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時の話題2003-8
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LAST UPDATE 2004-08-03
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◇印は《日々雑感》より転載
演出されるスケープゴート(03/8/28・10/27) ◆在日外国人無年金障害者訴訟(03/8/28・10/27) ◇全外教大阪大会2003(03/08/24) ◇洞村移転と神武陵(03/08/22) ◇携帯メールで殺人ほう助罪(03/8/11) ◇桑山紀彦さん「地球のコンサート」(03/8/4・5) 


【演出されるスケープゴート】vol.148《日々雑感》に加筆
◆法廷で暴言を吐くまで宅間被告を歪めたものは何なのか、考えずにはいられません。彼を死刑にしても解決されないものがあるように思うのです。憎悪とは切り離した課題の分析と解決を冷静に考えたいと思います。パレスチナや北朝鮮を考える際にも大切な視点だと思います。自己肯定感と他者憎悪が関連するとはよく言われるところですが。(400、03/8/28)
◆日本の商業マスコミの悪しき手法には、スポンサーは決して叩かない・視聴者の責任を決して問わない・批判的報道は事後検証でしか行わない、という無責任体質があると思います。「あなたは決して悪くない。あなたの責任の及ばない悪者に憎悪を向けましょう。その悪者はスケープゴートでも、背後の問題にはメスは入れません。」というような報道があまりにも多いと思うのです。政官財の癒着から目をそらし、常に都合良く悪者が演出され、根本的な問題は決して取り上げない。有権者の政治的意識を高め、権力を監視すべきマスコミが、政官財の御用報道に堕していては困るのです。宅間被告も金正日体制も、擁護しようとは思いませんが、憎悪の対象に祭り上げることは、社会の発展につながるとは思えません。憎悪の連鎖は悪夢をもたらすとは歴史の教えるところです。(03/10/27筆)[→8月目次]



【在日外国人無年金障害者訴訟】vol.147《日々雑感》に加筆
◆25日、在日外国人無年金障害者の敗訴判決。冷たい国だ。(399、03/8/28)
◆国際人権規約や難民条約の「内外人平等」原則に違反する例が、またもやそれらの条約批准国であるはずの日本の裁判所で追認された。1981年にようやく日本も批准した難民条約の発効にともない、1982年、国民年金法の国籍条項が撤廃されたが、沖縄や小笠原の復帰では日本人に適用された救済措置(経過措置)がこの時は行われなかったので、当時20歳以上ですでに障害があった定住外国人は現在も無年金状態におかれている。また、1986年の新国民年金法改正で、国籍要件で加入できなかった期間を被保険者期間として合算する措置がとられるが、その時点で60歳以上の者は適用除外とされ、現在70代半ばを越した高齢者もまた今なお無年金状態におかれている。
 また、物議をかもしながらも導入された介護保険制度において、一番負担の軽い「年金受給者」には当たらないということで、無年金高齢者は、年金を受給している高齢者よりも高額な保険料を払わされているという全く不可解な状態におかれている。全国約700の自治体で、こうした不当な状態を是正するために、障害基礎年金の半額分を支給するなどの救済措置がとられているが、国はいっこうに改正措置をとる気配をみせていない。
 原告は当然控訴したが、原告団長の金洙榮[キムスヨン]さんらの怒りは、こうした問題に目を向けない日本人にも向けられていると受け止めたい。(03/10/27筆)[→8月目次]



【全外教大阪大会2003】vol.146《日々雑感より》
◆23〜24日と、第24回全国在日外国人教育研究集会に参加した。22日のフィールドワークには参加できなかったが、今年も多くのことを学ばせてもらった。23日の全体会では、挨拶一つ一つが実践レポートのようで、また子どもたちの元気な民族楽器演奏にも確かな取組の積み重ねが感じられたし、在日外国人の若者たちのパルディスカッションも示唆にとんでいた。鷺沢萌[さぎさわめぐむ]さんがあんな面白い方だとは知らなかったし、語学留学の話もそうなのだが、特に「無意識右翼」の困った人々の愉快な分析や、地道なハンプリの例など、愉快・明快・できれば一緒に酒飲みたい、という素敵な方なのだ。晩の部の全国交流会は、子どもたちのプンムルノリに続き、保護者と子どもたちによる人形劇「葛の葉物語」にすっかり見入ってしまった。【詳しくは人形劇サークルくらくら&くりくり】。信太の森に伝わる安倍晴明の母の物語だ。そして、青いシートを広げて、賑やかに焼肉と酒盛り。密度の濃い面々がずらっと集い、これまた刺激的な時間であった。24日は、清風高校で行われた第4分科会B分散会に参加。ここでは、郵政外務職国籍条項撤廃の取組とその後の課題・在日外国人無年金障害者訴訟の取組・愛国心通知簿問題の経緯とその後、についての3本の報告と質疑応答があった。まさに多文化共生社会を築く重要な実践であり、問題提起だ。中でも2本目の報告内容は社会的認知度が特に低いのではないかと思うが、2日後の判決を受けて、少し詳しく紹介したい。生徒交流会も参加が101人を数えたようで、今年も全外教集会は盛況だった。来年は奈良での開催。微力ながらkurochanも力を惜しまずに取り組もう。(398、03/8/24)[→8月目次]


