ぱみーしゅむらへ
パミーシュ村へ
西へ…東へ…ロゴ
 水に浸した布で血塗れの顔を拭いてやる。鼻血はもう止まっていて顔はすぐに綺麗になった。見ると、若いことは若いのだが、年端も行かないと言った方がいいくらいに若い。ともすれば透よりも年下かも知れない。
「すっ……すまねえっ、坊ちゃん」
 一瞬ずっこける。《坊ちゃん》系の呼び方をされるのは、飛焔といい、どうにも慣れない。
「坊ちゃんをこんな目に合わせたのに、こんなことして貰っちまって……」
 申し訳なく頭を下げるこの少年は、ペイ・チーに足蹴にされ鼻血を流した男だ。親に死なれ身寄りもなく、ロン・フェイを慕ってこの山にやって来たのだと言う。
「わかったよ。わかったから頭を上げてくれ。薬、塗れないだろ」
 言っても頭を上げようとしない。困ってしまって仕方なく、顎に手を当てて上を向かせる。額も頬も傷だらけだ。そこに傷薬を摩り込んだ。
「いっ、痛ててててててててっ!」
「そりゃ痛いだろうね。こんなにあちこちにケガしてたんじゃ」
 彼は、腕にも足にも刀傷を負っている。半分くらいは紫音と飛焔がつけた傷だ。よくもこんなに傷だらけで我慢ができるものだ。
 そう思い、今度は右手の傷に薬を摩り込み、手早く包帯を巻く。ものの数分で手際良く、彼の手に包帯が巻きついた。
「ほほぅ、坊主、大した技じゃねえか」
 ロン・フェイが物珍しそうに覗き込んでくる。
「昔、ボーイスカウトに入ってたからね、このぐらいは朝飯前だよ。ボーイスカウトでも保健の授業でも応急処置の方法は基本だからね」
「?????」
 彼には意味不明な内容だろう。無理もない。ここと透の世界では余りにも違い過ぎる。平和な透の世界ではこんな技などほとんど使ったことはなかった。それがここでは何と便利なものだろうか。改めて、教えてくれた者に有難味を感じずにはいられない。
 ロン・フェイの背中の向こうでは、紫音が叱咤しながら手下の手当てをしている。その側ではプシケに手当てをされながら、デレデレと顔を緩ませた手下たちの姿まで。飛焔だけは何もせず、手下たちを見てからかいながら、げらげらと楽しそうに笑っていた。と言うのも飛焔が手当てをしようとすると、手下たちの方が恐れ慄いて触れさせようとしない。止むを得ずこうして側で見ていることとなったのだ。
「おまえら有難い思えや。兄ぃはワイよりも強いねんでぇ。その兄ぃに手当てして貰えるやなんて、おまえら幸せもんやなぁ」
 紫音に手を取られていた手下が震え上がり、慌てて手を引っ込めた。
「阿呆ぅ、余計なこと言うんじゃねえ。おまえらもおまえらだ。あんなすっ惚けた野郎、怖がることなんかねえだろうが」
 と、引っ込められた腕を掴み、しこたま傷薬を摩り込んだ。
「あいやややぁぁぁー!」
「痛いか? 痛けりゃこの痛みを忘れるんじゃねえぞ。他人だって同じように痛いんだからな」
 手下は上目で紫音を見、続いて横目で飛焔を見た。傷だらけの飛焔の人懐っこい笑みが目に入り、彼は済まなそうな顔をして俯く。
「すっ、済まねえ、鬼火の! 俺たちゃ脅されて仕方なく手を出したんだ。誰もおめえさんをどうこうしようと思ってた訳じゃねえんだよ。頼むから仕返しだけはしねえでくれ!」
 飛焔は呆気に取られて彼を見る。仕返しなど考えたこともないからだ。
 どうやら山賊たちの中で、実際に飛焔という人物を知っていたのはロン・フェイだけのようだ。後の連中は、《鬼火の飛焔》という実体のわからない名前だけで飛焔の人物像を作り上げていたのだろう。
「そんな心配せんでもええって。ワイにとっては、こんなん掠傷や」
