出掛けた。磐梯山や安達太良山、五色沼、桧原湖等、ここでは随所にポイントがある。早朝、釣りが盛んな小野川湖で、今でも印象に残る「朝靄の中の釣り船」の写真を撮った後、帰宅するには早いので近くの「小野川不動滝」に行き、滝の写真に初挑戦することにした。

駐車場から小鳥のさえずりを聞きながら15分ほど歩くと、実に男性的な滝が現われた。豊富な水量が20mの高さから噴出すように飛び出し、目の前で一気に滝壷へ飛び込む。後から後から流れ落ちる水が激しくもみ合い、モクモクとした水しぶきが大きく跳ね上がる。叩きつける水の音が凄まじい轟音となって耳を覆う。

レンズを通して見ると更に迫力がまし、滝の醍醐味と大自然のエネルギーをしっかりと感じながらシャッターを切り続けた。

興奮冷めやらぬままに駐車場で地図を広げ、更に近くに滝はないかと探した。そして、車で20分後には「達沢不動滝」に立った。山に囲まれた岩間から、高さ10m、幅10mの広がりで糸を引くように流れ落ちている。滝壷が無く岩にぶつかって作られる水流の白い波形がなんとも美しい。

小野川不動滝とは対照的に、神秘的な雰囲気の中で静かに清涼感を味わうことが出来る。更に、手前に張り出したもみじの枝が、素晴らしい構図を作り出している。聞けば県内のコンテストには必ず出展されている有名な滝と言う。

1日で、この「迫力」と「景観の優美さ」に出会い、滝の魅力に引き込まれてしまったのである。

      達沢不動滝のこのもみじは、2年後の積雪で根元から倒れて現在は無くなっている。本当に残念! 

● 滝と名前について

5m以上の落差を持つ水流を「滝」と呼ぶのだそうだが、北海道から沖縄県まで、概ね2、500滝があると言われている。因みに、日本一の大瀑布は、落差350mの称名滝(富山県)である。先日「黒部の幻の滝」がNHKで放送されたが、まだまだ未発見の滝もあるようで今後、新しい名滝が見つかるかもしれない。

名前は大滝、不動滝が圧倒的に多く全国的な名前となっている。これに土地の名を組み合わせて呼ばれる事が通常だ。 
    (大滝・不動滝の名称は幾つ位あるのだろうか。後々の宿題としている
白糸の滝、魚止めの滝がこれらの後に続いている。

● 滝の形状について

滝は流れの形によって、大きく5つに分類されている。

【直漠】 垂直に流れ落ちる滝で、「華厳の滝」「那智の滝」等、
     滝を代表する迫力の流れである

【段漠】 幾つかの段になって流れる滝で、三大漠の一つ「袋田の滝」等、
     比較的多い形である。

【分岐漠】「田立の滝」の様に岩上を幾筋にも分れて流れる滝で、
     光に輝く水玉が美しい滝である。

【渓流漠】渓谷に多く、岩盤の断層や斜面を滑る様に流れ落ちる滝で、
     「吹き割の滝」は有名ある。

【潜流漠】断層から湧き出す様に流れ落ちる滝で、静岡県や長野県の
     「白糸の滝」が代表的である。

●「日本の滝百選」について

1990年に、環境庁と林野庁の協力の下、“日本の滝選考会”が開かれて選出されたのが「日本の滝百選」である。観光化され歩きやすい所が多い中、一般の人気も考慮したと言うには、どうしてこんな大変な難所の滝が選ばれたのかと不思議に思える滝も含まれている。 

● 難易度NO.1の滝は?

 先輩のワースト5は、
双門の滝(奈良)、茶釜の滝(秋田)、
       中の滝(奈良)、松見の滝(青森)、七つ釜滝(三重
の順

滝めぐりの大先輩の「百選の滝・ワースト5」では、双門の滝(奈良県)がNO.1の様だ。「足の竦むような垂直の鉄梯子、恐ろしい鎖場では下を見ないようにして登り約3時間半、ようやく辿り着く」とある。別の人も「普通の足で往復10H、ヘトヘトでした。もう絶対行かない!」と笑いながら言っていた。

自分でも挑戦できるか不安になるが、行くなら体力のある若いうちにと薦められた。

    (何歳まで若いと言うのだろうか? 今は定年後に予定している)

他の4滝も、ガイドが必要で素人が単独では無理だという。これまでは当然、駐車場からほどなく行ける所が大半だったので、難易度の高い滝ばかりが残ってしまっている。

● 50滝を歩いて、私の「百選の滝ベスト・5」

2003年までに訪れた50滝の中から、印象に残ったベスト5を選んでみた。

安の滝(秋田)  山奥に2段の滝を見上げる。滝の美しさと景観の
         素晴らしさに引きつけられる。

滑川大滝(山形) 大きな岩盤に幾筋もの流れが描かれて、山頂から見る
         景観は実に雄大である。

根尾の滝(岐阜) 1時間ほど歩いて味わえる清涼感あふれる秘境の名瀑。

那智の滝(和歌山)133mを一気に流れ落ちる迫力の直縛で、日本三大
         名瀑の一つ。

七ツ釜五段の滝(山梨) 滝と釜がきれいに並び、エメラルドグリーンが
         調和した優美な滝。


● 滝巡りで大切なこと

出掛ける前には、インターネット等での情報収集が大切である。どんな滝なのかと言う事と、場所・難易度など色々把握するためである。

・所在地を概ね掴んだ後、観光ガイドに詳しい地図で場所を探しカーナビにセットして、いざ出発。
       (現在は、百選の滝が全て記載されている旺文社のMAXマップル道路地図を活用している)

・駐車場の有無と難易度は、毎回チェックしている。駐車場が無い所では、車の置き場所探しが大変になってしまう。特に紅葉の時期は、駐車場があっても大混雑に出会うので注意している。

・駐車場からの所要時間は表示の1.5倍の時間を目安に、滝を楽しむ時間を加えている。難易度によっては軽装ではなく、しっかりした履き物・軍手・防寒具等を準備して出掛ける。

・また、出発の数日前から天気予報を確認している。滝までは、道幅の狭い所や岩の上を歩く事も多く、天候次第では思わぬ危険に出会う。惣滝(新潟)の場合は、一人が歩ける道幅しか無く、足下は30mほどの谷が続く。笹の滝(奈良)は、10分程だがすべる岩場を歩かなければならない。当日が晴れでも、前日までの状況では乾きが遅い事もあるので大変危険である。

● 滝巡りには、こんな事も。

・滝巡りは細い林道を車で進む事が多く、崖け崩れや工事中で“通行止め”に出会う事も度々ある。龍双ヶ滝の1回目は、福井県まで長い時間走りながら“崖崩れ”で断念した苦い思い出がある。

・滝はいろんな地形に存在するため、日差しの入り込む時間帯がそれぞれ異なってしまう。写真を上手く撮るにはこの日ざしがポイントになるが、初めて訪れる滝では残念な思いをする事も多い。例えば、袋田の滝(茨城県)は、午後3時頃から日差し一杯になるのだが、午前中に行ってしまった。

・また、殆どの滝は水量の多い時期の方が見応えが増すが、水量が少ない方が美しく見える滝もある。「桑の木の滝(和歌山県)」は、流れ落ちる水が岩に当たって出来る波形が実に美しい事で有名であるが、水量が多い時期は平凡な滝の姿になってしまうのである。


以上、50滝を振り返って見たが、この後の50滝の方が、今までの何倍もの大変さが待っているようだ。今は、ゆっくりと1つでも多く歩いてみたいと思っている。


         有り難うございました 

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