【洞村移転と神武陵】vol.145《日々雑感に若干加筆》
◆畝傍山麓洞村移転跡フィールドワークと近くの資料館見学をしてきた。明治政府は、架空の神武天皇陵をどうやら洞村のかつての草場に造営したようだが、大正時代になり、周辺六ヶ村を移転させ、橿原神宮が拡張されたのだ。特にその神武陵に隣接していた被差別部落の洞村は、唯一全村移転で、補償金も極端に少額、埋葬したての遺体まで警官立会で掘らされるという凄惨な歴史がある。ただし、移転には積極的側面もあり画期的に整備された街が造られたのも事実だ。しかし、すぐ近くの橿原考古学研究所も神武陵発掘はできない。草場であった可能性もあることから、鏡の代わりに牛骨が出ては宮内庁に叱られるのだ。だいだい「御陵」に指定されれば発掘はできないのだが。多くの真面目な学者達の説も、万世一系という嘘のために黙殺されている。戦前の橿原神宮の拡張工事では多くの血が流され、今も皇族が来る度に参道は舗装される。(379、03/8/22・23)[→8月目次]


【携帯メールで殺人ほう助罪】vol.144《日々雑感より》
◆携帯メールで殺人ほう助罪という事件があったが、これはネットコミュニケーションの闇の事例だろう。殺人にためらいも感じていた奈良県内の男性が、東京の女性からのメールで殺人に踏み切ってしまった。携帯メールは電話と同じくコミュニケーションの一手段だが、電話以上に警戒心を感じさせないツールだ。心を安易に開き過ぎる事により、他者への信用も攻撃も過剰となる。情報教育の授業の一環で教室内チャット体験をさせると、書き手が明らかなのにも関わらず、友達への悪口を安易に書く傾向が見られたとの実践報告を最近聞いた。光と闇の両面のメディアリテラシー教育に早急に取り組む必要があろう。(394、03/8/11)[→8月目次]


【桑山紀彦さん「地球のコンサート」】vol.143《日々雑感より》
◆桑山紀彦さんの「地球のコンサート」にいたく感動した。今日の奈良県外教学習会は彼の奈良初のステージだった。以前たまたま彼の著書と論文を一つずつ読んだことがあり、異文化に生きる外国人に焦点をあてる面白い精神科医だなぁと感心していたのだが、もう一つの肩書が歌手だとは知らなかった。学生時代から世界を旅し、ソマリア・旧ユーゴ・東チモール・パレスチナの難民キャンプ等での医療活動を通じて出会った子どもたちや気づかされたことを、美しいスライドやビデオを見せながら、熱いのに軽妙な語りと美しいメロディーと美声で伝えてくれるのだ。口コミだけで広まった彼のコンサートはすでに600回にも達するようだ。生と死を見つめ、人々の苦悩と希望から多くのことを受け取り、伝えてくださるのだが、国際的な医療救援活動の実践と、独創的スタイルでのコンサートという表現活動は、あふれる才能故でもある。しかしそれは、彼がタイの青年やフィリピンの少女やソマリアの幼い患者らから教わったこと、つまり自分自身を受け入れ、人と関わるという自分自身の生き方を気負わずに受け入れることができるようになったが故だったのだ。人と自分を見つめる確かさと深さと温かさ、それをこそ彼から学びたい。彼のWebアドレスは http://www.e-stageone.org/index.html(390、03/8/4・5)[→7月目次]
 ※「地球のステージPart 2









































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