 《鬼火の飛焔》について、巷でどんな噂が実しやかに囁かれていたのか定かではないが、透にはもはや気のいい人物としか思えない。だから彼がニコニコと人のいい笑顔で、懇願する手下の背中を叩いたのも、安心させようとする気持ちの表れなのだと思った。しかし手下の傷は背中にも広がっていたらしい。
「あひゃあぃやぁぁぁーーー!」
「わっ! スマン! 背中にも傷あったんかいな。アカン! パックリ開いてもーたで。早よ手当てしな。ワイがやったろか?」
「た、頼むよぉ〜。頼むから触んねえでくれよ〜」
 と、こんな調子でさっきから、飛焔は手当中の蚊帳の外に弾き出されていた。彼らは改めて飛焔に畏怖の目を向け、自然と害のない者の側へと流れていく。プシケの周りにより多く人だかりがあるのは、あながち気のせいではなかった。
 ここでまた、止せばいいのに飛焔は手下たちをからかい始める。
「おまえら、ワイの女に手当てして貰おうなんて厚かましいで。ゆ〜とっけど、手ぇ出したらしばくさかい、覚悟せぇや」
 手下が震え上がる前にプシケが呟く。
「……誰があなたの女よ」
 密かな怒りで、手当中の男に巻いていた包帯を締め上げた。
「ぎょぅわあぁぁぁーーー!」
「あら、ごめんなさい、力が余ったわ。でもそんな情けない声を上げないでちょうだい。心臓に悪いじゃないの」
 しらりと言い放ち、包帯を巻き直す。今度は締め上げたりはしなかったが、手当てされている者はビクビクし通しだった。周りの連中は目を丸くする。目が点になったのは飛焔も同じだ。そしてまた、人の波が流れ始めた。
 透が目を上げるといつの間にか、先ほどの倍くらいに人だかりが膨れ上がっている。手下たちは気がついたのだ。彼らの中で一番危険性がないのは透だということに。
 そこから先は大忙しだった。手下たちは次から次から透に手当てを求めてくる。一人一人をぞんざいに扱う事なく、尚且つ、手早く手当てを進めていく。
 彼らの誰もが有難がるのでほっと息を吐いた。仕方がなかったとはいえ、蓋を開ければ実は気の良い連中を、ここまで傷だらけにしてしまったのだ。自分が手を出していなくても心苦しかった。
 手下たちの誰を見ても包帯をしていない者がいなくなった頃、透はようやく顔を上げる。と、誰にも手当てを受けず、自分で薬も塗らない飛焔の姿が目に入った。
「飛焔、こっちに来てよ。手当てするから」
 彼は首を振る。
「ええって。ワイのは掠傷やさかい」
「ダメだよ。せめて顔ぐらい手当てしとかないとイイ男が台無しだよ」
 イイ男、と言われると、気を良くして飛焔は側にやって来た。彼は意外なくらい傷だらけだ。顔や手足はもちろんのこと、上半身をはだけると、背中にも胸にも腹にも痛々しい痣が山ほどある。透を盾に取られ無抵抗で蹴られた痕だ。背中には、他にも袈裟懸の刀傷があった。だがこれは相当古いものだろう。一目ではそれとわからない。
「ゴメン、飛焔……僕が不甲斐ないから……」
 謝りながら手当てを始める。
「こんな掠傷で何ゆ〜てんねん。いややなぁ、坊。坊がその程度の傷で済んでんから、ワイの傷なんかどうでもええやないかぁ」
「そんなコトない! 僕のせいで……僕が捕まったりしたから、こんな酷いケガを……」
 自分を責めて涙を堪える透を見て、飛焔は溜息を吐いた。実際、彼にしてみればこんな怪我は怪我のうちには入らないのだ。
 彼はベルトから刀を抜く。その柄でそっと透の頭を小突いた。驚いて透が顔を上げると、瞳で笑いながら言った。
「あのなぁ坊、考えてもみぃや。ここにおる連中は、あのあほんだら以外誰も死んでないんやで。傷は負うとるけど命には別状あらへんやろ? それと言うんも、坊があのあほんだらに捕まってくれたお蔭なんや。坊があの時捕まって、ワイらの乱闘を終わりにしてくれてへんかったら、多分誰か死んどったやろなぁ。それも一人や二人やなかったと思うで。命ある上に、足腰立たんもんもおらんのや。坊のお蔭やてみんなもそう思とる……なっ? そうやろ?」
 飛焔が辺りを見回す。彼らが首を縦に振った。頷いたのは強制ではない。飛焔の言葉になるほどと共感したからだ。その言葉で誰もが皆、透に救われたのだと実感していた。
 透は飛焔を見つめた。視線の先に人懐っこい笑顔がある。湧き上がる安堵感が心を満たしていく。飛焔という人物の鷹揚さを改めて思い知った。だからこそ、心の底から精一杯の真心で飛焔の傷を手当てした。
 照れ笑いを浮かべ、飛焔は彼を見守っている。懸命な姿がいじらしく思えてならなかった。裏表のない心で自分を案じ尽してくれることが、真実、嬉しくてならなかったのだ。こうして身を預けながらも自然と考えていた。
 この純粋さを失わせてはいけない。透の汚れのない真っ直ぐな心が、周りの人間を癒している。彼の無垢な精神を何があっても守ってやろう。少なくとも、自分が側にいてやれるうちは――と。
 それは奇しくも紫音と同じ考えだった。この二人は、やはり思考回路が似通っているに違いない。
 透に手当てをされながら始終ニコニコと笑みを湛える飛焔を見て、手下たちは首を捻る。彼らの中で、こいつは本当にあの噂の《鬼火の飛焔》なのか、という疑問の念が湧き上がってきた。
 《鬼火の飛焔》――何百人が束になってきたところで一瞬にして薙ぎ倒すほど、鬼神の如く凶悪で容赦のない男。人外の妖しげな技を使い、人々を狂気に駆り立てる。特に女の魂を、好んで奪い食らうという――とはまるで妖怪のような形容のされ方だが、彼らは本気でその噂を信じていた。
 浅くても飛焔を知る者は、必ず刀の封印に目を留める。彼が一度も刀を抜かなくても誰にも負けたことがないからだ。飛焔の刀の封印を、つぶさに検め記憶に収めた者が、彼の見分け方を巷の噂に流した。
 そのお蔭で、手下たちは彼を《鬼火の飛焔》と認めて疑わないが、目の当たりにする飛焔の様子が、彼らの《鬼火の飛焔》に対する幻想を打ち砕いたことは言うまでもない。
 《鬼火の飛焔》は鬼神でも妖怪でもない。強いことは強いが凶悪ではない。妖しげな技を使う云々は謎のままだが、それでも見た限りの彼は普通の気の良い青年だった。その時点で手下たちの中では、彼は通り名のある飛焔ではなく、ただの飛焔に早変わりした。
 しかも彼は、自分たちの信頼する頭領を裏切り者から救ってくれた連中の一人だ。感謝こそすれ恐れ慄くのは失礼というものだろう。
 いつの間にか自分の周りに人だかりの気配を感じ、今度は飛焔が首を捻る。それまで確かに彼を恐れ遠巻きにしていた手下たちが、何故、急に側に来る必要がある。気のせいだろう、或いは側にロン・フェイがいるからだろう。
 と彼は思い込むが、目の前の飛焔に感謝する気持ちで彼らが動いているとは、全く考えもしなかった。彼を手当てする透が相乗効果を及ぼしていることにも気づかない。頭思いの手下たちが、頭を慕って側に来たのだろうと疑いもしなかった。
「それにしても鬼火の。随分と用意のいいこった」
 ロン・フェイが突如声を上げる。透の傍らの荷物袋を見てのことだ。これだけの連中に散々薬や包帯を使ったにも拘らず、袋の中身は半分と減っていなかった。薬も包帯も買い込んでいたのは飛焔だ。こうなることを、前もって予測していたとしか思えない。
「爺さんら怪我しても、その辺の薬草、ちゃちゃっと貼ったり塗ったりして終わりやろ? 世の中にはそれより便利なもんがある、っちゅーて教えたろ〜思てなぁ。専門家が作った薬やさかい、治んのも早いでぇ」
「なるほど。こうなる事を見越してたって訳かい」
「自分に薬、使うとは、思いもよらんかったけどなぁ。まぁ、予定よりはみんな軽傷で済んださかい、ええ事はええねんけど……それにしても、ペイ・チーのおっさんが崖から飛び降りよったんは、ワイにとっては痛手やなぁ」
「ペイ・チーに用があったのか?」
「ワイら、爺さんに訊きたい事あって遥々ここまで来たんやけどな。あのおっさん、昔キャラバンにおったやろ? あのおっさんにはワイが個人的に訊きたい事があったんや。……けど、もうアカンな。あのおっさん、もう喋れんようになってもーたさかいなぁ」
 しん、と辺りが沈み込む。裏切り者とはいえ、元は彼らと寝食を共にした仲間だった。あの男が頭領を裏切る前は、いい思い出も少しはあったことだろうから。
 腕を揺すられて、はたとそちらを見る。透が飛焔を見つめていた。その瞳の色で何となく言いたいことがわかった。
 透は、今度はロン・フェイに視線を移す。
「ロン・フェイさん。あの人を、まさかあのままにはしておかないよね? 幾らあなたを裏切ったからって死んだ人を罰するコトはできないよ。だから、きちんと弔ってあげて欲しい」
 ロン・フェイは無言で目を見開いた。
 どんな世界にいても透は、罪を憎んで人を憎まず、その考えを変えはしない。それはロン・フェイにも伝わっていた。まだ若造のくせに寛容な心を持つ少年を見て、彼は改めて溜息を洩らさずにはいられなかった。見つめる瞳。それはもう息苦しくなどない。
「心配するな。ペイ・チーは俺の弟分だ。あいつがした事は許せねえが、死んじまったからには晒し者にするつもりはねえ。……それにしても……」
 彼は一度言葉を切る。透を見つめ、更に繋いだ。
「おめえは不思議な瞳をしてやがる。何もかも見透かされそうな不思議な色だ。おめえには、誰も嘘なんぞつけねえだろうよ」
 はっ、と身構え俯いた。
 見ようと思えば透には、人の心の裏側まで手に取るように見えてしまう。それはつまり透の世界で言えば、普通の人間ではなくなってしまったということだ。過去の全てと訣別し、新たな未来を目指したというのに、やはり未知の力を持つことには少し抵抗がある。このアグスティも精神の力を認めない世界。《普通の人間》という枠組みからは、透は完全に外れているのだ。
 それをロン・フェイに言い当てられたような気がして、透は顔を上げることができなくなった。その気持ちを知ってか知らずか、山賊の頭は猶も言い募る。
「それだけじゃねえ。おめえに見つめられると、何だかこう……安らぐ、ってのか、癒される、ってのか、その、何だかほっとしちまうんだな。……柄にもねえこと言っちまったが、本音だぜ。おめえに見つめられていると、ちっぽけな事が気にならなくなって、何だか大らかな気持ちになれるんだ」
 思わず顔を上げる。そこにはロン・フェイの穏やかな笑顔があった。周りでは手下たちが、うんうんと頷いている。透は少しだけ肩の荷が下りたのを感じた。
「おめえの瞳を見ていて思い出したが、前に一度、同じような瞳の娘に出遭った事があったな。やはりそんな澄んだ瞳で見つめられ、心まで見透かされそうな気になったもんだ。だがなぁ、その娘はおめえとは違ったな。おめえみたいな安らぐ気持ちにはならなかったが、何だかあの瞳を見ていると、娘の望むことを何でも叶えてやりたくなっちまう、そんな気がしたから不思議なもんだな」
 澄んだ瞳の娘! 透は慌てて問いかける。
「そっ、その娘って、どんな女の子でした?」
「歳の頃なら十五、六だな。そっちの娘よりは年下に見えたが」
 プシケを振り返り言う。透の慌て振りに怪訝な顔をしながらも、ロン・フェイは言葉を続けた。
「純粋で、汚れを知らない天使のような娘だった。青い瞳が恐ろしいくらい澄み切っていて、長い巻毛は光でできてるのかと思うほど、金に輝いていた。余りにも清らかすぎて、俺たちゃ山賊だってぇのにあの娘にだけは手が出せなかった。娘も俺たちを善人だと信じて疑わなかったからな。とても、とても、身包み剥いで放り出すなんざできゃしねえ。……もっとも、あの連れはいただけなかったな。あんなのを連れてた日にゃあ、あの娘だって無事に山は越せなかっただろうよ」
 ふと見ると、プシケがロン・フェイのすぐ側まで来ていた。彼に詰め寄り問う。
「連れがいたのね? どんな人?」
「男だ。まだ若い男だったが、瀕死の重病人だ。俺たちが見た時はもう虫の息だったぜ。ありゃあ長くはねえ。もうあの世に逝っちまってるだろうな。娘はその男の為に医者を探してるって言ってたがな。だからパミーシュ村への道を教えてやった。あそこにゃあ薬や病気に詳しい奴がゴロゴロいる。つまりは村人全員が医者みたいなもんでな。だがパミーシュ村は峠の向こうだ。あんな重病人を抱えて細っこい娘が辿り着けるとは思えねえ。途中で二人とも行き倒れちまったんじゃねえか? 妖仙の山にはあの二人の亡骸は見当たらなかったがな」
「その娘と男の名前はわからない? 直接聞かされていなくても、お互いが呼び合ったりはしていなかったの?」
 ロン・フェイは眉根を寄せ、暫く考え込んだ。不意に思い出すと大きな声で言った。
「さもん、だ。確かそう呼んでいたぞ。娘が男の事をそう呼んでいた。男は喋ることもできなかったから娘の名前はわからねえな。娘は俺たちに名乗る事もなかったしな」
 プシケの顔色が明らかに変わった。
「爺さん、確かに砂門ってゆ〜たんやな? ワイら、その砂門て男の事を訊きに来たんやで。えらいこっちゃ。その男死んどったら、お嬢ちゃんの望みが叶わんようになるさかいな」
 言うが早く立ち上がり、急いで仕度を始める。プシケも立ち上がった。
「じゃあ、急いでそこに行った方がいいね。とにかく、砂門さんが無事かどうかを確かめないと……」
 立ち上がろうとする透の首根っこを掴む者がいる。紫音だ。
「阿呆ぅ。その前にする事があるだろうが」
 と、濡れた布を左の首筋に当ててきた。
「おまえはいつでも自分の事は後回しだな。案外重傷なんだぞ。自分で気がつきやがれ」
 荒っぽい口調だが、案じてくれているのが嫌と言うほど伝わってくる。口調とは裏腹に、手当ては非常に丁寧だった。
 透の手当てを続けながら、紫音はプシケを横目で見る。青ざめた顔の彼女は、黙って二人を見守っていた。
「如・砂門にもしもの事があったら、おまえは困った事になるんだろう? 万が一にもその男を死なすわけには行かねえんだな? だから俺たちはパミーシュ村へ行かなきゃならねえ。わかっちゃいるが、透の手当てが終わるまでもう少し待ってくれ」
 青ざめた少女は黙って小さく頷いた。
【丘の教会へ】へ続く
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